2025年3月6日に開催された「GMOサイバーセキュリティ大会議&表彰式2025」の第2部では、サプライズゲストの登場に始まり、AI研究の第一人者による講演や最先端ロボット技術の紹介、さらにサイバーセキュリティ人財育成についてのパネルディスカッションなど、多彩なプログラムが展開されました。
大物ゲストの登場や最新のロボティクス技術のデモなど、大きな盛り上がりを見せた第2部の様子をお伝えします!
▼石破首相からのメッセージや、サイバーセキュリティ業界の発展に貢献した個人・団体を表彰する「GMO Cybersecurity Award 2025」など、内容が盛りだくさんな第1部の様子もぜひご覧ください!
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目次
元総務大臣・武田良太氏のサプライズ講演
第2部のスタートは、元総務大臣・武田良太氏の登壇で幕を開けました。国家公安委員会委員長や防衛副大臣などの要職を歴任した大物ゲストの登場に、会場のあちこちから驚きの声が聞こえます。
情報通信政策やサイバー犯罪対策を通じてサイバーセキュリティ発展に貢献された武田氏は、安全保障への意識について「日本人は性善説で暮らしてきた。陸続きの隣国がなく、海に囲まれているため、安全への意識が薄くなっている点が懸念だ」と指摘。”日本が他国を脅威にさらすことさえしなければ、他国が日本を狙ってくることもないだろう”……そう安穏と構えていられる時代ではないことを、国民1人1人が意識する必要があると強調されました。
「だからこそサイバーセキュリティの知識技術を磨き、国家全体でこの問題に取り組む必要がある」と力強く語る武田氏。「熊谷さんの下で優秀なホワイトハッカーが研鑽を積み、サイバー空間を守る実戦部隊として頑張っていただいている。これからも期待したい」と、ねぎらいの言葉もいただきました。
千葉工業大学・古田貴之所長による講演「AIで加速するロボット技術とセキュリティの必要性」
千葉工業大学未来ロボット技術研修センターの古田貴之所長からは、AIで加速するロボット技術とセキュリティの必要性について講演いただきました。
古田所長は最新のロボット技術として、ニューラルネットワークに設置した四脚ロボットにさまざまな試験を与えて育成するという手法を紹介。千葉工大では4096体の四脚ロボットを2万世代にわたって進化させ、育った「小脳」を実物のロボットに搭載するという試みを行っているそうです。

この技術を活用して、千葉工大では自分の姿勢から周囲の状況を理解し、カメラやレーザーセンサーがなくとも手探りで階段の昇降や着地を行えるロボットを開発。会場では実機のデモも行われ、ロボットが滑らかに階段や段差の上り下りをしたり、横から激しい衝撃を与えられても速やかに姿勢を立て直したりする様子に驚く参加者も多く見られました。

こうした技術進化がロボティクスの世界にもたらす変革として、従来の「人間が動きを作る」方式から「AIが自ら学習して動きを獲得する」方式へ転換するという見通しを示した古田所長。AIで知能をブーストすることで、安価なロボットでも高性能化・大量導入が可能になるという未来像を語りました。
さらに古田所長は、安価で賢いロボットが大量に出てくることに伴い、サイバーセキュリティの重要性が今以上に増大すると警鐘を鳴らします。
大量のロボット群(スワームロボティクス)のネットワークがハッキングされた場合は窃盗などの行為も可能になることから、「ロボット領域はサイバーセキュリティの一つの大きなフィールドになるため、セキュリティ確保が急務です」と、改めてサイバーセキュリティの重要性を強調されました。
東京大学・松尾豊教授による講演「AIとサイバーセキュリティ」
続いて登壇されたのは、AI研究の第一人者である東京大学大学院の松尾豊教授。AIの最新動向とサイバーセキュリティへの影響について講演いただきました。
松尾教授はまず、DeepSeekやOpenAIの最新モデルがいかに高度化しているかを紹介。東大入試の数学問題を解く様子や高品質なレポートを自動生成する能力など、AIの急速な進化を示したうえで、人間の知能を大きく超える「強いAI」であるAGIの実現に向けてビッグテック企業が大きな投資を行っているという現状を説明されました。

一方で、こうしたAI技術の進展はサイバーセキュリティにも影響を与えます。松尾教授は実際に生成AIを利用した犯罪が発生していることに触れ、高度な知識がなくともサイバー攻撃を起こせるという「敷居の低下」、ディープフェイクを用いた詐欺や自動化による攻撃スピード向上といった「多様化・高度化」、人間の関与が必要なくなり、非常に大きなスケールでの攻撃が可能になる「大規模化」の3点を懸念点として挙げます。
「技術革新が進むなか、日本全体のサイバーセキュリティのレベルを上げていくことは非常に重要。是非GMOさんと一緒にレベル向上に取り組んでいきたい」と意気込みを語る松尾教授。今後も協力体制を築き、最先端の知見をロボティクス社会におけるセキュリティ実装に活かしていきます!

トップリーダーズ・サミット PART 2「事業成長とセキュリティ投資のバランス」
さらに会場では、SNS media&consulting ファウンダーの堀江貴文氏とモデレーターとして、グループ代表 熊谷との対談が行われました。
熊谷は、インターネット黎明期から活躍する堀江氏を「元祖インターネットエンジニア」と紹介。いまでは演歌歌手などIT以外の領域でも活躍される堀江氏ですが、25年以上前に「すべてのページをHTTPS化して提供する」という先進的提案を行うなど、セキュリティ分野でも先見の明があったことが明かされました。

堀江氏は「セキュリティはベネフィットが見えにくいが、費用をかけざるを得ない」としたうえで、「売上比で何%ぐらいセキュリティ投資を行うべきなのかといった指針を、政府や公的団体などが出すと経営者としてもやりやすい」と、一定の尺度や基準の必要性を強調。さらに、VPNやセキュアシェルの使用を「やっておかないと気持ち悪さを感じる」ほどに習慣化することも大きな対策手段だと示されました。
さらにセキュリティリスクを極力避けるために、「顧客データをできるだけ持たない」という考え方を紹介。加えて「人がセキュリティホールになる」として、ソーシャルエンジニアリングの危険性や経営層がセキュリティ技術の基本を学ぶ必要性についても警鐘を鳴らします。
熊谷はセキュリティの投資判断の難しさを指摘した上で、「セキュリティ投資は攻めの投資」「投資していることを可視化し、顧客からの信頼獲得や企業・ブランド価値向上につなげる」考え方を示し、「あんしん可視化サイトシール」の意義を強調しました。


セキュリティ投資の難しさに加え、「経営者が技術を理解しなければならない時代になった」ことでも共通した2人の対談は、セキュリティ投資に関する実践的な知見と経営者ならではの視点が示される忌憚のないトークで盛り上がりを見せました!
パネルディスカッション:サイバーセキュリティ人財育成で日本の未来と企業を守る
さらに会場では「サイバー犯罪に立ち向かう企業における脅威と対策」として、NICTセンター長の園田道夫氏、CODE BLUE発起人の篠田佳奈氏、GMOサイバーセキュリティ byイエラエ・代表取締役の牧田誠、GMO Flatt Security株式会社・社外取締役の上野宣によるセキュリティ人財の採用・育成の進め方についての議論が行われました。
セッションでは、国家レベルのサイバー攻撃への対応から企業におけるセキュリティ人材の育成方法まで、セキュリティの最前線での貴重な体験に基づいた意見や見識が交わされました!
AIの台頭でよりサイバー攻撃の難易度が下がり、それと反比例するように攻撃の多さや複雑さが増していく中で、「スーパーハッカーを育てようとしても限界があるため、システムで守らなければならない。守るべきシステムの優先順位を決めてセキュリティ体制に濃淡をつけられるエンジニアが各社にいれば、もっといい流れになるだろう」という牧田のコメントに、多くの参加者がうなずいていたのが印象的でした。




「社会全体でホワイトハッカーをもっと評価して、子どもたちの憧れの存在になるような世界にしていかなくてはならない」と、ホワイトハッカーを夢のある職業にすることが必要だと語る牧田。GMOグループのホワイトハッカーもスタープレイヤーになれるよう、グループ全体でその働きと存在感をアピールしていきます!
平将明サイバー安全保障担当大臣のサプライズ登場
そして会場を再び沸かせたのは、平将明サイバー安全保障担当大臣のサプライズ登場!
平大臣はサイバーセキュリティの最前線で活躍する参加者に向けて、サイバー攻撃の多くが国家的な規模で行われる中、政府としてのサイバーセキュリティ強化への決意と支援の姿勢を表明。アメリカをはじめとする同盟国と同レベルのサイバーセキュリティ能力を持たなければならないという認識を示されました。

GMOインターネットグループでは、「乾杯!」が「完敗」と同じ音であることから、「完勝!」の掛け声で行うことにしています。全プログラム終了後の交流会では、平大臣も「完勝!」で音頭を取っていただき、GMOインターネットグループの取り組みを力強く応援いただきました!

AIやロボット技術といった最先端テクノロジーとサイバーセキュリティの関係性について深い洞察が示されると同時に、日本のサイバーセキュリティを支える人財育成の課題と方向性が議論された第2部。武田良太元総務大臣と平将明サイバー安全保障担当大臣という政府要人のサプライズ登場も相まって、1部に負けず劣らずの大きな盛り上がりを見せました!
会場限定トークとして実施されたパネルディスカッション「サイバー犯罪に立ち向かう企業における脅威と対策」では、官民連携でサイバー犯罪に当たった実例や国際的なサイバー犯罪の実態などが紹介され、最前線でセキュリティ対策に取り組む専門家による忌憚のない意見も交わされ、ご来場者が熱心にメモを取る様子も見られました。



開発・人事本部長
松岡 剛志 氏

行政との連携や登壇者の発表などを通じて新たな発見や学びが多く得られた大会議では、社外とのつながりをより強化することができました。今後もGMOインターネットグループでは、安全なインターネット社会の実現に向けてより高度なセキュリティを提供していきます!
▲当日のアーカイブも是非ご覧くださいませ
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