学会での発表や論文の執筆にとどまらず、研究の成果を社会実装へとつなげようとしている真次彰平さん。事業や発信、採用にも関わっていくその姿勢は、GMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR)の技術的な土台を支えるだけでなく、技術者の新しいキャリアモデルとしても映っています。後編では、上長でもある堀内敏明さんから見た真次さんの変化と、GMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR)やグループ全体への影響、領域を越えた協働の展望について、お二人に伺いました。
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「自ら研究する人」から「分野全体を前へ進める人」へ
———推薦した当初と今とで、真次さんの見え方が変わった瞬間はありますか。
堀内推薦当初から、真次さんがロボティクスやAIに精通した「優秀な研究者」であるという印象を持っていましたが、当時の真次さんはあくまで「自ら研究する人」でした。それがエキスパートとしての活動を通して、「分野やプロジェクト全体を前へ進める人」へと変わってきましたね。印象的だったのは、人型ロボット(ヒューマノイド)の強化学習について最新の研究動向を自ら調査し、技術の全体像を整理して発信したことです。単なる論文紹介にとどまらず、その技術がどのように進化してきたのか、そして今後どこへ向かうのかというところまで、自 分自身の視点から整理していました。とくに人工知能学会(JSAI)においては、真次さん自身の発表だけでなく、スポンサー就任やグループ研究者の登壇支援といった運営面での協力もしてくれましたね。自分の研究を深めることは研究者として当然の姿勢だと思いますが、真次さんはそこから一歩踏み出して、周囲が挑戦しやすい環境をつくる方向にも力を使ってくれているんです。真次さんの専門性を自分自身の成果だけで完結させず、仲間や組織の成果へと広げようとする姿に、大きな成長を感じました。
———真次さんの存在は、GMO AIRやグループ全体にどのような影響を与えているでしょうか。
堀内一言でいうと、「技術的な信頼性を支える重要な存在」だと思っています。人型ロボット(ヒューマノイド)を仕入れて提供するだけなら、他の企業でもできるでしょう。しかしGMO AIRが目指しているのは、そうしたヒューマノイドをお客さまの現場で「本当に働ける」状態にすることなんです。そのためには、強化学習や制御・シミュレーション・実機検証といった技術を深く理解したうえで、それぞれの現場に合わせて調整できる力が不可欠になります。真次さんの研究や実装の経験は、GMO AIRが単なるロボット販売会社ではなく、高い技術力を持つAI・ロボティクス企業へと育っていくための大きな土台になっていますね。真次さんの存在はGMO AIRだけにとどまりません。研究者は研究のみならず、事業や情報発信、採用や業界への貢献まで幅広い領域で活躍できるという、新しい技術者のキャリアモデルを自ら示してくれています。これは採用の観点でも大きな意味を持つんです。「研究職としてこのグループに入ったら何ができるのか?」という問いに対する、具体的な答えを体現していますからね。
———エキスパートには業界の発展や人材の獲得、新たなキャリアパスの提示といった幅広い役割があります。活動をこうした成果に結びつけるために意識している点はありますか。
真次堀内さんがおっしゃったことに重なりますが、「活動を個人の実績で終わらせない」ことですね。組織の見え方や、人が集まりやすい接点につながるかどうかを意識しています。たとえば学会と接点を持つことは採用や共同研究の入口にもなると同時に、GMOインターネットグループで「研究職として勝負できる」というキャリアの実例を示すことにもつながるはずです。研究が継続し、それを社会実装と絡めて発信していく流れを実現させたいと考えています。
———「遠くへ行きたければみんなで行け」という言葉がありますが、周囲を巻き込んでいくうえで意識されていることをお聞かせください。
真次組織として多くの方に成果を目にしていただき、ブランドイメージを高めるためには何が必要なのか。そして、そのために自分は何ができるのか。この2点を先に考えるようにしています。結果として遠くへ行くために必要なのは、社内外でのコミュニケーションの場や技術を通じた接点をつくり、仲間が関わりやすい状態にしておくことだと思っています。そのために自分が前に出ることが良い手段なのであれば、積極的に出ていきたいなと。
現実世界のセキュリティを担保する「領域を越えた協働」へ
———人型ロボット(ヒューマノイド)が現場で働くようになると、セキュリティの重要性も高まりそうです。ロボティクスのセキュリティは、どのように担保していくのでしょうか。
真次大枠の認識として持っているのは、人型ロボット(ヒューマノイド)がサイバー攻撃を受けた場合、情報の問題にとどまらず、物理的な被害にまでつながり得るということです。前編でもお話ししたように、ヒューマノイドは人や環境に対して物理的に作用する存在なので、守るべき対象の範囲はサイバー空間のみならず現実世界にも広がります。だからこそ、開発の後工程でセキュリティを足すのではなく、企画や設計の段階からセキュリティ領域の知見と接続しておくことが重要なんですよ。幸い、GMOインターネットグループにはセキュリティの知見を持つ技術者やエキスパートとして活動されている方が数多くいます。ロボティクス側の実機や学習の文脈と、守りの知見を接続するような協働には、ぜひ取り組んでいきたいですね。
———他領域との協働という点で、堀内さんから真次さんへの期待や要望を伺いたく思います。
堀内ロボティクス分野を越えて、グループ内のさまざまなエキスパートをつなぐ役割を果たしてほしいと思っています。人型ロボット(ヒューマノイド)が社会で働くようになれば、AIの性能だけでは足りません。通信やクラウド、GPU、認証や個人情報保護も含めたセキュリティ……さらには決済や保険など、実に多くの技術や制度が関係してきます。とくにヒューマノイドは、真次さんが言うようにサイバー攻撃を受けた際に情報の漏えいだけでなく、物理的な被害につながる可能性もあります。企画や設計の段階からセキュリティのエキスパートと協働してプロダクトを作っていくことは、こうした被害を未然に防ぐ面でも重要になるわけです。ロボティクスを中心にグループの技術や人財を結びつけて、「安全で、実際の現場で役立つヒューマノイド」を実現するためのハブになってほしいと考えていますね。
内側で研究を回し続ける、その先の理想像
———今後、エキスパートとしてどのようなことに取り組まれるのでしょうか。理想像とあわせてお聞かせください。
真次展望としては2点あります。1つは、学会や外部との接点を絶やさず、「研究するGMO」の露出を太くしていくことです。そしてもう1つが、内側で研究を回し続け、発信し続けられる体制とエコシステムをつくることですね。グループ内の他領域との協働に加えて、インターンシップや共同研究も進めながら、多くの方と一緒に「研究するGMO」を実現していきたいなと。理想としているのは、事業だけでなく研究や先端技術にも本気で向き合う組織として、アカデミアや同業の方々から自然に想起される状態です。外へ出ていく活動と、内側で研究を続けられる仕組みの両方がそろってはじめて、研究ブランドは定着していくのだと思います。
———エキスパート制度の認知拡大にあたっては、何が必要になるのでしょうか。
堀内認知を広げるためには、制度の名前を周知するだけでは足りません。必要なのは、「エキスパートが何を実現し、会社や業界にどのような変化をもたらしたのか」を、具体的なストーリーとして届けることだと思いますね。真次さんの人型ロボット(ヒューマノイド)研究のように、研究成果が展示会への出展や事業、採用や社外への発信へつながった事例を示していくことで、多くの方にエキスパートの役割を具体的に理解していただけるはずです。また会社や専門領域を越えた共同プロジェクトや、若手技術者を指導する機会などの場を増やしていくことも欠かせません。エキスパートになることそれ自体はゴールではありませんから、自らの専門性を生かして「会社や社会をどう変えるのか」が見える制度にしていく必要があると考えています。
真次それぞれのエキスパートが何を実現し、それが会社にとって、あるいは本人にとってどのような魅力を生んでいるのかを可視化することが大事なのかなと。自分にできる貢献としては、研究サイドのエキスパートとして、GMOインターネットグループの出した研究成果を大学院生や研究者の方の目に留めていただける場を増やしていくことだと思っています。
———最後に、この記事をご覧になっている方へメッセージをお願いします。
真次私自身もまだまだ学び続けている立場です。そのうえでお伝えしたいのは、GMOインターネットグループでは事業の強みに加えて、研究にも向き合える環境づくりが進んでいるということですね。もし興味を持っていただけたなら、学会やオープンな場でぜひ気軽に声をかけてください!一緒に「研究もするGMO」を当たり前の景色にしていければうれしいです。
堀内エキスパートとは、すべてを知っている人ではありません。自分の専門分野を深く掘りながら学び続け、その知識を周囲へ伝え、仲間とともに新しい価値を生み出せる人に他なりません。AIやロボティクスの世界は、変化がとても速い領域です。だからこそ「まだ経験がない」「自分には難しい」と立ち止まるのではなく、まずは挑戦してみることが大切だと思います。GMOインターネットグループには、挑戦する人を支え、専門性を伸ばせる環境があります。ぜひ自分の得意なことを磨きながら、我々と一緒に誰も実現していない未来をつくっていきましょう!
まとめ
人型ロボット(ヒューマノイド)が社会で働く未来には、AIの性能だけでなく、通信やクラウド、セキュリティ、決済や保険といった数多くの技術と制度が関わってきます。企画や設計の段階から領域を越えて手を組むことが求められるからこそ、人と技術をつなぐことにも期待が寄せられているといえるでしょう。
そして真次さんがエキスパートとして重ねてきたのは、専門性を自分の成果で完結させない活動でした。研究動向を整理して発信し、他の研究者が登壇しやすい状況をつくる。その積み重ねが、1人の研究者を分野全体の推進役へと変えています。
堀内さんが真次さんに託した「ロボティクスを中心に、グループの技術と人財を結びつけるハブ」という役割の先に、「安全で、実際の現場で役立つ人型ロボット(ヒューマノイド)」が待っています。
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