2022/4/21(木)ConoHa WINGにWEXAL®が提供されました(→リリースニュース)。 無事に提供することができて開発者一同安心しています(エゴサもしっかりしています)。今回は、ConoHaコントロールパネルで利用できるWEXAL®のバック/フロントエンド設計について、簡単に解説できればと思います。
開発者体制
WEXAL®をリリースするにあたり、大きく分けて以下3つの分野で開発者が作業分担しています。
WINGサーバーのセットアップ/チューニングWINGサーバーとConoHaコントロールパネルを中継するAPIの開発ConoHaコントロールパネル&WordPressプラグインへの機能/画面追加
コントロールパネルは直接WINGサーバーをいじらず、APIを経由します。
他にも、開発したConoHaコントロールパネルの画面に不具合が無いか検証する専門のチームもいます。ここからはConoHaコントロールパネルを”コンパネ”、WordPressプラグインを”プラグイン”と記載します(それぞれ開発現場での名称です)。
WEXAL®のコンパネ/プラグイン設計方針
WEXAL®機能を実装するうえでどのような設計で実装したのか、バックエンドとフロントエンドに分けて解説していきたいと思います。
バックエンド
WEXAL®におけるバックエンドはMVCモデルベースで設計されています。MVCモデルと異なる点は、コアロジックはModelではなくServiceという専用のレイヤーに集約している点になります。コンパネ/プラグインに必要なドメインモデルはSDK等の内部実装が既に用意しているため、ドメインモデルをわざわざ定義する必要がありません。そのため、このような設計になっています。現状のConoHaはController部分がファットになりがちですので、いかにコアロジックを切り離すかに注力しています。
破線矢印はインターフェースでの参照になります。コアロジックがModelではなくServiceに集約されているのが特徴です。
View
画面の実装になります。後述するフロントエンドと重複する内容になるので、割愛します。
Controller
Controllerはコンパネ/プラグイン双方に用意されています。Serviceを呼び出す際はインターフェースを経由することで、画面ごとに利用できる処理を制限しています。役割は以下の通りです。
処理に必要なServiceの呼び出しServiceから返されるResponseを元に、Modelを生成ViewにModelを返す
Model
ConoHaにおけるModelは、事実上ViewModelの役割を担っています。先述した通り、コンパネ/プラグインにおけるドメインモデルはSDK等の内部実装に既に定義されているため、敢えてこちら側で用意する必要性が無いためです。役割は以下の通りです。
フロントバリデーションのAttribute実装Viewに返すプロパティの集合体(≒ViewModel)
Service
WEXAL®におけるコンパネ/プラグイン側のコアロジックが閉じ込められたクラスになります。 WEXAL®のCRUD機能をはじめとしたコアロジックの集約を目的としています。Serviceの呼び出し元はServiceを直参照するのではなく、インターフェースを経由して参照します。これにより、各画面で利用できる機能を定義しています。Serviceの構成は以下の通りです。
WexalService(IControlPanelWexalServiceとIPluginWexalServiceの実装)IControlPanelWexalService(コンパネのみで利用する処理の定義, IWexalServiceの実装)IPluginWexalService(プラグインのみで利用する処理の定義, IWexalServiceの実装)IWexalService(共通で利用する処理の定義)
DAO
SDKとのつなぎこみの部分になります。インターフェース経由でSDKを参照するため、モックとの差し替えが可能になっています。
フロントエンド
WEXAL®におけるフロントエンドは以下のような設計方針で実装されています。基本的にはMVPを踏襲した形で、一部にアレンジを加えた設計になっています。描画描画、通信、制御の責務を分離し、EventHandlerからすべてのイベントのフックを確認できるようにすることを目的としています。
EventHandlerを起点にView/Presenterへ処理が渡ります。Repositoryはインターフェース経由で参照するため、Controllerが未実装でもモックと差し替えることが可能です。
Selector
セレクタや属性等の定義集になります。定義を1つにまとめることで、htmlのDOM変更に対応しやすくする意図があります。 役割は以下の通りです。
セレクタ, 属性, Value等の定義と意味づけフロントエンドでセレクタや属性、ValueはすべてSelecterから参照
View
画面の描画制御をつかさどる部分になります。画面描画や画面情報取得の機能をすべて集約しています。役割は以下の通りになります。
画面から情報を取得し、バックエンドへ渡すリクエストモデルを生成バックエンドから返されたレスポンスモデルのデータを描画フロントバリデーションの実行
Presenter
ViewとRepositoryの制御をつかさどる部分になります。PresenterはRepositoryの呼び出しが必要な場合にEventHandlerから呼び出されます。役割は以下の通りになります。
EventHandlerからの呼び出しを受ける窓口Repositoryを呼び出し、返却されたResponseをViewに渡して描画命令タイマー処理で定期的に描画命令
Repository
Ajaxをつかさどる部分になります。バックエンドとの通信はすべてここで行います。インターフェースを経由するため、MockRepositoryと差し替えることが可能です。役割は以下の通りになります。
Ajaxの定義バックエンド側と通信する際のオブジェクトモデルの定義
EventHandler
すべてのユーザーイベントが定義された部分になります。ラジオやチェックボックスのchangeイベントやボタンのクリックイベントなど、すべてのイベントはEventHandlerを起点に発火します。バックエンドの通信が必要な場合はPresenterを、不要の場合はViewを呼び出します。役割は以下の通りになります。
すべてのイベントの定義既に追加されたイベントの削除イベントの再定義必要に応じてView/Presenterの呼び出し
まとめ
以上がWEXAL®開発におけるコンパネ/プラグインの設計になりますが、いかがだったでしょうか?システム設計において明確な正解というものはありませんが、WEXAL®においてはこの設計方針でサービスを提供しています。ConoHaはおかげさまで9周年を迎えます。これは非常に嬉しいことですが、ソースコードを見てみるとリリース初期のレガシーコードがちらほら散らばっているのが現状です。これからも長く皆様に愛されるサービスを提供するために、ソースコードも変革期が来ています。今後もConoHaの提供に適したソースコードで開発できるよう、リファクタリングや設計の見直し等できることは全力で取り組んでまいります。このようなリファクタリングやスピード感のある開発に興味のある方、いろいろな設計手法に触れてみたい方―。私たちはいつでもお待ちしていますので、ぜひともGMOインターネットグループにエントリーしていただければと思います。
ConoHaについて
最後に、進化し続けるホスティングサービス「ConoHa」についてご紹介します!
・国内最速※レンタルサーバーのConoHa WING!・ITエンジニアが使いたいVPS No.1※のConoHa VPS!・快適なWindows環境のConoHa for Windows Server!・応援団長の美雲このはが清楚かわいい!
※2022年7月自社調べ※日本マーケティングリサーチ機構調べ 調査概要:2022年3月期_ブランドのイメージ調査
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