こんにちは、GMOインターネットグループ株式会社の河﨑屋です。
今回はOJT(実務研修)の一環で新卒の方々と一緒にイベントストーミングを行った話をご紹介します。
目次
710プログラムとは
現在GMOインターネットグループでは、新卒世代で最高のポテンシャルを秘めた人財に集まってもらうべく『新卒年収710万円プログラム』を実施しております。(初任給・給与ナンバーワン~新卒年収710万プログラム~)
従来の新卒パートナーの倍以上のパフォーマンスを発揮できる優秀な人財に対して年収710万円(2年間)をお約束するものです。将来的にはグループ会社の社長や各事業の責任者など、今後のGMOインターネットグループをリードする「リーダー人財」を目指していただきます。ぜひ興味のある学生の方はご確認ください。
参加者
本OJTには下記メンバーにご参加いただきました。
筆者は②の商材システムの開発運用を行うエンジニアとして参加しました。
①2023年にご入社いただいた710プログラムの新卒パートナー(以下 710新卒と呼称)
②ドメインエキスパート(商材システムの開発運用に従事しているエンジニア)
③ファシリテーター(会議の進行や参加者から質問を引き出す役)
今回のOJTの目的
イベントストーミングの目的としては710新卒の方々にイベントストーミングを通じて商材に関する知識を身に着けてもらうことと、エンジニアと協創するという経験から実際の業務でも円滑に進められるようなリレーションの構築を促すことです。
イベントストーミングとは
イベントストーミングは、特定の「ドメイン」、すなわち問題を解決しようとしている特定の領域やビジネスロジックなどを理解し、モデル化するための手法です。ここでの「モデル」とは、現実世界の複雑な部分をシンプルに表現したものです。
今回のイベントストーミングはGMOインターネットグループ内で普段使用しているフォーマットを踏襲して進めていきました。ここでは詳しい説明は省きますが、興味のある方は以下の資料をご確認いただければイメージを掴めるかと思います。
新卒OJT版イベントストーミングの進め方
今回の研修では、主に3つのセグメント(ドメイン事業・ホスティング事業・アクセス事業)の代表的な商材をイベントストーミングの対象として実施しました。
なお、以下に示す例は実際に作成したものとは異なり、今回の執筆に伴い筆者の方で新たに作成したものになっています。ここでは、レンタルサーバーのサービスにフォーカスを当てています。
イベントの洗い出し
最初に想定しうるイベントを洗い出すことを行いました。710新卒の方々はプロダクトの仕様に関してまだ詳しくなかったので、システムの裏側を理解しているドメインエキスパートと対話しながら進めていきました。
時系列の整理
次に、洗い出したイベントを時系列で整理しました。この段階でイベントが適切なものか、重複はないかなどの精査も併せて進めました。
懸念点・問題点の洗い出し
時系列で整理していくと、イベント単位で気になることや前後のイベント関係が不十分な箇所が出てきました。その部分をホットスポットとして、メモに記録しておきました。
モデルの構造化
イベント以外にも、コマンド、ポリシーなどの概念を加えて、モデルの構築を進めました。この段階で、ホットスポットに対して深掘りし、慎重に解決策を探りました。
やってみて感じたこと
イベントストーミングは特別なスキルセットが必要なく、様々な属性を持つステークホルダーと共通理解を作り上げる手法だと説明されています。確かに今回参加した710新卒の方々はプロダクトの仕様をほとんど知らない状態から始め、自分たちの言葉で仕様を説明できるというレベルにまで到達することができました。
ですが、課題点もいくつか見受けられたので、こちらを共有します。
まず710新卒の方々を苦しめたのはドメインエキスパートが使う言葉でした。システム開発の経験がほとんどない710新卒の方々にとって、サービス、バッチ処理、API、DBなどの用語は混乱の元でした。それを察知して、少しでもイメージしやすいようにという気持ちから、ドメインエキスパートが曖昧な表現をしてしまい、さらなる混乱を生む場面もありました。
仕様を深堀りする、解像度を揃えるという作業には、高いコミュニケーション能力と、物事を構造的に把握する能力がとても重要に感じました。言葉の意味を注意深く察知し、「VMってなんだ??」「レジストリとレジストラって一緒ですか??」など積極的に質問している姿はとても印象的でした。
仕様を共有するドメインエキスパート側の姿勢も重要でした。システムの仕様を説明する際、どういった経緯で今の仕様を採用しているのか、身近なエピソードや具体例を交えて説明するなど、抽象と具象のバランス感覚を身につけることで、より深くシステムの概念やプロセスを共有できると感じました。
まとめ
今回筆者はドメインエキスパートとして参加しましたが、710新卒の方々とともに自分たちのサービスを見直す機会はすごく刺激的でした。「どうしてこんな構造なんだろう?」「ここはなぜ共通化できないんですか?」など出来上がったシステムだけを見ている私では気にも留めないようなことが、外から見ると目立ち、改善のヒントになることを新たに発見しました。
イベントストーミングはDDDにおけるモデル設計手法の一つというイメージが強かったのですが、今回のように開発者以外の方ともサービスの現在地点を共有し、新たな視点や知識を創造するための有効な手段になりうると感じました。
ぜひこの記事を読んでいただいた皆さんもイベントストーミングの魅力に触れてみませんか?可能性を探求し、創造の旅へ一歩踏み出しましょう。新たな視点を開拓するチャンスを掴んでください!
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