9月26日(火)にオンラインで開催された「GMO Developers Night #38」では、オンライン総合決済サービスを展開するGMOペイメントゲートウェイ株式会社が登壇。
決済代行業界初のサポートセンター国際認定を取得したカスタマーサポートの裏側について紹介しました。
イベント告知:https://developers.gmo.jp/37658/
目次
登壇者
GMOペイメントゲートウェイ株式会社 システム本部 カスタマーサポート
- 部長 田中 弘道
- テクニカルサポートグループ 佐山 量哉
- サポート企画グループ 土屋 優希
- コンタクトグループ 課長 寺村 杏里
笑顔の絶えないハイクオリティなサポートセンター
冒頭では、田中がGMOペイメントゲートウェイ株式会社(以下、GMO-PG)およびカスタマーサポートの概要や特徴について説明しました。
GMO-PGは、オンライン事業者・公的機関等の加盟店に対し総合的な決済関連サービスを提供しており、社名のとおり加盟店と決済をつなぐゲートウェイの役割を果たしている会社です。2023年6月末現在においては、連結加盟店舗数15万5598店、年間連結決済処理件数58.6億件、年間連結決済処理金額14兆円という実績で、毎年営業利益25%成長を目標に増収・増益を続けています。
こうした会社の成長を支えるGMO-PGのサポートセンターは、システム本部の配下に所属しており、コンタクトグループ(G)、テクニカルサポートG、プロセシングサポートG、サポート企画Gの4つのグループから構成されています。
田中によると、GMO-PGのサポートセンターの特徴は大きく分けて5つあるといいます。
1つめは、エンジニア出身者が複数在籍している点。2つめは、ハイレベルな接客業界出身者が多数在籍している点。このような背景もあり、HDI格付けベンチマーク「クオリティ格付け」において、最高評価となる三つ星を6年連続で獲得。また、2023年6月にはセンター認証の最高峰である「HDIサポートセンター国際認定」が決済代行業界で初めて認定されるなど、外部機関からも高い評価を受けています。
3つめは、改善をドライブさせる専任チームがセンターを下支えしている点です。小規模なセンターの場合、改善担当はオペレーションチームが兼務することが多いですが、GMO-PGでは会社や業界のスピードにキャッチアップできるよう改善に向けた専任チームを設けています。
4つめは、メンバーのスキルレベルを見える化することにより、多様なキャリアパスを用意している点です。田中は「エンジニア出身者の多いテクニカルサポートや改善専任チームへの異動など、サポートを1つのサービスとして向上していけるようさまざまな職務がある」と説明します。
5つめは、「とにかく明るいサポートセンター」である点です。センターでは「ありがとう」「笑顔」「素直さ」を行動指針にしており、田中によると「笑顔が絶えないスタッフが揃っており、センター内には常に良い雰囲気が流れている」といいます。
技術的な内容に特化した対応を行う「テクニカルサポートG」
続いて、佐山がテクニカルサポートGの活動について紹介しました。
開発職としてキャリアをスタートした佐山は、顧客の声を聞くことができ、なおかつエンジニアの背景をいかせる職場としてテクニカルサポート職へ転身。現在は、技術的な問い合わせ対応を中心に加盟店やシステム会社のサポートを行っています。
加盟店が抱える悩みや不安、懸念点はさまざまで、問い合わせ内容も多岐に渡ります。たとえば、「決済処理がエラーとなった」「開発を行ううえでどの仕様書を見ればよいのかわからない」「処理フローの想定に問題はないか」など、回答に技術的な知識や経験が求められる問い合わせも多くあります。
エンジニア未経験者がこれに対応しようとすると、開発部門への確認が毎回必要となり回答に時間がかかる、質問の内容がオペレーターに伝わらない、期待どおりの回答が得られず問題が解決しないなどといった問題が生じます。そこで技術的な内容に特化した対応を行うため誕生したのが、テクニカルサポートGです。エンジニア経験者が多く在籍するテクニカルサポートGの強みについて、佐山は次のように話します。
「エンジニアの経験があるからこそわかる悩みや共感できる部分がある。エンジニアと同じ目線に立つことで、加盟店が抱える問題はもちろん、潜在化している問題を発見し、加盟店のシステム運用をより良くしていくことができる」(佐山)
サービス導入から安定稼働に向けてアシストすることも、テクニカルサポートGの業務の1つです。そのため、グループのメンバーが営業同行をすることも多いといいます。営業同行では、加盟店システムの担当者も含めて打ち合わせることで、技術的な質問点も含めた不明点を解消していきます。また、それだけでなく、加盟店から改善の要望を受けた際には、開発部門へその声を届けるという役割もテクニカルサポートGが担っています。佐山は「お問い合わせ対応や営業同行を行うなかで、開発側に改善提案をしてシステムに反映させ、それを加盟店にご利用いただくというサイクルが回っている。私たちが加盟店の声を届ける架け橋となることで、複数部署からサポートする仕組みが形成されている」と機能改善に向けた体制について説明します。
たとえば以前、サービスへの接続方式の1つである「リンクタイプPlus」に対して、エラーメッセージがわかりづらいという声が普段のサポートのやり取りのなかからあがっていました。そこで、カード番号の誤りや利用できない支払い方法が指定されているなど、エラーの原因をより具体的に表示されるよう変更しました。
「加盟店からヒアリングした内容をただ開発に伝えるのではなく、具体的にどのようなメッセージがよいのか、システム処理として無理はないかなど、お互いにとってより良い方法を探すことができた。これはエンジニアとして開発や要件定義を行ってきた経験から為せることだと考えている」(佐山)
サポート職に転身して良かったと感じる瞬間は、加盟店から感謝の言葉をもらえたときだという佐山。「自分の行った対応が加盟店のためになったと、自己肯定感を感じられる。感謝の言葉は、自分が作ったシステムを活用してもらえていること以上にモチベーションの向上において効果がある」とやりがいを語りました。
サポートの改善活動を専任で担う「サポート企画G」
土屋はサポート企画Gの取り組みを紹介しました。
独立系SIerや社内SEなどを経て2015年にGMO-PGに入社した土屋は、テクニカルサポートに4年従事した後、現在はサポート企画Gにて主にSalesforce関連の利用設計や改善を担当しています。
サポート企画Gは、土屋の入所当時は存在しなかったグループだったといいます。加盟店、決済手段が年々増えることで、問い合わせ対応のための知識習得への負担が大きくなるという状況を打開するため、2019年に改善に特化したグループとして立ち上がったのがサポート企画Gでした。サポート企画Gの設立前は改善活動にかける時間が部門全体で20%しかありませんでしたが、2022年には40%にまで増えています。
現在サポート企画Gでは、サポートにおける各種数値の管理・分析、FAQ・チャットボットといったセルフサポートサービスの運用改善、顧客満足度アンケートの実施、在宅環境の整備など内部の環境整備、社内ナレッジの運用など、さまざまな取り組みを通じて顧客満足度向上を目指しています。
サポート企画Gでは、お客様がなるべく努力をせずに早い段階で問題解決できる「シフトレフト」を目指す取り組みを行っており、そのうち土屋が「一番大きな取り組み」とするのが、FAQサイトの改善です。土屋の入社当時、FAQサイトには専任担当者がおらず、更新も分析もされていない状況でした。そこで有料のFAQシステムを契約し、実際の問い合わせ内容と突き合わせて不足しているFAQは何か分析できるよう、問い合わせを1件ずつカテゴライズしました。また、同じタイミングでPDFマニュアルのオンライン化を行いました。これによりFAQサイトの参照数は増え、加盟店の数が増えているのにもかかわらず問い合わせ数が減少するという効果があったといいます。
現在のFAQサイトは、そこからさらに改善された3代目のバージョンとなります。2代目で利用していたFAQシステムは従量課金制で、参照数が増えるほど費用がかかってしまう状況だったため、社内ナレッジを一元管理でき、他サービスへの展開も可能な別の汎用的なツールへ移行。現在稼働している3代目のサイトへリニューアルすることとなりました。土屋はこの際にエンジニア経験がいきたと振り返ります。
「移行の際にはエンジニア経験をいかし、データの持ち方など今後の発展も視野に入れた構築設計ができた。テクニカルサポート以外でも、カスタマーサポート部では元エンジニアの経験をいかすチャンスがある」(土屋)
2023年4月からは「KCS(ナレッジ・センター・サービス)」を本格スタートしています。KCSは、米マイクロソフトやオラクルといった先進IT企業が参画する非営利団体サービスイノベーションコンソーシアムが発表した方法論です。
KCSの導入以前、問い合わせを受けた担当者は、自身の知識やドキュメント、マニュアルなどを使って回答していました。しかし、KCSではまずはじめに必ずナレッジを検索し、それを利用して回答するという流れになります。既存のナレッジ内に見つからない場合は、ナレッジを新規に作成します。これにより、新人でもベテランメンバー同様の対応ができるようになるメリットがあります。
「KCSは方法論なので、運用方法やシステム設計は示されていない。方法論を理解したうえで運用ルールを作っていく必要があった。私はルール構築に加え、エンジニア経験をいかしてシステム面も担当。お客様対応にSalesforceを利用しているため、ナレッジもSalesforceで検索作成できるように構築設計した」(土屋)
サポート企画Gではこれからも、お客様の満足度向上につながる取り組みを続けていきます。
人材教育を担当しセンターの品質を保つ「コンタクトG」
寺村は、コンタクトGの取り組みについて紹介しました。
アパレル会社での接客経験がある寺村。GMO-PGでは電話対応業務からスタートし、現在はコンタクトGのマネージャー職としてチームメンバーの管理、社内各部署との調整等を担当しています。
技術的な内容を扱うテクニカルサポートGに対し、コンタクトGでは、契約に関する手続きや管理画面などの問い合わせに電話・メール・チャットのマルチチャネルで対応しています。
特徴は、ファーストクラスのキャビンアテンダントや大手百貨店の販売員、5つ星ホテルのブライダル担当者など、ハイクオリティな対応が求められる接客経験者が多く集まっている点です。コンタクトGでは、そうした経験者の知見をいかして、品質管理のための対応評価やそれに基づく人材育成も担っています。
特にエンジニア出身者は接客・顧客対応の経験がない場合も多く、知識が豊富にあってもそれをわかりやすく伝えたり、相手の気持ちや状況に適した形で寄り添いを表現したりすることを不得意に感じる人も多いといいます。寺村は「メンバー1人ひとりと会話をしながら、ウィークポイントや成長スピードにあわせて研修を実施していく」と研修の方針について説明します。
初期研修/導入研修では、わかりやすい研修資料を作成・活用するだけでなく、本人からフィードバックの場を設けて研修内容や流れの整合性を見直すことで、カリキュラムのブラッシュアップを重ねています。以前は研修資料が整っておらず、講師の知識レベルによって内容の偏りがあったといいますが、現在では講師向けの研修も実施し、誰が講師になっても情報に偏りなく必要事項が網羅された研修ができるようなカリキュラムとなっています。
導入研修が終わるとOJTに進みます。実際の電話対応において不明点があった場合には、すぐに相談できるよう近くにリーダー以上の先輩メンバーを配置したシフトが作成されているため安心です。1人で顧客対応をするなかで感じる不明点や、導入研修ではカバーできなかった難しい内容については、個別研修やスキル別研修で補っていきます。配属5か月目をすぎると、毎年実施している対応評価、半期に一度受験する全員共通のテストで個々のウィークポイントを洗い出し、それぞれのメンバーにあわせたフォロー研修を実施していきます。
各人のスキルレベルは、受電件数、音源モニタリングのスコア、スキルテストの点数、メールの承認率、KCSナレッジへの貢献などの達成度によって、5段階で評価されます。寺村は「定量的でわかりやすい目標を設定することで、メンバーのモチベーションにつながる。ランクごとのレベル感が明示できるため、サポート全体のバランスを考える際などマネジメントもやりやすくなるメリットがある」と話します。
こうした取り組みの成果もあり、第三者からの高い評価を得ているカスタマーサポート部。寺村は「連続獲得のプレッシャーはある」と明かしながらも、「モチベーションにつながる面もあるうえ、加盟店にもより安心・信頼して使っていただける」と第三者評価の効果を説明します。そして「優しく思いやりのある対応がサポートにとっては大切。これを念頭においてよりご期待に応えられるよう、さらなる顧客満足度向上を目指していきたい」と今後の展望を語りました。
エンジニア採用実施中!
GMO-PGではエンジニアを積極採用中です。さまざまなバックボーンを持つエンジニアのみなさまの力を必要としています。興味のある方はぜひ採用HPをご覧ください。
また、これまで当社エンジニアが登壇したウェビナーやインタビューは以下にまとまっていますので、併せてご覧ください。
https://www.gmo-pg.com/blog/feature/feature03/
さいごに
ご視聴・ご参加いただき、ありがとうございました。
参加いただいた方からは、御社の取り組みを理解することができました、自らの参考にできる部分があれば取り入れていきたい、教育体制についてとても勉強になりました、興味深かったなど、温かいコメントをたくさんいただき、大変嬉しく思っております。重ねて御礼申し上げます。
映像はアーカイブ公開しておりますので、
まだ見ていない方、もう一度見たい方は 是非この機会にご視聴ください!
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