この記事は GMOインターネットグループ Advent Calendar 2025 3日目の記事です。GMOインターネット株式会社の野田です。システム開発をしていると負荷テストが必要になる時がありますが、どのように負荷テストを行えば良いか分からないということもあると思います。今回は負荷テストの知識がなくても、AIを活用して負荷テストを行えるように記事を書きました。
Locustについて
オープンソースの負荷テストツールです。https://locust.io/Pythonでテストシナリオを定義してテストを行うので、テストをソースコードで管理することができます。Locustは多数の仮想ユーザーを効率的に生成でき、同時実行性の高いワークロードのテストに適しているようです。
Locustのファイルの準備
今回はClaude Codeを使用しました。以下のプロンプトで必要なファイルを作成しました。
load-testsディレクトリに、PythonのLocustで負荷テストを行うプロジェクトを作成してください。
* ログインした状態で行うテストを作成してください。
* テスト対象はserver/api/v1/のAPIエンドポイントです。
* クエリパラメータも考慮してください。
今回はテスト対象のプロジェクトにload-testsというディレクトリを作成して、その中に負荷テスト関連のファイルを作成することにしました。テスト対象のプロジェクトではNuxt.jsを使用していますが、Locustはブラウザのような動作をしないため、画面のパスではなく、APIエンドポイントをテスト対象にするようにしました。汎用的な内容にするためにプロンプトを簡潔にしていますが、プロジェクトに合わせてプロンプトを詳細な内容にすると、ソースコードの生成結果がよりプロジェクトに合ったものになると思います。先ほどのプロンプトで、以下のファイルが作成されました。
⏺ PythonのLocustを使用した負荷テストプロジェクトをload-testsディレクトリに作成しました。
作成されたファイル:
1. requirements.txt - 必要な依存関係
2. locustfile.py - メインのテストファイル(Firebase認証付き)
3. .env.example - 環境変数の設定例
4. README.md - 詳細な使用説明書
5. Dockerfile - Dockerイメージ構築用
6. docker-compose.yml - 分散テスト用の設定
7. .gitignore - Git除外ファイル
主な機能:
- Firebase認証: ログイン状態でのテスト実行
- 包括的なAPIカバレッジ: v1 APIエンドポイント全てをテスト
- クエリパラメータ対応: 様々なパラメータ組み合わせでテスト
- 2つのユーザークラス: 通常操作用と重い処理用
- CSV エクスポートテスト: リソース集約的な処理のテスト
使用開始するには、.env.exampleを.envにコピーしてFirebase設定を入力し、pip install -r requirements.txtで依存関係をインストールしてください。
Locustではlocustfile.pyなどのファイルにテストシナリオを作成しますが、locustfile.pyにserver/api/v1のAPIエンドポイントのテストが作成されていました。使用するライブラリはrequirements.txtに定義されますが、AIでソースコードを生成した場合は、Locustのバージョンが古いものになっていることもあるので、その場合は新しいバージョンに変更すると良いです。生成されたソースコードは追加で修正が必要な部分はありましたが、基本的には問題のない内容だったので、修正してテストを進めました。ちなみに、Locustはブラウザのような動作をしないため、Firebaseを使用している場合は、テスト実行時の認証処理を独自で実装する必要がありますが、テスト対象のプロジェクトでFirebaseの認証処理が実装されていれば、Claude Codeはそちらを参考にして実装してくれます。
Locustの起動
今回は以下のようなコマンドで起動しました。
python3 -m pip install -r requirements.txt
python3 -m locust -f locustfile.py --host=http://localhost:3000
起動するとLocustの画面にアクセスするためのURLが発行されます。
Starting web interface at http://0.0.0.0:8089
URLにアクセスすると以下のような画面が表示されます。
以下の項目の設定を行うことができます。
Number of users: 最大同時実行ユーザー数Ramp up: 1秒あたりに生成するユーザー数Host: テスト対象のホスト
Number of usersに達するまで、1秒ごとにRamp upで指定した数のユーザーが増えていきます。Ramp upには小数も指定できるので、0.1を指定すると、10秒に1人増えていく設定にできます。ユーザーを徐々に増やしていく設定にすると、どれくらいのユーザー数でパフォーマンスが変化するかをテストすることができます。Advanced optionsでは負荷テストの実行時間を指定できます。ユーザー1人あたりのリクエストの頻度はソースコードで設定できます。以下のように、wait_timeというクラス変数で設定します。between(1, 3)のように指定すると、タスクの実行後に1秒から3秒の間待機します。
class APITestUser(HttpUser):
wait_time = between(1, 3)
@task(3)
def test_hello_endpoint(self):
self.client.get("/api/v1/hello", headers=self.headers)
wait_timeにはconstantで固定値を設定することもできます。以下のように小数も指定できます。
class APITestUser(HttpUser):
wait_time = constant(0.5)
@task(3)
def test_hello_endpoint(self):
self.client.get("/api/v1/hello", headers=self.headers)
@taskの引数はweightです。weightの値に応じて実行するタスクが選択されます。Locustの起動後の画面でSTARTボタンを押すと、テストを開始することができます。テストを開始すると以下のような画面が表示されます。それぞれのケースの処理時間などが分かります。
テスト結果を以下のようなグラフで確認することもできます。
時間とともに増加するユーザー数やリクエスト数と、レスポンス時間を対応させて確認することができます。テスト結果はDOWNLOAD DATAの画面で取得することができますが、Locustを停止すると消えてしまうので、停止する前に取得しておく必要があります。
まとめ
今回はAIを活用してLocustでの負荷テストの準備をする方法についての内容でした。負荷テストの知識がなくてもテストを行えるように記事を書きましたが、知識の有無に関わらず、AIを活用することで短時間でテストを行うことができると思います。この記事が今後負荷テストを行う際の参考になると良いです。