「どうやって来たんですか?」 〜フェリーによる移動イベント Rubyist Bulk Load を実施しました〜

RubyistBlukLoadのバナー

GMOインターネットグループは2025年4月16日〜18日、愛媛県松山市で開催されたRubyKaigi 2025にカスタムスポンサーとして協賛いたしました。カスタムプランについてはGMOペパボが全面協力のもと、東京から徳島へのフェリー移動を“出会いと交流の場”に変えることを目的に、「Ferry Sponsor」を拝命しオーシャン東急フェリーを活用した約18時間の船旅を提供いたしました。
本編ではFerry Sponsorの実施レポートをお送りいたします。

「どうやって来たんですか?」

京都で開催された RubyKaigi 2016 以来、首都圏外で RubyKaigi が開催されるようになって 10 年近くが経ちますが「ところで、どうやって来たんですか?」という会話は珍しいかも知れません。今どき、Google Maps などで開催地を入力すれば、最速、あるいは最安の経路を一瞬で知ることができます。お互いにどこから来たのかさえ分かれば、そのようにして来たのだろうと思って、わざわざ話題には出さないでしょう。

申し遅れました。GMOペパボ株式会社で働いている yancya と申します。本稿では、いつもとはちょっと違った移動を皆さんに広め、もっと面白くするイベントを開催した件についてレポートします。

私はここ数年、RubyKaigi 2022 の三重県津市、2023 の長野県松本市、2024 の沖縄県那覇市 の3回にわたって、フェリーと小型自動二輪車(原付バイク)を使って RubyKaigi の会場まで移動し、帰ってきました。そのように、毎年のように船とバイクの旅を繰り返していると、それを見ているみなさんから「今年はどうやって来たんですか?」あるいは「来年はどうやって行くんですか?」そのように訊かれることが増えてきました。

「どうやって行くか」はもっと面白くできる。その可能性を私は信じています。

Rubyist Bulk Load

今年の 5 月に愛媛県松山市で行われた RubyKaigi 2025 において、GMO インターネットグループ主催、GMO ペパボの運営によって Rubyist Bulk Load というイベントを開催しました。このイベントは関東から四国までフェリーで移動したい Rubyist に運賃をサポートするイベントです。

以下のようなスケジュールで進行しました。

2025/04/14 (月)

18:00 集合・受付開始・乗船
19:00 出港
19:30 懇親会(軽食をご用意いたします)
21:30 入浴・就寝(あくまで目安です)

2025/04/15 (火)

07:00 起床(あくまで目安です)
13:20 徳島港着 下船開始
13:40 徳島駅ゆきバス(250円/人)に乗車(車・バイク利用の方は解散)
14:00 徳島駅到着 解散(自由に松山まで向かってください)

今回、RubyKaigi の前日に徳島港に着くフェリーのチケットを手配しましたが、徳島から松山への道のりは、電車、高速バスや車、どんな手段を使っても4時間くらいかかるので、参加者の皆さんは結構大変だったと思います。お疲れさまでした。

企画の背景

Rubyist Bulk Load を企画するにあたって、過去に実施された RubyKaigi のスポンサーイベントが参考になりました。主に以下の3つです。

福岡で行われた RubyKaigi 2019 にて、永和システムマネジメントさんが博多湾をクルーズ船で周遊しながらドリンクアップを行う Night Cruise Sponsor というスポンサーイベントを開催されました。「こういうのに船とか使ってもいいんだ」と衝撃を感じたのを覚えています。

長野県松本市で開催された RubyKaigi 2023 にて、クックパッドさんが Rubyists on Rails という企画を実施されていて、私はそれにも参加しました。新宿駅から長野県松本市まで、隣に座った Rubyist と RubyKaigi 2023 でどのセッションを見る予定か、とか、普段どんな仕事をしているのか、などの話題で盛り上がりながら移動して、あっという間の2時間半でした。中高生時代の修学旅行を思い出す良いイベントだったと思います。

沖縄県那覇市で開催された RubyKaigi 2024 で、5年ぶりの Night Cruise が催されました。洋上という非日常の空間で Rubyist たちと歓談した思い出は心に残るものでした。

「船でもなんでも使う」「交通機関による移動を支援する」が「アリ」だったということは「船による移動を支援する」も「アリ」ということです。大変参考になりました。

実は存在したプランA

プログラミング言語 Ruby の作者まつもとゆきひろさんが名誉市民である島根県松江市では、毎冬に RubyWorld Conference というイベントが行われているのですが、私はほぼ毎年参加しています。東京から松江市に行く方法は基本的には羽田空港から出雲縁結び空港、もしくは米子鬼太郎空港まで飛行機になると思いますが、私はあえて東京駅から松江駅まで寝台特急サンライズ出雲を使っています。もう10年程続けていますが、次第に「寝台特急で松江に行きたい」という Rubyist が増え、同じ列車に乗り合わせた Rubyist 同士で Sunrise.rb というミートアップを行うようになりました。時間をかけて移動する最中に同じ目的地を目指している仲間と取るコミュニケーションはとても良いものです。

RubyKaigi 2025 の開催地が愛媛県松山市に決まったとき、移動手段について最初に考えたのは寝台特急サンライズ瀬戸を利用する事でした。サンライズエクスプレスは東京駅から岡山駅まで移動した後、山陰方面のサンライズ出雲、四国方面のサンライズ瀬戸に分離するのですが、四国に行くならサンライズ瀬戸で Sunrise.rb 特別版を実施したら楽しいだろうなと思ったのです。
Sunrise.rb を個人的に企画して、賛同する人達とでそれぞれ自腹で開催することも考えたのですが、スポンサー企画として何かできるかもしれないと思い、検討を開始しました。通常、サンライズ瀬戸は高松が終点ですが、予算さえあれば貸し切りの特別編成が出せるかもしれない。そうなれば、もしかして松山まで行って貰えるのではないかと思い、ペパボの社員旅行などを手伝ってくれている東武トップツアーズさんに相談して実現可能性について探り始めました。
しかし、サンライズ瀬戸は乗車の1ヶ月前にみどりの窓口などでチケットを取り合うような人気の寝台列車なので、特別編成はおろか、車両の貸し切りすら難しいという事が分かってきました。そこで、当初のアイディアに代わる何かを検討するにあたって、趣旨を「移動に長い時間をかけて目的地を同じくする仲間とのコミュニケーションを楽しむ企画」としたときに、必ずしも寝台特急にこだわる必要はないと考えました。そして、特急、新幹線、飛行機以外の方法としてフェリーがあるという事を思いだしたのです。
東京近郊から出ている長距離フェリー航路は2つあり、いずれも目的地は福岡県北九州市の新門司港ですが、そのうちの1つであるオーシャン東九フェリーは途中で四国の徳島港に立ち寄ります。東京港を 19:00 頃出て、翌日の 13:30 頃到着するので、18時間程の移動を共有する事が出来ます。しかも、寝台特急と違ってラウンジも広いですし大浴場まであります。むしろ寝台特急よりも良いかもしれません。車やバイクも載せることができるので、フェリー以外の旅路は参加者が自分で自由に設計することもできます。
先述のように、船を使ったドリンクアップ企画と、移動手段を提供し移動中のコミュニケーションを楽しむ企画が既に存在してるので、船を使った移動を企画にする事は実現出来るものだと思いました。あとは東武トップツアーズさんと相談しながら具体的な計画を練り、Rubyist Bulk Loadとなったのです。

ドリンクアップイベントの時間

ところで、カンファレンスにおける一般的なドリンクアップイベントは、会場近くの飲食店を貸し切り、18:30 Open, 19:00 Start, 21:00 Close というようなタイムテーブルで運営されている事が多いと思います。私もたくさんのドリンクアップイベントにお世話になって来ましたし、とてもありがたいとは思っているのですが、どうしても2時間あまりでは物足りなさを感じてしまいます。もちろん、ドリンクアップで仲良くなった人や、今、この瞬間に話すべき事がある人達が連れ立って2次会に行けばよいというのはあるのですが、店を探す時間がもったいなかったり、地域によっては夜遅くまでやっている店がないなどの問題があり、受け皿不足は否めません。
その点、フェリーのラウンジで行った懇親会は夜が更けるまでゆったりと、心ゆくまで交流が出来たと思います。乗船から下船まで合わせて18時間もあるイベントならではのメリットだったと言えるでしょう。

思わぬ副作用

普段、フェリーに車やバイク、自転車を乗せて移動するのはハードルが高いと思うんですが、今回のイベントではそれらの費用も無料にして、積極的に車両での利用を推奨しました。その結果、全体の1/3くらいの方がフェリーに車両を持ち込んでご参加いただきました。

下船時、懇親会などで仲良くなった参加者同士で「私は徳島から電車で行くので松山までスーツケースを運んで欲しい」とか「松山まで一緒に乗っていく?」というようなイベントが発生していました。これは予想していませんでしたが、それくらい皆さんが仲良くなれたイベントを実施できて嬉しかったです。ちなみに、私も自動車で参加していたのですが、スーツケースを3つ運びました。

さいごに

今回、Rubyist Bulk Load を実施したことにより、RubyKaigi 2025 では「どうやって来たんですか?」とか「あのフェリーで来たんですか?」という会話が増えていたんじゃないでしょうか。そうであれば嬉しいです。こういうイベントの存在が、今後のみなさんの移動の選択肢を広げることを期待しております。

来年、RubyKaigi 2026 は北海道の函館で開催されますね。まだ分かりませんが、もしかしたら、来年もフェリーのイベントが実施出来るかもしれません。もしくは、もっと面白い何かをやるかもしれません。是非、チェックしていただければと思います。

ブログの著者欄

yancya

GMOペパボ株式会社

所属: 技術部 データ基盤チーム

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