新卒採用サイトの制作の裏側を描きながら、プロジェクトをどう進めるか、人に頼ることや優先すべきことなど、実践的な学びを等身大にまとめています。
目次
ただ「大変だった」だけではない挑戦の記録
新卒採用サイトは、単なる採用活動の一部ではありません。
GMOインターネット株式会社では、グループ再編とブランド統合に伴い、複数企業にまたがる採用サイトを一つにまとめるプロジェクトを進めました。
準備や調整、想定外の方針転換が重なり、決して平坦な道のりではありませんでした。
思うように進まないことも多い中で、ふと頭に浮かんでいたのが、GMOインターネットで大事にされているこの考え方です。
スピリットベンチャー宣言「可能性を信じよう」
私たちには、自らが解決できる問題しか起こらない。
今まで、私たちのところには100兆円の問題は起こったことが無い。
私たちのところに起こる問題は、すべて「ちょっと努力が必要な」問題ばかりである。
あなたに解決できない問題は、そもそもあなたには起こらない。
スピリットベンチャー宣言全文:https://group.gmo/brand/sv/
正直、作業の真っ只中では「本当に終わるんだろうか」と思うこともありました。
それでも、少しずつでも進めていればいつか形になると信じていたのだと思います。
問題にどう立ち向かうか:私が意識していたこと
この記事では、新卒採用サイトの統合プロジェクトを進める中で直面した課題や迷いに、私がどんなふうに向き合ってきたかを振り返っています。
この姿勢や考え方は、今回のプロジェクトに限ったものではなく、これまでの仕事でも大切にしてきた“自分なりの問題解決スタイル”のようなものです。
経験を重ねる中で、「あ、こういう場面ではこう動くと前に進めるかも」と感じてきたパターンが、振り返ってみるとだんだん整理されてきました。
特に意識しているのは、次の5つです。
1.自分で解決する | 例:作業時間をかける、情報収集をする、優先順位を見直す、スキルを上げる |
2.チーム・他者の力を借りる | 例:人に相談してみる・作業を分担する・スキルが上の人にアドバイスをもらう |
3.マインドを変える | 例:完璧主義を手放す、目的を見失わない、柔軟に切り替える |
4.仕組みを変える | 例:プロセスを改善する、ツール導入、フローを見直す |
5.お金・外部の力を使う | 例:有料ツール・サービスを利用する、外注する、専門家の力を借りる |
このあと出てくる各エピソードの最後に「💡このとき私が選んだ解決方法」として、 どんな動き方が功を奏したのかを小さくまとめています。
もし似たような状況に出会ったとき、「こんなアプローチもあるのかも」と思ってもらえたら嬉しいです。
プロジェクトの全体像
プロジェクト期間
約5か月(要件整理〜公開準備まで)
主な工程
- 統合方針の策定
- デザインとコンテンツ設計
- 撮影計画・ロケハン
- 開発・コーディング
- 最終確認と調整
参加メンバー
- 制作統括
- デザイン
- カメラマン
- 開発エンジニア
- 広報・人事
全部まとめる?それとも分ける?情報設計の山場
最初に取りかかったのは、サイトの構造設計でした。
就活生がどのグループ会社から来たとしても、情報に迷わずたどり着けるように──
それが一番大切にしたかったことです。
できれば「それぞれの会社らしさ」も伝えたい、という思いもありました。
でも、実際に仕上がった構成やデザインを見て感じたのは、 「らしさ」よりも「統一感」が強く出たな、ということでした。
もちろん、ブランドとしての一体感や信頼感は大切です。
けれど、各社のカラーや雰囲気を完全に表現するには、 一つにまとめるにはどうしても無理があったのかもしれない──
そんなふうにも思いました。
そのジレンマを抱えつつも、私はとにかく手を動かして考えました。
- 学生が最初に見るページはどこか
- どの情報を先に提示すれば迷わないか
- 「分岐」の設計をどうすれば自然に見えるか
紙に図を描いて構造を整理したり、他社のサイトを比較したり、
何度も情報の並びを入れ替えながら、ようやく「これかも」という形が見えてきました。
💡 このとき私が選んだ解決方法 :「自分で解決する」
特別なツールやスキルがあったわけではなく、ひたすら図に描いて、組み直して、直感とロジックの両方で納得できる構造を探し続けました。とても地味な作業でしたが、こういう「考え尽くす時間」こそが、設計に必要だったと感じています。
調整×調整×調整:14人撮影の裏側
撮影対象:14人。拠点:3ヶ所。スケジュール調整:無数。
このプロジェクトで、個人的に一番「詰まっていた」工程がここかもしれません。
当初は9名ほどを想定していた撮影対象が、最終的には14人へと増加。
拠点も東京・宮崎・福岡の3ヶ所にまたがり、「誰を、どこで、どう撮るか」だけでなく、撮影そのものを進行させるタスクが山のように発生しました。
具体的には
- 3拠点のカメラマン確保
- 撮影メンバーの選定と調整
- 撮影場所のロケハン
- どんなシーンを撮るかの参考資料探し
- 服装指定や小物などの準備物
- 撮影者・メンバーの組み合わせ表の作成
- メインビジュアルでの構成パターン作成
- 撮影日程の確定、会議室の確保
- 広報への許可申請
- カメラマン向けの撮影指示書作成…など
複数拠点・複数人のスケジュール調整が必要で、 Slackでのやりとり、スケジュール調整、会議室確保、スプレッドシートでの情報管理── あちこちを行き来しながら、同時に進行中のデザイン作業や日常業務も抱えているという状態でした。
正直、「全部自分で把握しておきたい」「誰かに迷惑をかけたくない」という気持ちが強く、最初はすべて自分で進めていました。でも途中から、「これは限界だ」と判断。
制作統括メンバーに調整業務の一部をお願いしたことで、視界が一気にクリアになりました。
任せられるところは任せる。自分が集中すべきタスクに時間を使う。
そうすることで、撮影もデザインも、丁寧に向き合えるようになっていきました。
💡 このとき私が選んだ解決方法:「チーム・他者の力を借りる」「マインドを変える」
「全部自分でやらなきゃ」という気持ちが強かったのですが、それを手放して、頼れる人に任せる判断をしたことで、進行も精神的な余裕もずっと楽になりました。
一瞬の焦りと冷静な切り替え:会議室が“消えた”日のこと
東京での撮影は3日間にわたって行われ、拠点ごと・時間帯ごとに異なる撮影スケジュールが組まれていました。
そのうちの1日、複数の重要な撮影が詰まったタイミングで、ちょっとしたハプニングが起きました。
この日のスケジュールは、午前10時からフクラスでメインビジュアルの撮影、
続けて11時からはフクラスの別フロアで別メンバーの撮影という流れ。
事前に関係者との連携も済み、「あとは撮るだけ」の状態だったはずでした。
ところが朝9:40、最終チェックのために会議室の予約状況を確認しようとシステムを開くと──
「予約:なし」
一瞬、頭の中が真っ白に。
3週間前に確かに押さえたはずの会議室が、なぜかキャンセル扱いになっていたのです。
幸い、すぐに制作ディレクションメンバーに連絡を取り、空いている会議室を探してもらったり、次の撮影の進行を柔軟に調整したりと、役割を分担。
結果的に、約10分で代替会議室を確保でき、予定していた撮影をすべて完了することができました。
後で調べてみると、原因は「入室ボタンの押し忘れ」。
GMOインターネットの一部会議室では、当日タブレットで“入室”操作をしないと、自動でキャンセルされる仕様になっており、それを完全に見落としていました。
焦ったのは事実ですが、助けてくれる人たちがいたこと、そして「完璧に進める」より「今できる最善を尽くす」に気持ちを切り替えられたことが、うまくいった理由だと思います。
💡 このとき私が選んだ解決方法:「チーム・他者の力を借りる」「優先順位を変える」
突発的なトラブルに完璧を求めても仕方がないと割り切って、まずはリカバリーに集中。周囲の人にすぐに頼ることで、短時間で状況を立て直せました。
色味が違う写真たちを、“ひとつの絵”にするまで
撮影を終えたあと、次に立ちはだかったのが「写真の色味調整」でした。
撮影した14人はそれぞれ別の拠点・時間帯・場所での撮影。
照明の色、自然光の入り方、壁の色、服のトーン──
どれをとっても微妙に異なっていて、そのまま並べると“別の世界にいるような印象”になってしまいました。
ここまで明確に色や光の違いが出た素材を扱うのは、私にとって初めてのことでした。
これまでは、色味の多少の違いは「その場の雰囲気」として受け入れることが多く、
“完璧に揃える”という意識で向き合ったことはありませんでした。
でも今回は、「3人が並んだときに、1枚の絵として自然に見えること」が必要でした。
「どうやって合わせよう」と思いながらRAWデータを元にした調整を始めました。
どこから手をつけていいか分からず、最初の30分はトーンカーブとにらめっこして「うーん…違う」の繰り返し。
そんな中で頼ったのは、自分よりも圧倒的に多くのビジュアル制作経験を持つ3人のメンバーでした。
それぞれの方が、自分の目と感覚で判断してきたノウハウを惜しみなく教えてくれて、
RAW現像での整え方や、肌のトーンの揃え方、レンズフィルターのかけ方、「ここを合わせれば印象が近づく」という基準も、丁寧に言語化してくれました。
途中で「もう色が違っててもそれぞれの個性ってことで…」と開き直りそうになったこともありましたが、「ここで手を抜いたら、並んだときに気持ちよく見えない」という想像が勝り、なんとかやり切りました。

💡 このとき私が選んだ解決方法:「チーム・他者の力を借りる」「自分で解決する」
自分だけでは進められなかったところを、経験豊富な3人のメンバーに「スキルが高い人に相談する」ことで、具体的な方向性が見えてきました。そのうえで、自分の手で何度も試しては修正を重ねながら、“色味を揃える”という未知の領域に一歩ずつ踏み込んでいけた感覚がありました。
やり切った、でも変わる。その瞬間をどう受け止めたか
すべての撮影が終わり、ページデザインもFIX。
あとは細かなコーディングの調整を残すのみ──という段階になった頃、人事・広報からも「いい仕上がりだね」という声が届き始めていました。
「ようやく、ここまで来た」とチーム全体でひと息ついたあの空気感は、今でも印象に残っています。
そして迎えた、経営レビュー。
「この構成、少しわかりにくいかもしれない」
そのメッセージを見た瞬間、思わず固まりました。
もう完成に近づいていると思っていたこのタイミングで、根本の方向性が見直されるかもしれない──
その可能性に、少し動揺したのを覚えています。
結果、サイトは「統合型」から「各社ごとの独立感を出す構成」へと方針が変わることに。
ただし大きく作り直すというよりは、主に表現レベル(ボタン文言やラベル表記など)での微調整が中心でした。
その過程で、分かりにくかった部分を洗い出し、内定者や新卒メンバーにアンケートを取りながら表現を改善するというプロセスも加わりました。
自分たちだけでは気づけなかった点も見えてきて、より“伝わるサイト”に近づけることができたと感じています。

たくさん準備してきたからこそ、内心では「ここまで整えたのに…」という想いもありましたが、
“全部が無駄になった”わけではなく、むしろ軸は残しつつ、より現実に即した良いものに進化できたと感じています。
💡 このとき私が選んだ解決方法:「マインドを変える」
完成間近での大きな方向転換は、最初こそ心がついていきませんでしたが、「プロジェクトが失敗したわけじゃない」「目的に対して最善の判断がなされた」ということを自分の中で受け止め直すことで、次の一手に気持ちを向けることができました。
まとめ
- トラブルは想定していても起こる。冷静な切り替え力と代替案が命綱
- 「助けを求める力」もまた、プロジェクトを進める一つの技術
- 途中の方向転換は失敗ではない。最良のゴールを再定義するチャンス
これを読んでくれたあなたの現場でも、もし困難に出会ったら思い出してください。
「あなたに解決できない問題は、そもそもあなたには起こらない」
完成した新卒採用サイトはこちら
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