GMOインターネットグループ株式会社では、2019年よりGMOインターネットグループ全体の開発者向けマーケティングを行う「デベロッパーリレーションズチーム(DevRelチーム)」を発足させました。
発足当初は少数精鋭だったDevRelチームですが現在では専任メンバー6名と、GMOインターネットグループ株式会社のサービス開発・運用を担うエンジニアやクリエイターなど部門を横断した兼務メンバーを含む17名といった大きな組織で構成され、技術広報活動や採用マーケティング、開発者支援、社会貢献活動を通じた取り組みを行っています。
エンジニアとして開発を行いながらDevRel活動を担っている兼務メンバーは「エバンジェリスト」という肩書で活動しています。今回は5名エバンジェリストの皆さんに「普段のDevRel活動」や「GMOインターネットグループだからこそできる取り組みについて」さらに「今後、取り組んでみたいこと」まで話を聞きました。
目次
DevRel(Developer Relations)と、私たちの活動
PR (Public Relations)という言葉はよく耳にするかと思いますが、DevRel(Developer Relations)と聞くと、まだまだ馴染みがない方も多いかもしれません。
DevRelは、Developer(開発者)や開発者のコミュニティ、企業に向けて望ましい関係をつくり出すための考え方および行動として、自社の技術を伝達し、同時にそれらに対する意見や情報を受け入れるための組織と定義されています。
私たちDevrelチームでは、GMOインターネットグループ内外開発者との良好な関係構築・強化を目的に、現在、以下の活動を中心に行っています。
1)技術広報活動や採用マーケティング
2)開発者支援/グループ内エンジニア連携
3)社会貢献活動/次世代IT人材育成支援や教育機関への技術支援など
1. 技術広報活動や採用マーケティング
年に一度GMOインターネットグループの新しい挑戦を紹介するエンジニア・クリエイター向けカンファレンス「GMO Developers Day」や、小規模エンジニア向け勉強会「GMO Developers Night」、また、北九州オフィス「GMO kitaQ」にてサーバー構築・運用に焦点を当てた学生向けインフラハッカソン「DevSecOpsThon at GMO kitaQ」、などのイベントを自社で企画・開催しています。GMOインターネットグループが行う技術的な取り組みをより多くの人に知っていただく取り組みです。
また「PHPカンファレンス」「iOSDC」などといった外部コミュニティイベントに協賛し、積極的な広報活動を行うとともに、コミュニティ団体や来場者の方々とのつながりを通じ開発者向けマーケティングに生かしています。
イベント活動のほかにも、開発者向けテックブログ「GMO Developers」で定期的に技術情報や活動の発信を行っています。ブログの運用も3年目になり、記事数や閲覧数も徐々に増やしていけるよう仕組みづくりにも力を入れています。
2. 開発者支援/グループ内エンジニア連携
GMOインターネットグループ内パートナー(社員)に対して、セキュリティ知識や技術の習得を目的としたハッカソン「Hacking Night」の実施や、ChatGPTを始めとしたAI技術の学びの場として「AIセミナー」の運営を行うなど、グループ内エンジニア・クリエイターに対するスキルアップの場を提供しています。
また、2023年4月よりスタートした「エキスパート制度」の運用を通じて、エキスパートたちがグループ内で働くエンジニア・クリエイターの新たなロールモデルとなることや、彼らをハブとしてエンジニア・クリエイター同士が横のつながりを強固に持てる組織を目指すべく、活動を支援しています。
3. 社会貢献活動/次世代IT人材育成支援や教育機関への技術支援など
次世代IT人材育成支援や教育機関への技術支援を通じた社会貢献活動としては、渋谷区教育委員会と渋谷に拠点を置くGMOインターネットグループ、東急、サイバーエージェント、DeNA、MIXIの5社で行う「Kids VALLEY 未来の学びプロジェクト」を2019年より推進しています。
他にも、2023年には九州大学・北九州市立大学・長崎県立大学にて学生のデジタル・情報リテラシーの向上にむけた講義を本格的に開講するなど、自治体・地域団体と連携して次世代を担うIT人財の育成を目指した取り組みを進めています。
なぜ必要か?DevRelが注目されるワケ
GMOインターネットグループは、ドメインからセキュリティ、決済までビジネスの基盤となるサービスをご提供するインターネットインフラ事業を主軸に、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、暗号資産事業を展開する総合インターネットグループです。
お客様に喜ばれるサービスを迅速かつ低価格で提供するために、サービスは機器の選定から設置、構築、開発、運用までを内製化することを基本方針としています。そのため、グループ108社に在籍する7,300名超のパートナーのうち、ITのモノづくりを担う開発者(エンジニア・クリエイター)が49.9%を占めています。(2023年6月末時点)
そうした開発者(エンジニア・クリエイター)のパートナー(社員)の活躍なくして事業は成り立ちません。より深く開発者の皆さんとのつながりをつくることが求められており、DevRel活動の重要性は年々、高まっています。
そこでGMOインターネットグループでは2019年にIT技術の発展を支援するための組織として「デベロッパーリレーションズチーム(DevRelチーム)」を発足させました。デベロッパーリレーションズチームでは、現在、専任・兼務合わせて様々な職能を持つ17名のメンバーが活躍しています。
▼デベロッパーリレーションズ コネクタメンバー
人と人、人とコトを“つなぐ”ミッションを持つコネクタは、主にイベント回りの企画・調整業務や、マーケティング活動を中心に行っています。
▼デベロッパーリレーションズ エバンジェリストメンバー
外部に対する発信、会社の顔となって活躍するミッションを持つ「エバンジェリスト」は、エンジニアとして現場での開発・運用を行いながら、兼務として活動しています。それぞれ開発で携わっている領域の話を中心にイベントでの登壇や、ブログでの執筆等を行っています。
エバンジェリスト5名が語る!GMOインターネットグループのDevRel活動
今回は、5名のエバンジェリストメンバーの皆さんに「普段のDevRel活動」や「GMOインターネットグループだからこそできる取り組みについて」、さらに「今後、取り組んでみたいこと」まで話を聞きました。
成瀬 允宣(GMOインターネットグループ デベロッパーエキスパート)
村上 悠(アプリケーション開発本部 アクセス開発部 とくとくBBプロダクトチーム マネージャー)
中村 槙吾(インフラ・運用本部 システム運用部 運用保守チーム)
梅崎 皓太(インフラ・運用本部 インフラ技術部 ネットワークソリューションチーム)
長谷川 泰斗(インフラ・運用本部 ソフトウェア・仮想化技術部 仮想化技術チーム)
DevRelチームに携わるようになったきっかけと、普段のDevRel活動について教えてください
成瀬
2018年10月にイベントを実施したのが発端で、DevRelチーム立ち上げから関わっています。チームは2019年に本格的に活動を開始しました。
現在はGMOインターネットグループのデベロッパーエキスパートとして、テックカンファレンスへの登壇や、渋谷に拠点を置く企業5社と渋谷区教育委員会が連携した「Kids VALLEY 未来の学びプロジェクト」でPBLを取り入れた探究学習の授業支援を行うなど、幅広く活動しています。
村上
私も立ち上げ当初の2019年始めから DevRelチームに入りました。Devrelに入った記念として上長から、このはちゃん(美雲このは※レンタルサーバー「ConoHa by GMO」の応援団長 )のパーカーを特注してもらいました(笑)。
私と中村さんは、普段、GMOインターネットグループの北九州拠点である「GMO kitaQ」で業務にあたっています。私は「GMO kitaQ」での採用にも携わっていることから、学生向けのイベント企画を立ち上げて実施することが多いです。
北九州市に後援いただいているインターネットインフラハッカソン「DevSecOpsThon at GMO kitaQ」は、サーバー構築・運用に焦点を当てた学生向けハッカソンで2022年より開催しています。そうした次世代を担うエンジニア人財の育成を中心に活動しています。
中村
私や、梅崎さん、長谷川さんは、DevRelチームが立ち上がってしばらく経った2021年5月に入りました。
「DevSecOpsThon」は、所属しているインフラ・運用本部が中心となり実施しているため、企画から運営まで取り組んでいます。それ以外ではインフラエンジニアとして開発業務のなかで得た知見や、興味関心がある技術トピックスに関する記事を執筆しています。
梅崎
私は「ローカル5G」に関する記事を書いて欲しいと上長から言われたのがきっかけで、気が付いたらDevRel チームに参加していました。最近は開発業務がメインになっているため、隙間時間でDevRel活動に参加しています。
長谷川
私は、活動が面白そうだと感じたのがDevRelチームへの参加の決め手です。現在はテックカンファレンスでの登壇や、テックブログでの記事発信を中心に活動しています。
エバンジェリストとしてDevRel活動するなかで意識していることや、活動におけるやりがいはどういう所にありますか?
成瀬
まず自分が楽しいと思うこと、そして常にナンバーワンを目指しています。テックカンファレンスでの登壇であれば、全セッションで1位の満足度や集客数を目指しています。
セッションは開発者と同じ視点を持つので、自分が面白くないと思えば、それは聞き手である開発者にも伝わります。なので「自分が楽しいかどうか」という感覚は大切にしています。
中村
私の場合、2022年に書いた「Selenium」の記事が、たくさんの方に読んでいただけたのがPV数からも実感できました。そうした読者の方からの反響がやりがいにもつながっています。
梅崎
開発業務にあたりこの技術の解説を記事にしたら面白いんじゃないか?と考えることも多いですね。
長谷川
ブログでの発信は、他の人の役に立つことを目指して書いています。実際に同僚から「(記事が)役に立った」と言われると嬉しいですね。
テックカンファレンスでの登壇ではGMOインターネットグループに興味を持ってもらえるよう意識しています。
村上
初開催の「DevSecOpsThon」(2022年4月)はとても印象に残っています。
初回はサーバー実機を使ったこともあり、中村さんや長谷川さんにも尽力いただいて、開催前日の夜中まで会議室で最終チェックをしていました。こうした自社イベントは本当に皆さんのサポートがあって実現することができています。
GMOインターネットグループだからこそできるDevrel活動
GMOインターネットグループだからこそできるDevRel活動と、やりがいとは?
成瀬
GMOインターネットグループが協賛するテックカンファレンスは、すべてトップスポンサーとして協賛しています。トップスポンサーとしての協賛で、カンファレンスに大規模に携わることができます。
協賛に関しても短期的な成果を求めるのではなく、コミュニティに対する理解と貢献を重視しているため、長くエンジニアコミュニティに寄与できると考えています。
また渋谷区教育委員会や東急など渋谷区の企業4社と連携で実現している「Kids VALLEY」のように教育分野への貢献も積極的に行うなど、幅広く技術コミュニティの発展を支える活動にコミットしており、様々な文脈で貢献できるのは大きなメリットです。
村上
GMOインターネットグループで働くパートナー(社員)のつながりから、九州大学での講義は実現しました。北九州市など地域との連携はもちろんですが、たくさんの働くパートナーのつながりから生まれる新しい活動の機会も、GMOインターネットグループとして信頼を頂けているからこそ実現できていると感じます。
特に「DevSecOpsThon」は他社では真似できない私たちの強みが発揮されたイベントだったと思います。インフラに関する知見はもちろん、北九州市に自前のオフィスで大きな規模のイベントを開催できるスペースもあり、立地も含めて良い環境で学びの機会の提供を実現できました。
先日、学生向けイベント会場で声をかけてくれた学生さんは「DevSecOpsThon」に参加していました。「DevSecOpsThon」の参加をきっかけに、現在、インフラエンジニアとして活躍していることを知りとても嬉しくなりました。ご参加いただく学生さんのレベルも年々上がっていることを実感しており、今後より大きな成果につながっていくことに期待しています。
長谷川
GMOインターネットグループとしての規模が大きいので、多くのイベントに協賛できる機会があるのと、学生さんや他の企業の方など関わりが広がっています。
テックカンファレンスに登壇して面白いと思うのは「ConoHa」などのサービスを利用しているユーザーとリアルで交流できることです。開発者として顧客を知ることができるとても貴重な機会となっています。
梅崎
GMOインターネットグループがインフラとデータセンターへ多く設備投資していることも大きいですね。
最近はアーキテクチャを中心に開発を行っておりデータセンターの設計など、より広範な開発ができている実感があります。開発で得られた知見をストックして、落ち着いたらどこかで話したいと考えています。
村上
これは他社さんから羨ましがられるのですが、イベントでこのはちゃんのパーカーを着ていくと「この子は誰ですか?」と聞かれます。「うちのサービスのイメージキャラクターで…」みたいに説明するのですが、それが会話のフックとなって話が弾んでいきます。
ホスティング・ドメインというと、ややお堅いイメージがありますが、「美雲このは」というキャラクターがいることで、記憶に残りやすくなるみたいです(笑)
成瀬
「Kids VALLEY」の授業支援でも、小学生のみんなは、このはちゃんを使ってプログラム学習していますからね!
エンジニアとしてのキャリアとのバランス
普段、開発業務も忙しいと思いますが、どうバランスを保ちながらDevRel活動に取り組まれていますか
成瀬
テックカンファレンスに登壇するといった外とのつながりは自分の好きなことです。それを会社が業務としてくれることで家庭内でも休日の登壇など承認が得やすくなっています。
表に出るからには夜中まで登壇資料を準備するなどやるべきこともありますが、自分が好きなことだというのが原動力になっていると思います。
村上
私は現在、開発から少し距離があるのですが、自分が表に出て他社のエンジニアとコミュニケーションすることで自分たちのチームを客観的に見ることができたり、学生向け技術イベントで審査員やメンターというところで関わらせていただいたことで逆に刺激をもらっています。
開発に従事しているとなかなか自発的にイベントに行くというのが難しかったりします。なので私が外で得たものをkitaQのメンバーにきちんとフィードバックする。そうした役割としてもDevRel活動が大いに活かされていると思います。
長谷川
GMOインターネットグループとしての規模が大きいので、多くのイベントに協賛できる機会があるのと、学生さんや他の企業の方など関わりが広がっています。
テックカンファレンスに登壇して面白いと思うのは「ConoHa」などのサービスを利用しているユーザーとリアルで交流できることです。開発者として顧客を知ることができるとても貴重な機会となっています。
今後やってみたいこと
最後に今後、取り組みたいことなど教えてください
長谷川
11月に、GMOインターネットグループのエンジニア有志で参加されていた「技術書典」について気になりますね!
エンジニアの間でも「知る人ぞ知る」という感じのイベントだったので、会社の名前が広められたことは珍しいしとても良い機会だったと感じています。
中村
基礎イベントの強化として「DevSecOpsThon」のなかで、「Ops:運用(operation)」のウエイトが大きいため、 「Dev:開発(development)」、「Soc:セキュリティー(security)」のカリキュラムの充実を実現したいですね。
村上
「DevSecOpsThon」は、例年1月から企画がスタートしています。来年に向けて、現在、企画アイデアを出し合っている最中です。次回で3回目の開催なのでコンテンツの見直しなども含めて、より発展させて開催したいと考えています。
梅崎
私は「JANOG(ジャノグ)」(技術的事項やオペレーションに関する事項を議論、検討、紹介する Japan Network Operators’ Groupの略称)にも挑戦してみたいですね。
また大きなイベントはもちろんですが、小規模でカジュアルなイベントを定期的に実施する企画なんかも面白いかもしれません。
ゲーム開発者が動画配信をしていて面白く聞いていました。そうしたゆるいイベント企画も、頃合いを見て取り組んでみたいですね。
成瀬
テックカンファレンスでの登壇では、引き続きナンバーワンを目指していきます!ナンバーワンを取れていない所を取りに行く。スポンサーセッションで満員御礼となるセッションを出していきたいですし、CFPでも戦っていきたいです。
そして好きだからDevRel活動をやっているという部分を変えずに、今後も学生向けの支援活動や、大学での講義も増やしていきたいと思います。
自分が自発的に話したいときこそ最も力を発揮する瞬間だと思います。なので、これからDevrelを目指すエンジニアの皆さんは、ぜひそうした想いで、DevRel活動に取り組んで欲しいですね。
貴重なお話しをありがとうございました。
エバンジェリストの皆さんの活躍に、引き続きご期待ください!
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