こんにちは!GMOインターネットグループ広報部の石井 純です。今回は“技術広報”に着任したばかりの私が幕張メッセで開催された展示会「Japan Drone 2024 / 次世代エアモビリティ EXPO 2024」をリポートさせて頂きます。取材するまではドローンも空飛ぶクルマも社会が便利になって楽しそう!と思っていた私でしたが…。気を付けるべき“見えないポイント”もあるようですー
出展概要
日 時:2024年6月5日(水)~7日(金)10:00~17:00会 場:幕張メッセ(展示ホール5・6)千葉県千葉市美浜区中瀬2-1主 催:一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)共 催:株式会社コングレ
開催まで1年を切った大阪万博、「空」への注目が高い
いよいよ2025年4月に大阪・夢洲を舞台に大阪万博が開幕します。万博会場には「モビリティエクスペリエンス」が整備されるそうで、実際に空飛ぶクルマの運行が予定されています。
「空の移動革命」と題されたこれらの取り組みは「Japan Drone 2024」でも日本国際博覧会協会や大阪府が紹介されていました。万博をマイルストーンに「空」への注目度が増していますが、当社でも昨年3月に「空飛ぶクルマ」の実証飛行を大阪府で行うなど「空の移動革命」への取り組みを進めているのです。
大盛況の「VR体験」、空飛ぶクルマが渋谷を飛ぶ
GMOはインターネットグループなのになぜドローン?と思われるかもしれませんが、当社の出展テーマはセキュリティ。ドローンや空飛ぶクルマの普及に向け、グループの強みである暗号セキュリティとサイバーセキュリティの観点から「空の安全」の確立に向けて取り組んでいるのです。
今回、当社が出展したブースでは空飛ぶクルマが社会実装された世界をVR映像で体験出来るエリアの他、暗号セキュリティとサイバーセキュリティの技術を紹介する展示エリアとプレゼンテーションエリアをご用意。3日間の会期を通じ、当社ブースには約4,000名の方にご来場頂きました。
中でも活気溢れるエリアは約1,000名の方にご体験頂いた空飛ぶクルマのVR体験。GMOインターネットグループの本社がある東京・渋谷から、GMOインターネットTOWERがある用賀まで、小室哲哉氏の楽曲「Internet for Everyone」をBGMに快適な「GMOエアタクシー」を体感します。最新のVRヘッドセットに身を包むとなんとそこは渋谷上空。飛行機とはまた違う景色に私も思わず感情が高ぶりました。
未来の技術は生活を支える身近なインフラへ
「Japan Drone 2024」では研究や実証試験を実施中である多くのドローンが展示されていました。建設業での利用が期待される構造物微破壊検査ドローンや水中ドローンによる橋梁点検。貨物運搬が期待される物資輸送用ドローンや林業資材運搬用ドローンなど…。社会課題や危険性を回避する重要なインフラとしてもドローンの利活用が進められていることが印象的でした。
また、山梨県の展示ブースでは甲府エリアと富士山麓エリアを空飛ぶクルマで結ぶ構想のPRを行っていました。空飛ぶクルマならトンネル知らず、渋滞知らずで目的地まで一直線!快適な社会を実現するために企業だけでなく自治体も一丸となってドローン利用を進めているのです。
「空」のインフラを整える~日本政府の取り組み
「Japan Drone 2024」会期初日には国際コンファレンスも開催。経済産業省 製造産業局 航空機武器宇宙産業課 次世代空モビリティ政策室 次世代空モビリティ戦略企画調整官 山本 健一 様を招き、「ハッカー目線で徹底解説!ドローンセキュリティ最新版」と題したパネルディスカッションが行われました。令和6年能登半島地震におけるドローンによる捜索・救助や物資輸送の事例紹介を頂いた他、ドローンの制度整備状況や技術開発を推進する方針が示されていました。日本政府が認可したドローン機体は40万機に迫り、「空」のインフラとしてさらなるドローンの利活用が進むそうです。
山本様のお話を伺いながら、ドローンは“便利なガジェット”から“人の命をも救う重要なツール”へと進化する転換点を迎えていると強く感じました。災害対応だけでなく、産業や観光分野での積極的な活用が期待されるよう、制度設計がより加速することも良いことだと思います。
経済産業省 製造産業局 次世代空モビリティ政策室 次世代空モビリティ戦略企画調整官 山本 健一 氏
一方でドローンが張り巡らされることによるリスクや悪影響はないのでしょうか?
身近な暮らしにハッキング?
では、身近な話題からドローンのリスクを考えてみましょう。IoT機器という言葉は耳にしたことがありますよね。Wi-FiやBluetoothに接続して制御する家電や電子機器のことで、かゆいところに手が届くような便利さが特徴的です。しかし、「インターネットに繋がる以上、ハッキングされるリスクは誰しもある」と警鐘するのはGMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社 サイバーセキュリティ事業本部 執行役員の小池 悠生さんです。当社ブースステージ「ホワイトハッカーが解説!IoT セキュリティ編」で登壇した小池さんは次の指摘をしていました。「家電本体、操作するスマホアプリ、データを保管するクラウド。それぞれが脆弱性のリスクを抱え、どこからでも攻撃されてしまいます。スマートロックの不正開錠や医療機器への攻撃では人命にも関わることもー」。
そこでGMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社ではIoT、「IoT診断 及び IoTペネトレーションテスト」を提供しています。ネットワーク接続型の様々なIoT機器に対し、攻撃者目線での調査や疑似攻撃を行うことでIoTデバイスの潜在的な脆弱性を発見し、対応策のアドバイスを提供するサービスです。「3度の飯より脆弱性やバグを発見することが好きなパートナー(社員)が集まっています。累計7,500件以上の実績とセキュリティコンテスト世界No.1を達成した技術力で多くの人を助けたい。」そう語る姿がとても印象的でした。
GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社 サイバーセキュリティ事業本部 執行役員 小池 悠生さん
ドローンこそ万全なセキュリティを!
さて、IoT機器と同じくドローンもインターネットに繋がる以上、ハッキングのリスクがあるのです。特に「データ漏洩」と「不正操作」のリスクがあると指摘するのは、当社ブースステージ「ホワイトハッカーが解説!ドローンセキュリティ編」で登壇したGMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社 高度解析部 高度解析課の三村 聡志さんです。三村さんは昨年のJapan Drone GMOブースでドローンに対するハッキングデモを実施。いとも簡単にカメラ映像の盗み見や映像の差し替え、制御の乗っ取りが出来ることを証明したのです。「ドローンは上空を飛ぶ以上、社会に物理的影響を与えます。セキュリティ対策は後手に周りがちだが、制御を奪い、墜落による危険を与えないようにする責任が伴うのです。」
GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社 高度解析部 高度解析課の三村 聡志さん
ドローンを脅威から守るには?
三村さんはドローンにおける守るべき対象は①ドローン本体、②通信経路、③クラウド/サーバーであると指摘し、リスクを低減する確認箇所として下記5つを挙げられました。
推測されやすいパスワードを使用しない安全なソフトウェアを使う通信はTLSなどにより安全に暗号化するドローンやクラウドにおいて仕様外の通信や不要な機能がないかを確認秘密鍵や保存される個人情報は暗号化などにより適切に保護する
家には必ず戸締りをするが、ドローンに鍵をかけていないケースが多く見受けられるといいます。
そこで活躍するのがGMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社が提供しているドローンに対するセキュリティ評価「ドローン/eVTOL 診断」です。守るべき対象となるドローン通信、クラウドの脆弱性を専門家が一括チェックするとっても頼もしいサービスなのです。
すべての「空」にセキュリティを~GMOの強みを活かして
脆弱性診断に加え、当社“ならでは”のアプローチとして暗号セキュリティ・認証技術の活用も挙げられます。
「悪意のある第三者による通信の傍受や、正規のドローンになりすました不正アクセスに対するセキュリティが必要」と指摘するのは当社ブースステージ「ドローンセキュリティ実装のポイント」に登壇したGMOグローバルサイン・ホールディングス 株式会社 CTO室室長 浅野 昌和さんです。ドローンとサーバー間で発生する通信を暗号化し、送受信するデータを保護。またドローン機体の認証も行い、なりすましによるサーバーへの不正アクセスも防止しています。SSLサーバ証明書国内シェアNo.1を誇るGMOグローバルサインの強みを活かした「空」への取り組みなのです!ドローンの利活用が一気に進む一方で、ついつい忘れてしまいがちな“見えない”セキュリティ対策…。ドローンに対するサイバー攻撃によって、思わぬところで危険が生じないように。ひとりひとりのリテラシーとセキュリティに対する危機意識を持つことが重要というわけです。
GMOグローバルサイン・ホールディングス 株式会社 CTO室室長 浅野 昌和さん
さいごに
ドローンや空飛ぶクルマに対する通信セキュリティ技術とホワイトハッカーによる脆弱性診断でドローンをサイバー攻撃から守ってくれる…そんな素敵な未来も当社ブースで体験することが出来ました。それが冒頭でご紹介した空を飛ぶクルマのVR体験だったのです。渋谷から用賀に向けて飛行中、実はいくつものサイバー攻撃に機体がさらされていました。ただし、当社の誇る技術とサービスで安全に飛行出来たというストーリーになっていました。
私たちは最良の環境を維持するためのアップデートを惜しみません。特に「目に見えるモノ」に気を遣う一方で、「見えないモノ」に対しては漠然とした安心感や、「自分には関係ない」という楽観的な考えを抱きがちです。しかし、見えない部分にこそリスクが潜んでおり、そのリスクが原因で、社会や技術の成長が遅れることは避けるべきです。ドローンも然り、サービスや製品を利用する以上、誰しもがあらゆる側面に注意を払うことが求められています。「空」と「セキュリティ」という一見関連性のないキーワードを解き明かすことで、私自身も重要性を理解出来ました。
今回のイベントはGMOが提供する安心で安全な「未来の空」を多くのお客様に体験していただいた3日間だったと思います。出展を通じ、「空のセキュリティ」の重要性を知るきっかけとなれば幸いです。
展示会初参加の筆者。展示会の熱気に包まれながら、多くのお客様とも会話させて頂きました。
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