【イベントレポート・中編】GMO Developers Day 2025 -Creators Night-|変化に挑むクリエイターのキャリアと成長

2025年12月9日開催の「GMO Developers Day 2025 -Creators Night」。
本レポート中編では、レポート前編に続き、AI時代の映像制作・デザインの価値・インハウスデザイナーのキャリア、デザインの価値をテーマにした3つのセッションの内容をお届けします。
AI技術の進化により、現場ではいま何が起きているのか。
ツールをどう使いこなし、変化の中でどんな力が求められているのか。
前編での実務的な取り組みに続き、中編ではクリエイター個人の視点や役割の広がりに注目していきます。

現場が語る!AIとともに変わる映像制作の最前線

登壇者:清水勝太(KOEL / WIT COLLECTIVE ディレクター/クリエイティブコンダクター)
加藤優真(GMOインターネットグループ エキスパート 映像領域)

生成AIを使った広告クリエイティブサービス「DO/AI」を展開している清水さん。
デモリールでは、全編にAIを活用した「Toyota Global ・Land Cruiser 300」のショートムービーや、背景にAIを活用した「河合塾」のCMなどが紹介されました。

清水さんがADKから独立した2023年は「AI画像生成」の扉が大きく開いた年であり、「インプットを最大化する答えは、アウトプットにある」と、自ら手を動かして生成AIでの動画制作をはじめたと振り返ります。
独立から2年が経過し、Nano Banana ProやSora 2などが台頭する現在の映像制作について「環境が変わり始めていることを実感する。まさに今が変わり目だと思う」と潮流を語る清水さん。
ビデオコンテの段階で生成AIを使う割合が増加し、本格的なプロユースでの活用が増え始めているそうです。

左:GMOインターネットグループ 加藤優真さん|右:KOEL / WIT COLLECTIVE 清水勝太さん

GMOインターネットグループでも生成AIの使用を進めており、加藤さんも「AIを使って映像や音楽・音声の素材製作をすることもある。だんだん現場の中に入り始めていて、危機感を感じることもある」と述べました。

清水さんが手掛けたあるCM事例では、「クライアント側からAIで作りたいという要望があった」と、全編をAIで作成したCM制作の背景を紹介。
そのうえで、「Sora2も破綻がまだまだ多い。最終的には一度すべて画像に起こしたうえで、BananaやPhotoshopをはじめとしたあらゆる手を使って、キャラクターの造形などを調整していった」と苦労を語ります。
一方、「これまで予算オーバーで通らなかった企画も通るようになった。納期においても撮影に向けたさまざまな確認もなくなるため、そういう意味では短くなった」(清水さん)というメリットも強調しました。

加藤さんもGMOインターネットグループでの事例として、音楽生成AI「Suno」を使い1週間で完成させた「GMOとくとくBB」のCM、全編AI制作の「Conoha AI Canvas」のCMを紹介。

「GMOとくとくBB」のCMについて、「毎回、新しい表現や構成で事業に貢献できないかと考えながら制作している。潤沢に制作予算がない中で、自分たちの手で動かせるものや、会社として契約しているサブスクリプションの中で何ができるかを考えた中で、音楽をかなり大事にした方が良さそうだというところから始めた」と語る加藤さん。
キャンペーンの直前期に制作したためタイトな納期でしたが、生成AIの力を借りて1週間でCMを制作したと振り返ります。

GMOとくとくBB」のCM

「ConoHa AI Canvas」は、クラウド上のGPUを活用することで、Stable Diffusionなどの生成AIモデルを利用できるサービスです。このCMも、AI Canvasを使って生成した映像で仕上げました。
動画制作の中で「ConoHa AI Canvas」を中心に制作したものの、生成した画像をPhotoshopやNano Bananaなどを使って「綺麗に整えていく作業」を繰り返して動画に落とし込んだそうです。
こうした経験から、「商用に耐えられるものができつつあるが、まだ人の手が入ることで初めて成立する」と清水さんに同意しました。

Conoha AI Canvas」のCM

最後にこれからの映像クリエイターへの提言として、清水さんは「まず生成AIを触ってみる。最初のハードルが一番高い。YouTubeに投稿された講座動画などを真似して2〜3回やるとだんだんわかってくる」とアドバイス。
2026年度には広告の約7割で何らかのAIが使われるという肌感を述べつつ、プロがAIを使いはじめた今が狙い目だといいます。
加藤さんも「まずは動画のチュートリアル等も見ながら、いろいろ試してみることが大事」としたうえで、「映像制作が好きという原点は変わらない。そこを失わず、AIを武器として使うことが求められる」と語りました。

AI時代の意味を作るデザイン

登壇者:枌谷 力(株式会社ベイジ 代表)、上岡 繁(GMOインターネットグループ)

AI時代に求められる審美眼や、AIに対する不安や恐れをどう乗り越えるべきかがテーマとなったディスカッション。最初の議題は、「デザイナーは自らの審美眼をいかに磨いていくか」です。

枌谷さんはデザイナーの審美眼について、「コンマ数ミリ単位の調整など、手を動かすことによって審美眼が磨かれる。AIが出たからといって、手を動かさなくなることはむしろ不利になる」と力説しました。
その一方で、画商やキュレーターのような「自ら創作するわけではないが、いいデザインを見極められる人」が、AIネイティブの時代に増えてくるのではないかと語ります。
この話を受けた上岡さんも、「AIを逆手に取るようなアイデアも、これからのデザイナーに求められる審美眼となるのかもしれません」と所感を述べました。

GMOインターネットグループ 上岡 繁さん

続いて話題に上がったのは、技術革新の歴史から見るAIのインパクトについて。

枌谷さんは「写本から活版印刷、活版印刷からDTPへと変革する歴史の流れの中にあるもの」だとしたうえで、Webという文脈においては「インターネットができて以降、最大級の波だと思う」と、これまでにない規模の変革であることを強調。
参加者の多くが大きくうなずくなか、「デザイナーやクリエイターじゃない人が、この波を上手に乗りこなしていくのかもしれない」と、役割の転換が起きやすい状況にあることも指摘します。

上岡さんも、トレンドに合わせて「躊躇なく武器を持ち替える」ことの重要さを示したうえで「今まで持ってた武器をすぐに捨てられるようなフットワークの軽さは、今まで以上に求められる気がします」と危機感を示しました。

議題は、AIが作業を担う時代における人間の役割に移ります。

上岡さんは「非言語コンテンツを作るには言語化された知識が必要」という枌谷さんの言葉を引用し、「こうした構造化や言語化は、今後どのように変化していくのでしょうか」と意見を求めます。
それに対し、「言葉を知らないと狙った通りにはできない。デザインワードを知っているからこそ意図したとおりに出せる」と答える枌谷さん。
プロンプトベースでデザインする時代においては「言葉を知っていることが優位性になる」と語り、言語化力の向上手段として、ブログなどでアウトプットして「言葉を紡ぐ」ことの重要性も示しました。

株式会社ベイジ 代表 枌谷 力さん

最後に語られたのは、クリエイターの未来について。「明るい未来は来そうですか?」と投げかける上岡さんに対し、枌谷氏は「ぶっちゃけよく分からない」と率直な思いを語りつつ、「AIがさまざまなものを自動的に作る時代が来てからやればいいかな、という気持ちがある」と楽観視する姿勢を見せます。
そのうえで、「ChatGPTの公開当初、AIがここまでの進化を遂げるという予測はほぼ見なかった。今から3年後のAIは、我々の予測の先を行っているでしょう」と展望を述べました。

AI時代のデザイナーは、変化の速い技術を使って業務を行わなければなりません。だからこそ、「言語化力や論理的思考力、発想力といった汎用的な『ポータブルスキル』を磨くことを意識して日々の仕事に取り組むことで、次の時代にもついていける」(枌谷さん)のです。

変化の時代でも揺るがないインハウスデザイナーの価値の高め方

登壇者:岡 直哉(株式会社Sales Marker CDO)
岡本くる美(GMOメディア サービスデザイン部 部長/GMOインターネットグループ エキスパート)
斎藤孝俊(Cocoda 事業責任者)

AIの時代においても、「先人のキャリアからインハウスデザイナーとしての変わらない価値を探る」ことをテーマにスタートしたディスカッション。

冒頭で、モデレーターの斎藤さんは「インハウスデザイナーのケイパビリティマップ」を提示したうえで、今日の話はLv.2の「案件の期待を上回る」Lv.3の「チームのキーマンになる」Lv.4の「事業をリードする」という3段階の話だと前置きします。

Lv2の「案件の期待を上回る」ことを期待されていた時期と当時担っていた役割について質問された岡本さんは、事業部付のデザイナーとして活動していた12年前を思い出しつつ、「デザイン業務全般はもちろん、特定機能のKPIやそこから出る売り上げの責任を負っていた」と振り返ります。

しかし、「自分の意見に説得力がなく、そのために自分がいいと思ったアイデアが賛同されにくいということもあった」という挫折も。状況を変えるために行ったのは、有言実行の徹底でした。
「任された仕事は提出期限までに意地でも作るし、それより数日早めてブラッシュアップを提案していた。成果が出ると部内での風向きが変わってきて、次のチームリーダーも任せてもらえた」とのこと。

GMOメディア サービスデザイン部 部長/GMOインターネットグループ エキスパート 岡本くる美さん

「新卒で入社したYahoo!株式会社にいた頃がその時期だった」と語る岡さんは、Yahoo!ショッピングでセールスとプロモーション領域のデザインを担当したことで、売上や事業貢献への意識が高まったそうです。

社内に大勢のインハウスデザイナーがいるという環境に身を置いていた当時の悩みは、「普段の作業依頼をただ打ち返してるだけでは、単なる作業者になってしまう」こと。
デザイナーとしての価値を上げるため、「日々任されるデザインのクオリティを120%まで上げる」ことと、「企画の要素や他の売り上げに直結するプラスの付加価値をつけていく」ことで信頼を勝ち取っていきました。
岡さんの行動に対し、岡本さんも「デザインするという『当たり前』から脱して価値を創出するには、自分ができることを増やさないと」とうなずきます。

Lv3の「チームのキーマンになる」領域に岡本さんが達したのは新卒3年目ごろ。新規事業の立ち上げに関わり、ステークホルダーとのコミュニケーションや機能のグロースに関する意思決定を担いました。

この時はプロジェクトチームの8割がエンジニアで占められていたため、デザインの視点で話をするとコミュニケーションエラーが起きてしまったとのこと。
その際は、エンジニアとの「共通言語」で会話するために、「サービスの成長を主眼に置いた対話の中で、デザイン的なアプローチを提示する」という工夫をして乗り切ったそうです。
ビジネスモデル全体像やターゲットへの価値提供といった知識も求められたことで、結果的に「デザイナーとしての活動スケールが大きくなった」と語りました。

岡さんは「会社全体のブランディングを行うブランドマネジメント室に行ったことが大きかった」と、領域の変化がキャリアに影響を与えたと分析。

アートディレクターとして会社全体を俯瞰的に見る中で、「デザインの細部よりも、コンセプト設計や全体のマネジメントなどの大きな視点で話す機会が増えた」と語りました。
さらに「サービスの質や売り上げを上げるという視点から、会社全体のブランディングを作るという目的の変化や、新しいものに触れて刺激を受けるのも楽しかった」と、この段階ならではの楽しさにも言及します。

株式会社Sales Marker CDO 岡 直哉さん

岡本さんもこの楽しさについて「目的に対してどうアプローチするかを決められるというのは楽しかったですし、成長にもつながった」と語りました。

ここまでの話を基に「デザイナーがやるべきことは実はそんなに変わってないのでは」と述べる斎藤さん。最後に、「AIの台頭する今でも同じことをやりましたか?」と尋ねます。

Cocoda 事業責任者 斎藤孝俊さん

岡本さんは今の時代なら選択肢が増えそうだとしつつ、「自分の仕事スタンスや、役割を広げつつ責任をもって実行するというシステムは変わらないので、同じことをしていると思う」と言い切ります。
岡さんも「AI時代でも領域を広げていく必要があり、ディレクションやコミュニケーション能力といった付加価値はどんどん重要になる」と語り、より広いスキルセットを持つデザイナーを目指すべきだと訴え、セッションを締めくくりました。

まとめ

AIの進化にともない、デザイナーに求められる役割やスキルも変わり始めています。
今回紹介したセッションでは、そうした変化に対して、現場でどのように対応しどんな力が求められているのかが語られました。

映像制作におけるAIの活用や、ツールを使いながら考える姿勢、そして組織の中でキャリアや役割を広げていくための取り組みなど実践を通じて得られた知見が共有され、これからの働き方にヒントを与える内容となりました。

本イベントの最後のレポートとなる後編では、GMOインターネットグループ横断で取り組むクリエイティブ発信強化施策「Creator Synegy Project」にまつわるセッションや、本イベント内で実施した若手クリエイターを対象としたAI活用デザインコンテスト「GMO DESIGN AWARD 2025」の表彰式の様子をご紹介します。
ぜひご覧ください!

▼本イベントのアーカイブ映像はこちらから

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GMOインターネットグループ株式会社

イベント活動やSNSを通じ、開発者向けにGMOインターネットグループの製品・サービス情報を発信中

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