JSAI2025参加レポート

2025年5月27日〜30日に大阪国際会議場(グランキューブ大阪)で開催された「人工知能学会全国大会(JSAI 2025)」に参加しました。
本レポートでは、GMOインターネットグループのエキスパートとして活動する杉浦巧が、現地で感じた最新のAI研究動向や注目セッションの内容をお伝えします。
学術・産業両面から注目を集めるJSAIの熱気と知見を、GMO Developer Expertsの視点でご紹介します。

はじめに

JSAIとは?

JSAI(人工知能学会全国大会)は、年に一度、国内のAI研究者が一堂に会する日本最大級の学術イベントです。
企業にとっては、採用活動・情報収集・ネットワーク形成など、さまざまなメリットがあります。

また、会場内には多数の企業ブースも設置されており、弊社グループ会社であるGMOブランドセキュリティプラチナスポンサーとして協賛出展。AIを活用した取り組みの紹介や学生・研究者との交流を通じて、技術ブランドの発信と採用広報を行いました。

企業ブースの様子

今年は5月27日〜30日に、大阪国際会議場(グランキューブ大阪)で開催され、過去最多となる4,922名が参加しました。
生成AIブームの影響もあり、例年以上に注目を集めた大会となりました。

@kiyota_yojiより引用(https://x.com/kiyota_yoji/status/1928570153291092243

参加目的

学生時代から参加していた馴染みのある大会であり、日本のAI研究動向をキャッチアップするには最適な場だと感じています。
今年は特に、生成AIの社会実装が加速する中で、日本のAI研究者たちがどのような未来像を描いているのかに興味があり、参加を決めました。

注目セッションの紹介

[1A1-PS-1-01]バディAIがいる世界へ

本セッションでは、AIを「道具」として扱うこれまでのスタンスから、「信頼される存在」へと進化させる必要性が提起されました。現在の生成AIはあくまで出力ツールに過ぎず、適切に活用するには、ユーザー自身が明確なビジョンを持ち、それに向かって主体的に関わる姿勢が求められます。

AIが真に社会に受け入れられるためには、ただの便利な存在にとどまらず、「Buddy(相棒)」としての自律性や思いやり、そして信頼関係を築ける存在へと進化する必要がある――そのような観点から「思いやりが実装されたAI」というテーマにも言及されました。

また、日本社会におけるイノベーションの停滞は「AIが使えないこと」ではなく、「創造性を持つ人材が育っていないこと」に起因しており、教育段階からの創発的な環境づくりの重要性が強調されました。

AIと人間がどう関わるべきか、その本質を問い直す示唆に富んだセッションでした。

[1A3-TS-1-01]AIの品質マネジメントについて

生成AIや機械学習の普及により、「AIの品質」をどう定義し、どう管理するかが大きなテーマになっています。このセッションでは、従来のソフトウェアとは異なるAIの難しさを踏まえつつ、ガイドラインに基づいた品質の考え方が紹介されました。

品質項目としては、有効性・安全性・公平性・プライバシー・セキュリティなどがあり、用途やリスクに応じたバランスが大切とされています。特に生成AIでは、モデル単体では制御が難しいため、入力や出力のフィルタ、プロンプト設計など「周辺の工夫」で補完していく実践的なアプローチが現実的とされていました。

開発だけでなく、運用段階でのモニタリングや記録の重要性も強調され、AIを社会で安心して使うためのマネジメント視点が求められるセッションでした。

また、2025年5月26日に新たに生成AIに関する品質マネジメントガイドラインが公開されました。
生成AIをプロダクトに組み込んでいるなら一読しておきたい内容です。

https://www.digiarc.aist.go.jp/publication/aiqm/genaiqm-guidelines-v1.html

[2C4-KS-26-01]AIの未来:研究室から実世界へ – 能動的学習が拓く次世代ブレイクスルー

Shane Gu氏は、AIの未来を「予測」「強化学習」「人との共進化」という3つの観点から論じました。

中でも印象的だったのは、「人の能動的予測性」の重要性です。受動的に情報を受け取るだけではなく、自らの世界モデルを持ち、それに現実の方を近づけていく能力が知能の定義の最終段階として語られていました。

さらに、動画や音声といった高密度データの重要性にも言及。これらは自然言語よりも1単位あたりの情報量が多く、視覚や聴覚といった人間の感覚により近い形で現実を捉える手段として注目されています。また、評価がしやすく、高品質なデータを比較的安価に収集できることから、今後のAIの性能向上や応用展開を加速させる鍵になるとされました。

最後にGu氏は、「日本人のこだわりや感性こそがAIに代替されにくい強み」であり、日本がAI社会の設計をリードして欲しいと力強く呼びかけ、セッションを締めくくりました。

終わりに

JSAIに参加させていただき、多くの方々と交流ができる良い機会となりました。改めて、人工知能学会を運営してくださった皆様に心より感謝申し上げます。
今回は聴講のみの参加となりましたが、来年も開催されるJSAIにはしっかり研究成果をまとめて発表できるように努力いたします。

最後に、GMOインターネットグループでは、次世代を担うエンジニアの育成にも力を入れており、各社でインターンシップを実施しています。

「グループ合同インターンシップ」では、データサイエンスコースとML/Webコースから自分のスキルに合ったコースを選ぶことができます。

そのほかにも、スタイルや興味に合わせて選べる多彩なインターンが用意されているので、興味のある方はぜひ以下のリンクからチェックしてみてください。

グループ合同インターンシップ
👉 recruit.gmo.jp/engineer/jisedai/internship

GMOインターネット
👉 internet.gmo/news/search/1/recruit/5

GMOペパボ
👉 recruit.pepabo.com/graduate

GMOメディア
👉 gmo.media/recruit/recruit-info

ブログの著者欄

杉浦 巧

GMO NIKKO株式会社

機械学習エンジニア 2023年にGMO NIKKO株式会社へ新卒入社。 入社後は、グループ横断プロジェクト「AIしあおうぜ!」のアドバイザーを務めるほか、広告効果予測プロジェクトや漫画解析AI、マーケティングミックスモデリング(MMM)、新規事業におけるMLOps構築やモデル開発など、幅広い開発に携わる。 専門は時系列解析や数理最適化。 趣味はバイク、釣り、ベースギターの演奏、料理。

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