この記事は GMOインターネットグループ Advent Calendar 2024 3日目の記事です。
GMOインサイトの天河です。
もう年の瀬も近づいているということで、年末にいっちょLTに初登壇してみようかなと思っている方がいるのではないでしょうか。
初めて登壇すると決まっても「テーマどうしようかな」「上手く伝わらなかったらどうしよう」「構成の作り方がわからん」という壁(不安)にソッコーぶち当たると思われます。
そういう方に向けて、LTで登壇する際の心得みたいなのを記します。
目次
LTとは
LTとは「ライトニングトーク(Lightning Talks)」の略で、大体5〜7分くらいの短いプレゼンです。ただの短い「プレゼン」なのですが、テック界隈ではこれを「LT」と呼んでいます。
短いがゆえに、発表者側は「準備がそこまでいらないかつ(長いプレゼンと比べて)話すハードルが低い」というメリットがあり、聴く側には「テーマが分からなくても短いから(まだ)聞ける」というメリットがあります。
LTの参加までの流れは以下のようになります。
1. 申し込み
2. テーマ決定
3. 話すことを決める
4. スライドを作る
5. 練習する
6. 登壇
それぞれのステップごとにポイントを話していきます。
1. 申し込み
参加しなければLTは出来ません。これ大事。
LTをやったことがない方は、まず社内でLTイベントがあればそれに参加しましょう。心理的負担や参加ハードルがだいぶ下がります。社内で定期的に開催していなければ有志でLTをやるのもありだと思います。
どうしても社外のものに参加するなら connpass から自分が話せそうなテーマのLTを探しましょう。複数サービスを使っても悩むだけなので、最初はconnpassだけを使ってください。
connpassに入ったら、以下の画像のように検索して参加できそうなものを探しましょう。LTは意外と人気なので登壇枠が埋まっているものが多いため、新着順で検索します。
2. テーマ決定
話したいことがある人は無問題ですが、意外と「登壇はしたいけど話すことが思いつかない」という事は結構あります。
そのような時は「自分が今までやってきた / やっている事」×「伝えたい事」でテーマを考えてみましょう。
例:Vue.js を最近始めた × Vue.js サイコーすぎるからみんな体感して欲しい = 「人類が今すぐVue.js をやるべき3つの理由」
その他、汎用的なテーマの候補としては以下のようのなものがあります。
1. 試してみた系
2. やらかした系
3. 最近困った事 / 解決した事系
4. コミュニケーション系
5. 開発プロセス改善系
6. 魅力を伝えたい系
7. 新技術にチャレンジした系
8. 業務効率化ツール紹介系
9. トラブルシューティング系
10. リファクタリング体験系
11. コードの書き方や哲学系
12. 自作ツール・アプリ紹介系
13. 現場のあるあるネタ系
14. 技術の歴史と変遷系
15. 趣味が高じて技術を駆使してこんなもの作っちゃった系
話すことがどうしても見つからない時は無理に登壇しようとしないで、話せるネタができたり聞く人が関心を持ってくれそうなネタがある時に参加するのも一つの手です。
3. 話すことを決める
テーマを決めて即スライド作成ツールを開く人がいますが、スライドは億の次です。
話の構成は以下の要領で考えます。
1. LTのゴールを決める
2. ターゲットを想定する
3. 何を伝えるか決める
4. どう伝えるかイメージする
順番に説明していきます。
1. プレゼンのゴールを決める
LTに限らず全てのプレゼンに共通することですが、プレゼンは伝いたいことを相手に「プレゼント」するものです。そしてプレゼントした上で「相手に何かをしてもらう事」がプレゼンの至上命題です。
この前参加した Findy 社のイベント「Ask Me Anything! t-wadaさんに何でも聞いてみよう!」にて和田さんは「技術系の発表や登壇するときに一番大事にしていることを教えてください」という質問にこう答えておられました。
「聞いてくださっている皆さんの明日を変えること」
まさにその通りだと思います。
LTは短い「プレゼン」です。よく「自分の学びをアウトプットするためにLTに参加しよう!」という文言を見かけますが、目的から完全に間違っています。ただのアウトプットを聞いても「そ、そうか。」となるだけです。
LTのゴールは「自分の発表内容を聞いてくださった方がその内容を自分 / 自分のプロダクトに活かせる事」です。これはLTに参加する人全員に共通するゴールです。
これを忘れずに次の「ターゲットを想定する」に移りましょう。
2. ターゲットを想定する
・営業部門 / エンジニアの人か
・LTする内容について詳しい / 詳しくない人か
・自分を知っている / 知らない人か
など誰に向けてLTをするか想定し、先ほど決めたテーマをターゲットに最適化したものにしましょう。
★「自分が今までやってきた / やっている事」×「伝えたい事」+「ターゲットにとって有益な情報」
これが決まれば、大体発表する内容のイメージは掴めているはずです。あとは何を伝えるかを決めましょう。
3. 何を伝えるか決める
以下の手順を踏んでみましょう。
1. とりあえず言いたいことを全部「箇条書きで」書き出す
2. 一番伝えたいことを最初と最後に持ってくる
3. 最初と最後に持ってきた一番伝えたいことで書き出したこと言いたいことを全てサンドイッチする
最初に一番伝えたいことを持ってこれば、あとはその伝えたいことへの肉付けと余分な部分の削ぎ落としをすればいいだけです。
これで一旦「伝えたいことをとりあえず全て詰め込んだ」原文が出来上がります。これを整えてスクリプトレベルまで落とし込む作業が次のステップです。
4. どう伝えるか
3. のステップで出来上がったものを以下の手順で削ぎ落としていきます。
1. フレームワークを活用して原文を整える / 削っていく
2. 通しで話してみて、制限時間に収まるよう情報を削っていく
「1. フレームワークを活用して原文を整える」の一例として、ピラミッドストラクチャーを活用して一番伝えたいことを補強していく方法があります。
・結論は一つ
・結論に対して根拠を3つ用意する
・根拠に対して、それを裏付ける事実や具体例を複数用意する
・結論で始まり、結論で締める
フレームワークは自分の使いやすいものを適応させてください。
ここまで出来たら話す内容は大体完成しています。ここで初めてスライドの作成に移ります。
4. スライドを作る
前提ですが、LTの主役は「話し手」です。スライドはLTの理解を補足するものに過ぎません。作り込み過ぎはNGです。
とはいえあまりにもお粗末なものだと見栄えが悪いので、以下の2点は意識しましょう。
・デザインは基本4原則を守る
・1スライドに情報を詰め込まない
順番に説明してきます。
ちなみにスライド枚数は多くても少なくてもどっちでもいいと思う派です。
デザインは基本4原則を守る
デザインに詳しくない方でも、デザイン基本4原則「整列」「近接」「対比」「反復」を守るだけでいい感じに見えます。
整列
図形や文字の位置や配置を整える。
Googleスライドでは、揃えたい図形を選択して右クリック > 整列 /上下に配置 / 左右に配置 を使うと簡単に整列できます。
反復
スライド単体では、繰り返し要素は全て同じデザインにする。for文の要領。
スライド全体を通して文字のフォントや大きさ、文字の体裁を同じにする。規則性を持たせる。
例:
・タイトル36ポイント・本文24ポイント以上
・使用する色を3色に限定
・体言止め、箇条書きで統一
・文字は右、グラフや画像は左に配置
近接
関連する情報は近くに集めて配置する。
対比
情報の重要度を装飾や文字の大小によって強弱をつける。
注:意味のない装飾は避ける。
具体例も合わせて確認したい方は以下のリンクを参考にして下さい。
一つのスライドに情報を詰め込まない
先ほどの4つの基本原則に加えて「余白」も重要な要素です。
スライドに情報がありすぎると聞き手はスライドを読むモードに入ってしまい話が入って来ません。「1スライドに0.8メッセージ」を目安にしてスライドの情報量を減らしてください。
基準としては「スクリーンから一番遠い場所からでも読めてかつ3秒以内に読み終わるか」です。
また、文字を大量に書くよりも画像を載せたり動画を映した方が聞き手は情報を素早く掴むことができます。
おまけ:生成AIを使ったスライド作成
「Marp」はMarkdownからスライドを作成することができるツールです。
生成AIに「Marpでシンプルなデザインのプレゼン資料を作って」と頼んで簡単なスライドの骨組みを出力してもらう、という使い方ができます。
5. 練習する
話す内容とスライドが出来たらあとは練習のみです。練習で確認するポイントは以下になります。
1. 時間内で終わるか
2. 声が出ているか
3. 声に抑揚があるか
4. 聞き手の方を見ているか
5. 難しい単語, 固有名詞を使っていないか
6. 顔が死んでいないか
7. 自信無さそうではないか
8. 偉そうではないか
9. 身振り手振りが多過ぎないか
10. ギャグが多過ぎないか
プレゼンは第一印象で全てが決まります。ハキハキ喋られているかは特に気にしてください。1回は他人に見てもらってFBを受けたり、自分で動画を撮ってみて見直してみましょう。
また、想定外の事も考慮して削っていい部分をあらかじめ決めておきましょう。自分の伝えたいことよりも相手が知りたいであろう情報を優先的に残します。
人からのFBが欲しいけど友達がいない方は、Gemini 1.5 Proに撮影した動画とプロンプトを送るとそれなりのFBをもらうことができます。
6. 登壇
登壇前の最終チェックリストです。
1. スクリーンへの投影確認はできたか
2. キーボードやポインターでのスライド操作の方法は確認したか
3. PCの通知はOFFになっているか
4. 最後に1回通しで話してみて時間配分は問題なさそうか
あとはここまで書いたことを行っていればもう大丈夫です。時間配分に気をつけること「聞いてもらっている人のことを考えて」時には補足や噛み砕いて説明するなどして伝えるようにしましょう。
LTに限らずプレゼンは双方向のコミュニケーションです。PCをずっと見てブツブツ話しているのでは聞き手の心は何も動きません。スクリーンやPCではなく聞き手の方を向いて、たまには聞き手の目を見て元気よく話しましょう。
時には柔軟にアドリブも入れてみたりしましょう。「生きた」プレゼンを心がけてください。
おわりに
LTは慣れです。1回参加すればハードルはかなり下がることだろうと思います。
この記事では守破離の「守」の部分を紹介しました。参加回数を重ねて自分のベストな発表スタイル「破離」の部分を確立していきましょう。
「聞き手が自分の伝えたいことを受け取って、次のアクションに繋げてもらうこと」という全てのプレゼンのゴールは忘れないようにしてくださいね。
以上、ありがとうございました!
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