AIが彩る未来の最前線・CES 2025参加レポート

こんにちは。新里です。
2025/01/06 から開催されたCESに行ってきました。色々と面白いものに出会えることが出来たので、その中からいくつか紹介したいと思います。

あ、最初に書いておこうかな…全体所感としては、

機能としてAI・推論が入っているモノしかない
人も機械もAI・推論が使えないと生き残れない

ハード・AIの共創による多様なプロダクト

サービス・機能レベルでほぼ全てのモノで何かしらのAI・推論が使われているものばかりでした(構成単位となるパーツ、モータやセンサ・抵抗などは除いて)。ヒトの機能拡張・フィードバックや寄り添い補助、機械同士の連携強化でデータを活用したAI的な機能・推論はもはやデフォ感ですね。これについては、もう後戻り出来ない世界に入ってきたというのは強く感じます。また、ハードウェアの小型化・高性能化と、AI・推論による恩恵を多くのプロダクトは受けていると感じました。

CES とは

CESは毎年1月にラスベガスで開催されている世界最大の見本市です。初日から行ってきましたが、予想通り大量の来場者でごった返していました。まず最初に面白い!!と思ったモノを紹介していきます。

これは面白いと思ったプロダクト

色々と回ってみて、これはヤバいと感じたモノを写真と共に何個か紹介します。

HAPLY Inverse/MiniVerse
力覚フィードバックを行うものは色々と触ったり使ったりした気でいましたが、恥ずかしながらこんな凄まじいモノを自分は知りませんでした。
ふらっと会場を歩いていて、ナニコレと思って触ったら、なにこれ、凄い!! の一言でした。
最大0.01mm 解像度と4kHzのリフレッシュレートで、フィードバックがあまりにも繊細でかなり驚きでした。ほんと凄いのひとこと。CES 2025 Best Innocation Awards を取得していました。

画面上の面を操作している様子
ロボットアームとの相性はまさに最高かなと。
両手持ちでオペをしているデモを行っていました。

glidance
シアトルの盲目者向けのロボット会社さんで、「The World’s First Intelligent Guide.」という謳い文句になにこれ?と反応した。
音声と手持ちの所の左右に手にフィードバックを行って誘導してくれて、よくよく見るとカメラが何個か付いていて、自動ステアリング、自動ブレーキ、触覚フィードバック、音声対話用スピーカと機能もりもり。
CEOが視覚を失った方で、英国盲導犬協会の理事長&マイクロソフト・リサーチでAIとロボットを使った製品開発をされていた方で、まさに自分のための自分の最強のデイバスを他のみんなにも!!、みたいな感じがカッコよすぎる。

会場にはデモ機が何台か。blind では無いですが、少し触らせてもらった。

Agility Robotics

LVCCのモビリティ側を歩いていたら、SCHAEFFLERの所でAgility Roboticsが作業していました。

Agility Roboticsといえば、CES 2025 NVIDIA Json HuangのKeynoteのロボ一覧登場シーンで、Jason Huangの隣に出てきたロボですね。
Agility Robotics については名前は聞くものの、実際に動作しているのは眼の前で見たことが無かったので、ちょっと感動しました。前後左右と下向きにカメラ(見た目的にはRealSense)が登載されていました。

CES 2025 NVIDIA keynoteより。左がAgility Robotics Digit、右がFigure 02
寝転んで充電している

■ Humanoid

会場には他にも色々なロボットがいました。Unitree, Deep Robotics の周りには沢山の人だかりで注目度が凄いなーと。
他にも何体か二足歩行のHumanoidが何体かいました。Booster Roboticsの二足歩行ロボットは他会場まで練り歩いていて、周りには人だかりが出来ていました。実際のブースはLVCC Southで、故障したロボットの補修をエンジニアさんがしていました。他は手を振ったり、直立不動であったり…
とても驚いたのが Enchanted Tools の玉乗りロボットで、インタビューを受けて話していました。インタビューを受けるロボットというのも構図として面白いですが、まさかの玉乗り・安定していてめちゃくちゃ驚きました。

Agility Roboticsからのロボット類をよーく見てみると、どれもRealSense祭り会場はここですか?というほど、どれもこれもRealSense(たまにorbbecがあったり)。ほんとRealSenseは相変わらずよく使われていますね。

CES会場めちゃくちゃ広い

ここでCES会場についても記しておきます。会場は大きく2つに分かれていて、

・Venetian Hotel :スタートアップが多め
・LVCC ( Las Vegas Convention Center ) : モビリティ・大企業さん

どちらも尋常じゃない広さでした。3日間の滞在になりましたが、毎日の歩数は約3万歩。さらーっと両会場を見て回るくらいなら1日で済むとは思いますが、「なにこれ?」的に話したりすると、それぞれの会場を1日で全て見て回るのは不可能に近いかなと。

Venetial と LVCC 間の移動は期間中は無料のシャトルが出ているので、これに乗ると10分くらいで移動できるくらいの距離感でした。LVCC はCentral/North/West/South とホールが別れていて、移動に無料でTesla Loopを使うことが出来ます。

トンネル内が気持ちいい

各会場・ホールはやたらと広いので、「かなり歩く」ことを覚悟しておいた方がよいですね。

Sphere

やはり、ここには行かないわけにはいかないですね。CES 2025 Delta Keynote がShpereで開催されたのも話題になっていました。U2 UVというライブを見てきましたが、全球LED Display マジでヤバいです。CESと同じくらい、オススメ感が高いですね。

圧倒的な存在感

近くまで行って見てみると、実際のドットがわかりますね。

近くで見るとLED・ドットパターンが分かる。
Sphereの中にもロボ(Aura)対話して話したり、指向性スピーカを使ったイベントの説明をしていました。
ライブ中の様子

CESのようなイベントが無い限りラスベガスに行く機会は無いですが、Sphere はまさに圧巻でした。映像や何かコンテンツを作っている人は、Sphere で何か流してみたい!!と思うはず。

2025年の始まり

直近の2,3年は生成AI、LLMが大流行でした。この流れは今年も大きくは変わらず、実際の現場でも導入が進んでいくことでしょう。

CESで感じたのはAI・推論によるプロダクトが多かったということでした。そして、多くのプロダクトがそうであるよう、短期的にAI的なものがヒトに取って代わるというより、ヒトの補助・拡張としての役割を強く感じました。これは当然のように感じますが、「すぐにAIがヒトの仕事を奪う未来がやってくる」という言葉や話題がよく出てくるのと比べると、「まだこのくらいの事しか出来ないの?」と感じるかもしれません。すぐに、というスピード感がどれくらいのスピード感なのか?という主観的な部分はありますが。

ちなみに、個人的には仕事を奪われて楽になるなら、自分は別のことをするからどんどん奪ってくれ!!と思っていたりします。

プールの掃除ロボ APIER、人が行う作業をロボ・AIが代替えしてくれる

デジタル・情報分野のAI・推論は非常に発達しましたが、物理的な現実世界に影響・干渉をするには、何かしらの仕掛け(例えばロボットハンドやアーム、モビリティ)が必要になります。もちろん、現在でも情報処理が世界に容易に影響・干渉する例は多々あります。マーケットのアルゴリズム取引などは良い例でしょう。

ただし、ChatGPTに「ちょっとコンビニに行って、ドリンクを買ってきて。そしてグラスに氷と一緒に注いでおいて。」と言っても、これを実現するには数々の乗り越えるハードルがありますね。他にも、僕の体調を常にモニターして、何かドリンクが飲みたいな…と思ったタイミングで、ロボットがビールを持ってくるような事が出来たら最高です(これがヒトの自由意思であって、アルゴリズムによって管理されたディストピアでは無いことは願っていますが)。

「部屋の床を綺麗に掃除しておいて」くらいは現在でも可能ですね。自動でロボットが部屋を掃除してくれます。他にも「この場所に行きたい」といえば、自動で移動するPoC・モビリティも出てきています。

冒頭の「人も機械もAI・推論が使えないと生き残れない」というのは、多くのモノがAI・推論を使うなかで、それらを使わないとヒト・機械単体では圧倒的な処理速度を持つコンピュータとの差を埋めることは難しくなってくると個人的には考えています(ハック的なアプローチは別にして)。変化に適応したものが生き残るというのと同様ですね。

また、ハードウェアの小型化・高性能化と多様なセンサ、そしてそれらを統合して利用するミドルウェアがここ数年で一気に充実してきました。例えば、Lidarやカメラを買ってきて、ROS(Robot Operating System)を使うと、すぐに周辺地図やシュミレーションを行って、物理的なロボット・リアルな世界に反映させたり、誰でも簡単にできますね。
また、簡単にChat GPT APIに代表されるようなLLM・AI的な推論にアクセスして使えるようになったのは周知です。これからのサービス・プロダクトはハードとAIの共創による恩恵と、現実世界からのフィードバックによって多様な進化を見せてくれるでしょう。

遠くて近い未来に向けた、AI・ハードウェア・ソフトウェアの共創による多様なプロダクトの現在地、そして将来を感じることが出来たCESでした。

SAMSUNGのSECでの展示会場の上に掲げられていた。

ブログの著者欄

新里 祐教

GMOインターネットグループ株式会社

プログラマー。GMOインターネットグループにて開発案件・新規事業開発に携わる。またオープンソースの開発や色々なアイデアを形にして展示をするなどの活動を行っている。

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