技適が無い端末を使う

こんにちは。新里です。

いつかこの話題について記しておこうと思っていました。技適が取れていない端末を使いたくなる事ってありますよね。海外では使えるのに、国内では技適マーク(技術基準適合証明)が無いため、端末に通電することも出来ない…というのはあるあるです。
ここでは技適が無い端末を技適未取得機器を用いた実験等の特例制度を使って使用したいと思います。

技適とは

日本には「技適」(技術基準適合証明)という制度があります。総務省が定める技術基準に適合する無線機器であることを証明するもので、日本国内で無線機器を利用するには、いわゆる「技適マーク」が取得が義務付けられています。

技適の対象となる無線機器は、携帯電話やスマートフォン、Wi-Fiルーター、テレビ、ラジオ、無線LAN機器など、電波を発する機器のほとんどです。
iPhoneを見てみましょう。「一般」~「法律に基づく情報および認証」を見てみると。

日本の他にも米国のFCC、欧州のCEマークとそれぞれ表示されています。それぞれの表示方法についても表示方法が定められています。例えばFCCマークの場合「設定画面から3回以内の操作で表示できること」といった感じです。技適マークの表示方法はこちらに記載がありますね。

このiPhoneの場合、番号が「003-200223」なので総務省のページから検索をするとAppleの技術基準適合証明を見ることが出来ます。
他にも、これは僕の自宅にあったGoogle Homeデバイスですね。

これも裏側に技適マークと「007-AF0153」と番号が記されています。
このように国内で利用する無線・電波を利用する端末は技適が必要になるというわけです。

技適が無い端末

技適が無い無線端末を電波暗室などのシールドされた環境ではなく、屋内外で利用すると電波法違反になる恐れがあります。電波が外部に漏れない環境で使う場合は大丈夫ですが、誰しも電波暗室を常備しているという訳ではありませんね。この技適が無い端末というのは、一見すると「日本国内で使えない端末」と思うかも知れませんが、なかなか考えさせられる問題が出てきます。

FCCが先で、技適はあと(日本は後回し)

市場規模・認知ともにFCCは広く知られていますが、新しい端末の多くは海外製です。海外製のもので日本を優先的に対象にする端末は少ないでしょう。そこで海外で使われている新しい端末・機器は技適が無いので、日本では使えないということになります。
つまり、次のような問題が出てくることになります。

・新しい端末の検証・実験が出来ない。
・対応するソフトウェア・ライブラリの開発が出来ない。
・新しい技術のキャッチアップが遅れる。

ここでふと思うことがありますね。訪日外国人・旅行客が国内でスマートフォンやBluetoothを使う場合はどうなるのでしょう?その場合、「FCC・CEマークが付いたスマホ・PC・ゲーム端末・Bluetooth端末」は、日本に入国してから90日間使うことが出来ます。(海外から持ち込まれる携帯電話端末・BWA端末、Wi-Fi端末等の利用、「電気通信事業法等の一部を改正する法律(平成27年法律第26号)」2016年5月21日:施行)
2020東京オリンピック前に多くの訪日観光客が見込まれるまえに、規制緩和で法改正がされた記憶があります。

技適が無い端末を使う

僕の場合、新しい端末への技術的な興味もありますが、IoT向け端末の通信ライブラリのメンテナンスをやっているというのもあって、技適に対応していない端末での動作検証も高いニーズとしてあります。
技術コミュニティ上で「この端末で動作確認・サポートして欲しい」と聞かれて、FCC・CEを取っている端末なのに「日本の法律で使えないから分からない」とレスをするのは、かなりダサくもありますね。(残念なことに、そのダサいレスをしたことがあります。。。)

技適に対応していない端末でも利用できるよう、特例制度が施行されました。(「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」2019年11月20日 施行)。短期間の実験等のみを目的とする場合は手続(届出)を行うことで、短期間(最大で180日)は端末を利用することが出来る制度です。これで法令違反することなく、海外の新しい端末を検証・実験することが出来るというわけです。

技適未取得機器を用いた実験等の特例制度の登録サイトから本人確認を行って端末を登録して利用できます。本人確認は僕の場合は、マイナンバーでオンラインで行いました。

Particle Photon2を特例制度で利用する

今回、技適未取得機器で利用するのは、Particle Photon2です。2.4GHz/5GHzのWiFi・Bluetoothが使えて2MBのアプリケーション領域・3MBのRAMが使えるようになった新しい端末です。以前のバージョンでは256Kbyteのアプリケーション領域しか使えませんでした。その中で頑張ってTLSを使ってMQTT/HTTPSといった通信を出来るようなライブラリをコントリビュートしていますが、新しいPhoton2では容量・スペックも高くなったので、TLS1.3やQUICも動かせるようになるのでは?という技術検証も行いところです。

電波周りの認証は、FCC (United States), ISED (Canada), and CE (European Union) certified ということで、もちろん技適はありません。
Particleは最初に端末を売り出すとき、半額・輸送料は無料という謎のセールを行ったりするので2個($9×2)で購入することが出来ました。

技適未取得機器を用いた実験等の特例制度のサイトで順次、必要な端末情報を入力すればWeb上から申請を行うことが出来ます。また、廃止の日付近くなると使用終了の案内がメール通知されるのも良い感じです。
実際に申請した内容はこちらです。

またログイン後の画面では過去に届け出を行った一覧から、届出を行った詳細な内容が見れるのも便利ですね。

日本の技適は公共の電波を利用する上で、国内で正しいルールに則って使用できるための仕組みですね。ただ、ほとんどのハードウェアや端末は海外で作られている物ばかりで、最新の端末を検証・実験したい場合、技適のハードルが出てきます。そこで、技適未取得機器を用いた実験等の特例制度を活用することで、新しい端末も使えるようになるので、オススメな制度の一つですね。

ブログの著者欄

新里 祐教

GMOインターネットグループ株式会社

プログラマー。GMOインターネットグループにて開発案件・新規事業開発に携わる。またオープンソースの開発や色々なアイデアを形にして展示をするなどの活動を行っている。

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