GMOメディアが、「Findy Team+ Award 2025」にて「Organization Award」を受賞!組織全体で開発生産性向上に取り組む文化を育み、数値改善と仕組みづくりの両輪で成し遂げた成果を振り返ります。本記事では、Findy Team+を活用したデータドリブンな改善活動の詳細や、チームで培ってきた文化、そしてAI活用に向けた挑戦まで、受賞の背景を余すところなくお届けします。
はじめに:Findy Team+ Award 2025 を受賞しました
この度私たちGMOメディアは、開発生産性可視化ツールを提供するFindy社が主催する「Findy Team+ Award 2025」において、「Organization Award」を受賞いたしました。 日頃の改善活動がこのような形で評価されたことを、チーム一同、大変光栄に思います。 本記事では、今回の受賞の背景にある、GMOメディアが会社全体で取り組む開発生産性向上のための「理念」と、その理念を体現した具体的な「活動事例」について、ご紹介させていただければと思います。
私たちが目指すもの:全員で開発生産性を高める文化
私たちGMOメディアのエンジニア組織が目指しているのは、単なる個人のスキルアップではありません。
エンジニア同士で世の中のベストプラクティスを学び、共有、模索し合うことで、会社組織全体での開発効率UPを加速させる体制を実現すること。
この目的を達成するため、私たちは特定のチームや個人に依存するのではなく、組織全体で生産性向上に取り組む文化の醸成に力を入れています。その活動の重要な一環として、客観的なデータに基づいて自分たちの現在地を把握し、対話するためのツールとして「Findy Team+」を活用しています。
データから見えた課題
Findy Team+を導入してデータを計測し始めたところ、数値が芳しくない指標がいくつかありました。これらを解消するため、以下の指標群を重点ターゲットとして改善に乗り出しました。
【改善対象とした主要指標】
変更のリードタイム全体: チームの開発速度を示す最重要指標。コミットからオープンまでの平均時間: コーディング完了からレビュー依頼までの時間。レビューからアプルーブまでの平均時間: PRがレビューされ、承認されるまでの待ち時間。一人一日あたりのマージ済みプルリクエスト作成数: チーム全体のアウトプット量を示す指標。
取り組んだ内容と成果
変更のリードタイム
アプローチ: 下図の通り、大体40hを下回っていますが、荒れるタイミングがあったので、Findy Team+のDevOps分析を活用し対策を行いました。 原因の一つがプルリクエスト(PR)のサイズが大きいためであることが判明したため、基本的に「1PR=1機能」で作成するという習慣づくりから始めました。成果と分析: シンプルな対策ではありましたが、この対応によってリードタイムは改善しました。また、PRが適切な大きさになったことで、副次的にレビュー負荷が下がるという効果もありました。
レビューからアプルーブまでの平均時間
アプローチ: Findy Team+のサイクルタイム分析でボトルネックを特定しつつ、GitHubの「Scheduled reminders機能」を活用。未レビューのPRを定期的にSlackへ通知することで、レビュー待ちの状況をチーム全体で把握しやすくしました。結果:下記はオープンからレビューまでの平均時間 + レビューからアプルーブまでの平均時間の合算グラフですが、Findy Team+導入前は数値が200h前後だったものが、導入後は60~80h前後に抑えることができ、結果60~70%程度の削減に成功しました。成果と分析: この取り組みにより、一時的な数値の変動はありつつも、レビューのリードタイムは着実に短縮されました。さらに、短縮された状態はその後も維持されており、チームが安定してレビュー活動を回せていることを示しています。特に、定例ミーティングの直前に通知が届くように設定したことで、通知が即座に会話と行動に繋がり、「仕組み」と「文化」の両輪で改善を図ることに成功しました。
現在の取り組みと今後の展望
これら一連の施策を通じて、私たちは重要な学びを得ました。それは、持続的な改善はルールや個人の意識だけに頼るのではなく、チームの文化に根差した「仕組み」と連携させることで、初めて大きな効果を発揮するということです。
今後はこの学びを活かし、改善活動が形骸化しないような仕組みづくり、そして更なる改善を目指して以下のような取り組みに励んでいます。
ルールの定着化: PRテンプレートの整備など、決まったルールを形骸化させないための仕組みづくり。ナレッジの整備: ドキュメントを整理・整備し、属人化を防ぎ、チーム全体の生産性を向上させる。AI駆動開発への挑戦: そして、次なる大きな一手として、AIコーディングエージェントの活用を進めています。ここでも過去の学びを活かし、単にツールを導入するだけでなく、以下のような定量的・定性的な「仕組み」を同時に設計しています。
定量的: Findy Team+でのAIによるPR作成数の計測、チームのトークン使用量の観察。定性的: AIコーディングのためのチェックリスト作成や行動指標の設定による、チーム全体の活用レベルの底上げ。
総括と感謝
今回の受賞は、こうした日々の試行錯誤、特に「ルール」から「文化」、そして「仕組み」へと改善の形を進化させてきたプロセスを評価していただいたものだと、大変嬉しく思っています。 この結果に満足することなく、今後も組織一丸となって「エンジニアが互いに学び合える」環境を追求し、その学びを社外にも積極的に共有していきたいと考えています。
改めまして、Findy様、そしてコミュニティの皆様に心より感謝申し上げます。