この記事は GMOインターネットグループ Advent Calendar 2025 7日目の記事です。GMOペイメントゲートウェイの小西です。本日は皆さまをAWS認定の沼にお誘いすべく、AWS認定試験と全冠取得についてご紹介します。
はじめに
みなさん、"AWS認定試験"を受けたことはありますか?
最近では「未経験者がxx日でAWS資格取得」「xxヶ月で全冠達成」など、様々な体験記がネットに公開されています。年々盛り上がっているという印象です。実は私も数年前にAWS認定をすべて取得し、今でも資格を更新し続けています。
ということで、今回は皆さまをAWS認定の沼にお誘いすべく、体験談を交えながらご紹介します。
AWS認定資格とは
AWS認定とは、Amazon Web Service (AWS) が提供する公式の資格制度です。さまざまな分野、難易度の資格があり、2025/12 時点では13種類あります。かなりの頻度で試験問題が改定されたり、資格の種類自体が増えたり減ったりします。そしてさらに、資格の有効期間が3年となっており、1回取ったら終わりという資格ではないのです。
なお、AWS認定資格をすべて取得することを「全冠」と呼んでいます。
AWS公式サイト「AWS 認定」に関連情報がまとまっていますので、併せてこちらもご参照ください。
SKill Builderの試験の準備 (https://skillbuilder.aws/learn#exam-prep) より一覧を抜粋
AWS認定試験一覧表
AWS認定カテゴリ(難易度)略称受験料時間Cloud PractitionerFoundational(初級)CLF15,000円90分AI PractitionerFoundational(初級)AIF15,000円90分Solutions ArchitectAssociate(中級)SAA20,000円130分Machine Learning EngineerAssociate(中級)MLA20,000円130分CloudOps EngineerAssociate(中級)SOA20,000円130分Data EngineerAssociate(中級)DEA20,000円130分DeveloperAssociate(中級)DVA20,000円130分Solutions ArchitectProfessional(上級)SAP40,000円180分DevOps EngineerProfessional(上級)DOP40,000円180分Generative AI Developer※1Professional(上級)AIP※1※1Machine Learning ※2Specialty(専門)MLS40,000円180分Advanced NetworkingSpecialty(専門)ANS40,000円170分SecuritySpecialty(専門)SCS40,000円170分
※1) 2025/11/18からベータ版試験の予約開始、2025/12/16からベータ版受験可能。ベータ版の説明は割愛。※2) 2026/3/31に廃止予定。
AWS認定資格を"全冠"するメリット
全冠を達成した私だからこそ言えることがあります。一部の資格を取得するのであれば、全部取り切ってしまった方がいいのです。(あくまでも個人的な感想です。)
ここからは、全冠を達成して感じたメリットをご紹介します。
メリット1:対外的なアピールに繋がる
"全冠"となるとただ者ではない感じがしませんか?全冠すると周囲から認知されやすくなります。
私自身、全冠をアピールしたからこそ、現在CCoEとして勤務できています。会社の状況やタイミングによるものではありますが、他の人よりは降ってくるチャンスが多い、かつ、そのチャンスを掴める可能性が高くなるのではないでしょうか。
メリット2:視野が広がる
全冠となると自分の専門外の分野も学習しなければなりません。
普段業務では扱わない領域にも手を広げる必要があります。全分野を学ぶことで、AWSを全体的・体系的に理解することができ、状況を俯瞰して考えられるようになります。
メリット3:全冠ならではの表彰や特典がある
AWS全冠者を表彰するAWS公式の表彰制度があります。応募するには企業の条件等もありますので、詳しくはクライテリアをご参照ください。(2026年分はこちら:2026 Japan All AWS Certifications Engineers クライテリアのお知らせ)
表彰されずとももらえる特典もあります。今年6月に幕張メッセで開催されたAWS Summit 2025では、全冠者に金色のジャケットが配られていました。
メリット4:個々で取得するよりは労力が少ない
出題範囲が被っている試験が多いです。ある程度知識が固められると、あとは問題に慣れるだけで十分だったりもします。想像よりもトータルの勉強時間は少なくなります。走り抜けてしまう方が労力は少なく、しかしメリットは大きいのです。
全冠は短期決戦
AWS認定試験は一部試験範囲が被っています。何か試験を受けるのであれば、最後まで走り抜けてはいかがでしょうか。
ということで、試験範囲の被りも踏まえたおすすめの取得順をご紹介します。ポイントは、SAAの段階で知識を固めきること、範囲が被っている試験はまとめて勉強することです。
おすすめの取得順番表
順番試験所感1Cloud Practitioner(CLF)ますは基礎。とにかくAWSサービスの暗記から。2Solutions Architect(SAA)ここで知識固め。SAAが一番難しかったという声も。ここまで行けば山を超えたも同然 ?!3CloudOps Engineer(SOA)SAAの内容から運用系サービスをおさらい。4Developer(DVA)SAAの内容から開発系サービスをおさらい。5Data Engineer(DEA)SAAの内容からデータ連携や分析系のサービスを追加で覚える。(後半のAI/MLのタイミングで受けるでも良いが、個人的にはSAAのアーキテクトに近いように感じる。)6Solutions Architect -Pro(SAP)SAAの内容から全体統制系のサービスを追加で覚える。問題文が長く根気との戦い。7Security(SCS)セキュリティ専門の試験。SAPがいければ大丈夫。8DevOps Engineer(DOP)SOA+DVAの理解で大丈夫。問題文に慣れていく。9Advanced Networking(ANS)ネットワークの専門試験。他の試験との被りがほぼなく、ANS用の対策が必要。(個人的にはこれがラスボス!)10AI Practitioner(AIF)ここからはAI/ML系の試験対策。まずは暗記から。AI/MLの基礎的な概念も理解しておく。11Machine Learning Engineer(MLA)AIFの知識をベースとして問題集をやりこみながら理解を深める。12Machine Learning (MLS)※2026/3/31廃止予定。AWSに関する設問だけではなく機械学習そのものを問われることが多い。機械学習の概念、用語、手法についても一度さらっておく。13Generative AI Developer(AIP)※2025/11/18ベータ版試験予約開始、2025/12/16以降受験可能。
なお、全冠はしないにしても、自分の職種に関連する資格は一通り受けておきたいという方は、AWS公式サイト「AWS 認定」にある"AWS認定パス"もご参照ください。
試験対策方法
ここからは、試験対策についてご紹介します。すべてをやり切る必要はなく、ご都合に合わせて取捨選択いただければと思います。
1. 試験予約
まずやることは、試験の予約を入れることです。試験日が決まっていないまま勉強を始めると、ダラダラと勉強をしてしまう気がしませんか?
AWS公式サイト「AWS 認定試験に向けた準備」から予約ができます。試験の予約にはアカウントが必要です。個人で利用される方はBuilder IDを登録しておきましょう。
AWS認定試験に向けた準備 (https://aws.amazon.com/jp/certification/certification-prep/) より、試験のスケジュールを立てる
2. 試験ガイドの確認
「AWS 認定試験に向けた準備」で試験に関する情報が見れます。まずは敵を知るところから。2、3分でさっと目を通すくらいで十分です。特に出題範囲の内のAWSサービスと機能はよく確認しておきましょう。
AWS認定試験に向けた準備 (https://aws.amazon.com/jp/certification/certification-prep/) より、試験を選択する
各試験のページより、試験ガイドを確認する
なお、AWS公式の学習コンテンツ「Skill Builder」でも試験ガイド(Exam Prep Overview)が確認できます。Skill Builderの方が丁寧です。Builder IDでサインインできます。
Skill Builderの試験準備カテゴリ (https://skillbuilder.aws/learn#exam-prep)より、各試験の試験ガイドを確認する
3. 参考書や教材
本格的に勉強を進めます。まずは大枠をインプットします。以下のどれか1つをやっておくと安心です。私は参考書を1週間程度でパラパラと読み終える → 残りは問題集を解きながらわからなかったサービスをBlackBeltで深堀り、としていました。
● 参考書 :全体を掴むには参考書が一番です。どの本でも扱っている内容は同じであるため、好きな本を選ぶで構いません。なお、参考書が扱っている試験のバージョンにはご注意ください。
● Skill Builder :AWS公式の学習コンテンツです。無料版でもある程度勉強できます。
● BlackBelt :AWS公式のサービス別資料集です。特定のサービスについて深堀ができます。なお、AWS認定に限らず、業務で特定のサービスを調べたいときにも重宝しています。
BlackBelt (https://aws.amazon.com/jp/events/aws-event-resource/archive/) より、サービスを検索する
4. ハンズオン
具体的なイメージを積み上げていきます。自分のAWSアカウントを1つ持っておくとよいかと思います。以下の教材がおすすめです。
● Udemy :【SAA-C03版】これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座 がおすすめです。時間はかかりますがこれだけで一通り学べます。Udemyはセール期間が狙いめです。
● Hands-on for Beginners :AWS公式のハンズオン資料集です。特定のサービスをピックアップして理解を深めるもので、体系的な理解には向きませんが、簡単に試せるのでオススメです。
5. 問題集
出題形式にも慣れていきます。なお、とにかく試験に受かるだけでいいという方は1~5を飛ばして問題集だけでも何とかなります。(おすすめはしません。)
● Skill Builder :無料版の公式練習問題集や有料版の公式模擬試験もあります。AWS公式のものなので一度利用しておくと安心です。
● Udemy:模擬試験があります。実試験よりも難易度が若干高いものもあり、点数が良くなかったからと言って落ち込まないようにしましょう。試験前の最終チェックに利用するのがおすすめです。
未経験でも全冠はできる。ただし...
AWS未経験でもAWS全冠はできます。実は私も、全冠を達成した当時はオンプレミスを担当しており、AWSの業務経験はありませんでした。
しかしながら、資格を持っていることと仕事ができることは全くの別ものです。私自身、全冠後に晴れてAWSの業務に就けたものの、AWS全冠者として求められるレベルの高さと、自分の経験の浅さのギャップにかなり苦しみました。この点、未経験の方は覚悟を持っておいた方が良いと考えます。その一方で、未経験でもAWSの世界に飛び込めたのは全冠のおかげでもあります。
業務でもすぐに馴染めるように、未経験の方にはハンズオンがおすすめです。AWSの具体的なイメージを積み上げておきましょう。
全冠した後の話
ここからは、全冠を達成した後のお話をさせてください。
社外にも輪を広げる
全冠してからというもの、自分にも少し自信がつき、社外にも目を向けられるようになりました。AWSの公式イベントはもちろんのこと、AWSのユーザコミュニティ(JAWS)にも参加し、社内だけではなく社外の方との交流も大切にしています。
AWSのアップデートに注目する
日々発表されるAWSのアップデートも追うようにしています。AWSは一度身に着けたら終わりではなく、日々状況が変化しています。いつでもAWSの最前線にいれるよう、知識のアップデートは欠かせません。
業務を通して経験を積む
業務を通してAWSの知識をブラッシュアップしています。AWSの全体感を掴んだことにより"何がわからないか" がわかるようになりました。日々勉強なのは今でも変わりません。
AWS認定を受ける目的を忘れずに
AWS認定を受け続けると、ふと忘れてしまうことがあります。
「自分は何のためにAWS認定を取得しているのか?」
です。 何度も受験していると "AWS認定に受かること" がゴールにすり替わってしまうことがあります。しかし、本当のゴールはその先にあるはず、その先に目指しているものによって勉強方法やモチベーションが変わってきます。
しかしながら、全冠を達成するのであれば、業務範囲外の分野に対しては"合格さえすればよい"と割り切ることも、ある意味では必要になってきます。自分の本当のゴールは何なのかを念頭に置きつつ、割り切るときには最大限手を抜きつつ、走り抜けていきましょう。
ちなみに、私が全冠を目指したのは "AWSの業務がしたい" からだったのですが、全冠を急ぐあまりいつの間にか "AWS認定に受かること" がゴールにすり替わりました。"合格さえすれば" と割り切ってしまうことが多く、勉強も試験対策に偏り、実力が伴わぬまま全冠の達成です。今でも自分の力不足に苦労しています。
とはいえ前の章で述べたように、全冠をしてからは想像もしていなかったくらいAWSに対してアクティブに活動できています。全冠をしたメリットは絶大です。今後もさらに業務やハンズオンを通して経験を積み、「AWSのことなら、まず私に聞いて!」と胸を張って言えるような、圧倒的なAWSのエキスパートを目指しています。
まとめ
今回はAWS認定と全冠への道をざっくりとご紹介しました。私個人の目線でのご紹介でしたが、その他さまざまなサイトで認定試験関連の記事が上がっているので、ぜひ他の方の記事も参考にしてみてください。
まだまだAWSは盛り上がっています。早い段階で全冠を取得し、AWSを一緒に楽しみましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。