2022年6月21日(火)~23日(木)に日本国内最大のドローン・eVTOL(空飛ぶクルマ)展示会「Japan Drone 2022」が幕張メッセにて開催されました。
GMOインターネットグループはプラチナスポンサーとして協賛し、最大規模で出展しました!
今回は、国際コンファレンス「攻撃者はどこを狙うのか?ドローン・eVTOLに求められるセキュリティ対策~GMOインターネットグループが目指す「安全な空の移動」~」と題し、ドローン・eVTOL産業に携わる3人の専門家パネリストが「空の移動」におけるセキュリティや業界動向、GMOインターネットグループの目指すビジョンについて語りました。
イベント告知:https://developers.gmo.jp/18770/
本記事はこちらのイベントの書き起こしとなりますので、ぜひご覧ください。
目次
登壇者(敬称略)
- DRONE FUND 創業者/代表パートナー
千葉道場ファンド 創業者・ジェネラルパートナー/慶應義塾大学SFC 特別招聘教授
千葉功太郎 - GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社 CTO室 室長
浅野昌和 - GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社 執行役員 高度解析部部長
寺村亮一
国際コンファレンス
「攻撃者はどこを狙うのか?ドローン・eVTOLに求められるセキュリティ対策~GMOインターネットグループが目指す「安全な空の移動」~」
ドローン、 eVTOLの将来像と現在の状況
空の移動において留意すべきセキュリティリスクと、安全を守るために必要な対策について、有識者の皆様からお話をお伺いします。未来のドローンがどうあるべきかを模索していきたいと思います。
ドローンが一般的にも認知され、小型のものなどはもう個人でも比較的簡単に扱えるようになってきました。千葉さんはドローンに関するファンドも創業されているとお伺いしていますが、今後どのようにドローンや空飛ぶクルマと関わっていかれるのか、まず詳しくお伺いできればと思います。
千葉
まず自己紹介からですが、わたしはドローン大好き人間です。DRONE FUNDというドローンの投資ファンドは、今日もたくさん出展していますが、ドローンに夢を賭けている会社に株式出資をして、取締役としてわたしも入るとか、経営のご支援をしながらドローンの未来を作っていくということを主にやっています。
ほかにも、日本のスタートアップに投資、支援する仕事をしていて、現在約140社、個人も含めて日本中、世界中の会社を支援しています。
わたしはパイロットをやっています。ホンダジェットの国内1号機をオーナーとして所有していて、せっかく飛行機を所有したのならばパイロットになろうと思い、苛酷な訓練を2年半やりまして、昨年パイロットライセンスを取得。現在副機長として、今週の金曜日にも乗務予定です。
皆さんに今日お伝えしたいのは、この会場にはドローンの未来に期待をしている皆さんが集まっていただいているのですが、最終的には人間が空を飛びます。空を飛ぶということに対して一番知見が多いのは航空機産業だと思っています。航空機産業でパイロットが一番安全に対してすごく意識を持っていて、皆さんが気軽に乗っている飛行機は、日々1秒1秒がパイロットをはじめ業界全体の人たちによって守られています。これを学んで皆さんの業界に伝承し、ノウハウを引き継いでドローンやエアモビリティが安全に飛ぶ社会を作っていきたいというのが、わたしが取り組んできていることです。
我々の活動は世界で唯一のドローン・エアモビリティ専業の投資ファンドです。我々のテーマは、ドローン・エアモビリティ前提社会を作るということでして、小さい頃に見たアニメとか映画の世界が21世紀になっても全然実現しないわけです。それに僕は21世紀になった瞬間に絶望して、このままでは自分が生きている間に人間は空を飛べないと思って、人間が空を飛ぶ社会を作りたいと思ったのが自分の根幹です。
実は5年前に、「2023年、六本木ヒルズ屋上から見たドローン前提社会はこうなる」という絵を描きました。来年ですね。皆さんというところのレベル4です。東京都心部の上空でも自律飛行型のドローンが飛ぶ社会というのが来るだろうというのを、5年前に絵を描いて、こういう世界を作っていこうということをやっていますし、あるいは「2025年、墨田区のビルの屋上で離発着するドローンタクシー」という絵、これも今、大阪・関西万博に向けて政府が2025年にドローンタクシーの商業運用を発表しています。
こういったことを5年前に絵を描いて、未来予測を立てて、みんなを巻き込んで、こういう未来を作っていくんだ、日本から発信するんだというようなことをやっています。
最終的には、皆さんの生活の中に普通にドローンが入り込んでくる。例えば小学生の忘れ物を届けてくれるお母さんの代わりにドローンが届けてくれるとか、犬のお散歩をしてくれるとか、歩く女性の日傘の代わりになってくれるとか、こういう日常生活まで来る日が、この絵では2024年と書いたのですが、それぐらいのスピード感でくるといいな、と思っています。
我々は夢がたくさんあるなと、よくGMOインターネットグループの熊谷代表がおっしゃっていますが、「空は最後の産業のフロンティアだ」と。我々の社会はインターネットや、航空機産業やクルマ産業などいろいろな産業で大きくなってきましたが、実は空、特に低中空域は誰も開拓していない、ゴールドラッシュの可能性がある場所だと思っております。そこにリモートセンサー、フィールドロボット、モビリティがあるし、特に日本は課題先進国であると考えていて、いろんなことをネガティブにとらえるのではなく、だからこそドローンを代表するロボットが活躍するには日本は最良の国ではないかと、そういうふうに考えております。日本で勝ち抜いたソリューションというのは世界中に輸出することができるのではないかと考えており、それがこのドローン・エアモビリティの社会実装になっていくのだと。
ということは、今日のこのセッションもそうですが、いわゆるドローンの本体を作るだけの仕事ではなくて、このドローンが安全に飛行するための様々な見えないところに気を使っていかなくてはいけない。ドローンが落ちたら怖いじゃないですか。例えばここに書いてあるのは、我々の投資しているところで言うと“風を読み取るスキャナー”に投資をしています。3Dスキャナーで風のこの空間の中が一体どういうふうに空気が動いているかというのをリアルタイムにデータ化して、例えば東京のビル群の中をどう具体的にどういう向きでどういう風が動いているかというのもスキャンするような仕組みです。こういう仕組みがないと、東京のビルとビルの間を自動飛行のドローンやエアモビリティが安全に運航することは不可能です。
なので、こういう技術もドローンの一部ですし、このあとお話しするセキュリティの技術も当然ハッキングされて盗まれてどこか持っていかれても困るし、墜落させられても困るので、要はやっぱりドローンが安心安全であるというのが、ドローン前提社会では必要なテーマになります。
そのために我々のDRONE FUNDファミリーがいま54社いて、ソフトウェアを作っているチーム、ハードウェアを作っているチーム、あるいはまさに周りの安全運航を支える基礎技術を作っているチーム、様々なチームが一緒になってDRONE FUNDファミリー、合宿もよくやっていますけど、みんなで未来を作る活動をしております。
ドローンの技術向上だけでなく社会整備も重要というのが、この回のテーマになったと思います。
浅野さんはGMOインターネットグループを代表して「空の移動革命に向けた官民協議会」にも参加されているということなのですが、その点についてお伺いしてもよろしいですか?
我々GMOインターネットグループは、昨年2021年から「空の移動革命に向けた官民協議会」に参画し、主にeVTOL(空飛ぶクルマ)の検討を行っております。
ロードマップを今回2つご用意していますが、こちらがドローンの官民協議会(「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」)に出されたものです。今年12月に改正航空法が施行されますが、ロードマップ上で黄色で示されているところ、これによって法的には今千葉さんがおっしゃったドローンのレベル4の飛行が可能になります。
レベル4というのは、「人がいる地帯」の上を飛べる、しかも遠隔操縦あるいは自律飛行が可能になるということです。最初は山間部と離島部などで実証実験が始まりますが、ゆくゆくは都市部でもドローンが人のいる上空へ飛んでいくことが実現可能になってくるかと思います。
次に、いわゆる空飛ぶクルマ(eVTOL)については、「空の移動革命に向けた官民協議会」において安全性基準の検討や、あるいは「社会受容性」といって、皆さんに受け容れていただく、皆様が安全で便利な乗りものだということを認識いただくための活動をどう行えばよいかという検討をしております。今年からは、空飛ぶクルマが離発着する離発着場(ポート)の検討にも具体的に入っていく予定です。2025年の大阪・関西万博で、遊覧飛行する予定になっておりますので、大阪・関西万博を節目にして、大きく認知が広がっていくと考えています。
浅野
まさに3年後ということですけども、千葉さん、空飛ぶクルマの開発はどのくらいまで進捗しているのでしょうか。
千葉
ドローンも含めた代表的なメーカー2社ということでご紹介します。
1社目はプロドローンです。
今日ご紹介する2社とも愛知県のスタートアップとなりますが、まさに日本の地域に根ざしたいろいろな技術がある、日本はクルマで産業が大きく育っておりますので、特に愛知であればトヨタ関連の会社とか技術がたくさんあります。日本各地にいろいろな技術があって、その技術をドローンや空飛ぶクルマにいまコンバートしていくチームがたくさん現れている中の、ドローンチームがプロドローンです。
もちろん皆さんがご存知の中型大型のドローンもありますし、サンダーバードドローンというものもありまして、空から飛んでいって海の上に着水して、そこから潜水艦ドローンが出てきてそれが海に潜っていく。それも発表して、実用になっています。
あとはヘリコプタータイプのドローン。ドローンはマルチコプターだけではなくて羽が付いた固定翼型のものもあれば、ヘリコプター型もあれば、さっき言ったとおり水中に潜るドローンもあったりとか、あるいは無人の船の型だったりとか、ドローンは非常に広範囲の定義になってきていると思います。
こういったメーカーが日本でも生まれていると。
2社目が同じく愛知県のSkyDriveです。
カーゴドローンと、人が乗るドローンを両方作っておりまして、2025年の大阪・関西万博に実際にお客様を乗せて運航するという日があと3年です。
いまこのカーゴドローン、大型ドローン、特に人が乗る空飛ぶクルマは世界の競争が激しい分野です。もともと進んでいるのが中国、そしてアメリカ、ドイツといった国で、うれしいことで日本勢はトップ5にちゃんと残っています。まだまだメダルが狙える位置にある。誰もまだ商業化に来ていないということを考えると、商業化できたチームが金メダルだと考えると、日本勢も金メダルのチャンスはあるのでは、という状況です。
ドローンや eVTOLなどを含むIoTセキュリティの現状
となると、やはりセキュリティの面が気になるのですが、これまで数々のサイバー攻撃に対抗してきた寺村さんから見て、ドローンやeVTOLにどのような脅威が想定されるのでしょうか?
ドローンを飛ばすにあたって国土交通省から認定をもらっていないと飛ばしてはいけないという型式認証の話が出てきています。5年ほど前の自動車と同じ状況かなと思っていますが、型式認証の中のひとつにサイバーセキュリティという項目がちゃんと残っています。まだ最終版ではないですが、型式認証をとるためにドローンに要求されているものとして、「きちんと脅威を分析、特定して、その脅威に対して適切な対策をとっていること」という、脅威に関する文言が、抽象的ではありますが残されています。
これは何かというと、自動車の型式認証とほぼ同じなのです。自動車の時は、国際連合の法規で「このような脅威に対抗すること」という項目が決定された上で、日本でも「このようなことをやりなさい」と法律として出ているのですが、おそらくドローンも同じような方向性になると思います。「このような脅威例がある」といった具体的な議論はまだまだですが、今後ドローンをリリースする、型式認証をとる作業を行う上で、きちんとセキュリティの脅威を自分たちで分析し、それに対して自分たちで対策を立てることが必要になってくるのかなと思います。「これをやらないとドローンがリリースできない、市場に出せない」という、自動車と同様な世界がドローンに対しても近付いていると思っています。
自動車も同じ道をたどりましたが、実際に脅威分析をやるとなると、どこまでやればいいのかと。自動車もドローンも、最悪の状況は人が死ぬこと。自動車はもともと安全の世界で、制御は絶対大事。曲がる・止まる・走る、この3つを守らなくてはいけない。ドローンや空飛ぶクルマが制御を奪われるということは人命に直結するので、脅威分析をやらないことが絶対に許されない世界になっていくと思います。
ただ、これをやっていくと、ビジネスで使われる用途ごとにまったく脅威が変わってきます。例えば、人を乗せるドローンと、物を運ぶドローンと、カメラで撮っているドローンで、最終的に何かしら攻撃された時の影響はまったく変わってきます。だから、それぞれ一つ一つに対してカスタマイズした脅威分析をやっていく。自動車の場合は、自動車会社が体力があるので多額の資金をかけてやっていますが、ドローンについてもどこまで要求されるかは分からないですけど、たぶんその世界が近付いてきています。
まず技術面で言うと、攻撃者がドローンに対して「ここは絶対攻撃したい」と思うところはそこまでパターンはないかと思っています。攻撃者としては、一発で大きい影響を与えたいので、リモートからドローンの制御を奪うだけでは全然面白くない。「リモートからドローン制御を奪う、そしてどこかへ飛ばす、落とす」ということを、攻撃者としてはやりたいわけです。
もう1つは、ドローン単体の制御を奪うだけではなくて、ドローンを操作しているクラウド側を奪いたい。そのクラウドに繋がっている他のドローンの制御も全部奪えるとか、クラウド経由でドローンを操作しているオペレータールームの制御を全部奪えるとか、大きく制御をとるところを絶対狙いたいと思います。
3つ目として、ドローンで重要情報を運んでいる場合にその情報を盗みたいというのもあると思います。
寺村
ホワイトハッカーならではのお話で、リスクストーリーをどんどん上げていって、さらに対応策・対抗策をしていくということですね。攻撃を防御するためのIoTセキュリティとして、何か必要なものはありますか?
本当にいろいろあって、先ほど国土交通省から脅威分析してくださいよという話がありましたが、これがまず脅威モデリングという形で分類されています。大枠としてはそもそもちゃんと脅威について考えましょうというだけですが。今年3月に経済産業省から出されたガイドラインは良いなと思っています。
寺村
経済産業省管轄のNEDOさんからドローンのセキュリティガイドライン(「無人航空機分野 サイバーセキュリティガイドライン」)が出ています。
浅野
このガイドラインで良いと思っているのが、ドローンの使われ方ごとに「こんな脅威の例がある」という話と、それに対する対策が書いていること。
自分のドローンの使われ方を想定した上で、どのような脅威があるのかを自分なりに考えてみて、それに対して「こういうセキュリティを入れているから防げる」もしくは「この使われ方ではこの攻撃方法はたぶん通用しないので対策しなくていい」ということで取捨選択をできると。ドローンを飛ばすのも大事だけど経営を守るのも大事。全部やっているとお金はいくらあっても足りなくなります。セキュリティをやって経営が傾くと意味がないので、そこはバランスをとらないといけなくて、その考えをまず整理するというところが大事です。
その上で「何のルールに基づいてセキュリティをやるか」を決定して、要件定義から設計実装、そしてテスト、運用、それぞれの方に何の技術を得るのかを決定していく、そういうことが必要になってくるのだろうと思います。
寺村
その具体的な対策は?
多くの方は「机上でそんな分析をするって言ってもそれは何なの?」と思われるでしょうし、「それをやる意味はあるのか?」ということをよく言われます。
結局何からやるのが一番良いかというと、現状問題があるかどうかをまず一度確認すること。机上で検討していてもまだ決まっていないことや実装に落ちていないことばかりだったりするので、「実際動いているもので今現在テストしてみましょう」「テストして問題点を洗い出した上でフィードバックさせましょう」という方法です。正式には要求定義からするかもしれないけど、なかなかそれでは現場で入っていけないので、実際の製品にテストをしてダメなところを洗い出して、次の製品もしくは現状の製品に対してフィードバックをかけ、それをもとにしてセキュリティ要件を作る、という形で流していくやり方を、結構やっています。
例えば私たちはIoTペネトレーションテストの中でハードウェア解析を行っています。ドローンが廃棄されたり墜落したりしたとして、悪い人の手に渡ったらどこまでの情報がハードウェアから盗めるかというテストをドローンを分解してしたり、テスターから空を飛ぶドローンに対して通信をどこまでできるのか試してみたりするものです。実際にやってみると、アップデート機構で脆弱性が見つかることが多い。鍵をドローンの中に入れているパターンで、鍵の管理が甘くて、ソフトウェア解析をするとその鍵が簡単に取れてしまいます。ファームウェアをリバースエンジニアリングして、アセンブルといいますが、その中で鍵を取れたらそれが同一ロットのドローンに関してはその鍵が使え回せたとなると、同一ロットのドローンになりすませることが確定します。
ドローンがどういう通信をクラウドに対してやっているかということまでファームウェアから読み取れてしまいます。どこの宛先に対してどこのポートに対してこの鍵を使ってアクセスしたかが全部分かるから、次はそれを模擬していくわけです。
今回、ブースでデモをやっていますが、これもこのファームウェア解析をして見つけた脆弱性をもとに、プロドローンさんにご協力をいただきながら行っているものです。利用しているドローンはホワイトラベルなのでプロドローンさんの直接の製品ではないですけども、実際の解析結果をもとにして攻撃するコードを書いてパソコンから操作すると、クラウド経由でドローンを墜落させられるというデモをやっています。
このような脆弱性が見つかるので、まずはここからやってみるということを対策としておすすめしています。
寺村
GMOグローバルサインの実際の取り組みはいかがでしょうか。
私どもは、主に通信の暗号化と、機体の認証を専門にやっています。
特にレベル4になってくると、ドローンと地上のクラウドのシステムを本当に密にやりとりをしながら、機体の状況を常に地上で把握しなければいけない。通信が非常に重要になってきます。
そこに対して通信を盗み見られないような暗号化であるとか、あるいは機体や地上システムが相互に認証し、お互いのことを相手が意図したドローンあるいは地上システムであるということを確認しながら通信を行うというところをお手伝いさせていただいています。
浅野
環境整備の話も進んでいるということですが、これらの話を聴いて千葉さんいかがでしょうか?
千葉
すごく平たく言うと、会場の皆さんが業務で使われているドローンは穴だらけの可能性があるという話をしています。
わたしはインターネット業界出身で前職はスマートフォンゲームの開発をしていました。何百万人のお客様に使っていただいていると、サーバーのハッキングが経営の恐怖です。インターネット企業を経営していると、当たり前のようにハッカーからどうこの我々のサーバー、インターネットの資産を守っていくか、お客様のデータを守るか、というのは至上命題です。なので、まさにGMOサイバーセキュリティ byイエラエさんのようなホワイトハッカー集団に頼んで徹底的に攻撃してくれと。自社の例えばゲームサーバーを攻撃して、我々のシステムは盤石だからといって自信を持ってご依頼すると、やすやすと侵入されてしまい、やすやすと入られたのを塞いでいくというようなことを、ゲームやインターネット業界は息をするようにやっています。
でも残念ながら、ドローン業界はハードウェア中心の業界、通信中心の業界なので、あまりハッカーに対してどうこうという概念がない業界です。飛べればいい、あるいはプロペラが止まっても安全に着陸できるようなところに安全性があると、それも正しいです。ハードウェアにトラブルがあった時に何かあっても、人間が死なないためにゆっくり降りてくるとか、あるいはドンと落ちないようにパラシュートを付ければとかありますが、それ以前に一番怖いのは、1万機のドローンが東京の空にレベル4で飛んだ時に、さっきおっしゃっていたように、1万機を根こそぎ奪ってしまったら面白いという考え方、悪意のあるハッカーにすれば、まさに1万機を全部乗っ取ってターゲットポイントに集めて一斉に次々と落としていったら大変な攻撃力を持ってしまうわけです。
こういうことを我々がやろうとしているドローン前提社会は、広げれば広げるほどハッカーの脅威にさらされていく。こういう現実を我々は認識しないと、ここから先はやられ放題になるというセッションです。
GMOインターネットグループが今後取り組んでいくこと
今後のGMOインターネットグループとして目指す安全な空の移動のために、さらに今後どのようなことに取り組んでいくのか、また取り組まねばならないのかを、寺村さんにお伺いしてよろしいですか?
今後の対策として、セキュリティをやっていくというのはなかなか大変です。これはドローンに限らなくて、Webであっても、どこの大企業でも大変です。その中で、やはり国が主導してセキュリティ対策を進める傾向にあると思っています。
国土交通省や経済産業省、NEDOさん等がいろいろと進められていますが、あとは業界やセキュリティベンダー等が、国と一緒に、国だけでなく世界と一緒になって、まずはセキュリティインフラを整備していかないといけないと思います。これがないと安全にドローンを飛ばせない。GMOグローバルサイン等のセキュリティベンダーやドローンを作ってくださっているベンダーさんが一体となって、インフラ整備等の取り組みを今後しっかりとやっていかなくてはならないと考えています。
寺村
先ほど千葉さんもおっしゃいましたが、なかなかセキュリティにまで意識が向かないというのが現状だと思います。今回私どもがブースを出しているのは、本当にそういったところを皆さんも気を付けていかなければいけないということを啓蒙していくため。こういったことを今後も続けていかなければいけないと思っています。
そうした上で、「では何をやったらいいんですか」という話になった時に、GMOサイバーセキュリティ byイエラエであるとか、我々GMOグローバルサインがお手伝いさせていただき、皆さんが不安に思われたところをきちんと埋めていく。こういった作業をしていければと思っております。
浅野
千葉
今日改めて思いましたが、スポンサーの顔ぶれがすごい。わたしはインターネット業界出身なので、これはどこのインターネットイベントなんだろう?と思ってしまいました。
このJapan Droneは歴史ある業界イベントですが、こういったインターネットのトップ企業がプラチナスポンサーをやり、その下にKDDIさん、ソフトバンクさん、NTTドコモさんと通信事業者が冠スポンサーになり、テララボとブルーイノベーション、これらはDRONE FUNDファミリーの大切な仲間なんですが、ドローンを作っているチーム、ソリューションを作っているチームも入っていて、異種格闘技戦みたいな、そういう時代に入ったのかなという感想を今日持ちました。
我々は今まで、ラジコン的なドローンから、飛ぶものを作るぞということでずっとこの業界をスタートしてきましたが、いよいよこの社会実装が1年以内に迫ってきたことによって、まさにこのインターネット業界の培ってきたセキュリティなど様々な技術を実装していかないと安心と安全は守れない、だからこれだけの人たちがドローン業界に興味を持っていただけている、というのがわたしの感想です。
千葉さんより、今後のGMOインターネットグループに対する期待はありますか。
千葉
インターネット業界においてありとあらゆるインフラをやられているど真ん中の会社様が、ドローン業界に興味を持っていただけたこと自体がすごいと思っていて、SSLの通信を暗号化して守るみたいな話とかはインターネットでは当たり前ですが、たぶんGMOさんが本気でこちら側に興味を持っていただかなければ、我々はたぶんドローン業界で実装することがないと思います。
なので、わたしからの期待としては、ぜひインターネットの常識をドローン業界の常識に変えていただければなと思っています。
まさに私どもが目指しているところです。インターネットで培ってきた技術をドローンあるいは空飛ぶクルマに適用していく、広げていくということを、これからやっていかなければいけないんだ、という気持ちを新たにしたところです。
浅野
「期待に応えられるように頑張ります」の一言です。ドローンのセキュリティも大事だということで頑張っていきます。新参者かもしれませんけど。
寺村
千葉
特に、空飛ぶクルマも開発が進んでいまして、ぜひGMOサイバーセキュリティ byイエラエさんにペネトレーションテストを徹底的にやっていただきたい。人が空を飛ぶ時にハッキングされたくないじゃないですか。一番恐ろしいなと思っています。
自動車のペネトレーションテストはたくさんやってきているので、それも踏まえてeVTOLもやれたらと。
寺村
千葉
以前、GMOサイバーセキュリティ byイエラエさんの会社の資料を拝見した時に、車を乗っ取って、遠隔からパソコンで動かすというデモンストレーション動画を拝見したことがあって、背筋が凍りました。わたしが持っている車種で、乗っ取られるというのはこういうことなのかと。
セキュリティリスクはこれから絶え間なくどんどんアップデートし続けていくものだと思いますが、不安に思われている方が、GMOサイバーセキュリティ byイエラエさんを通じて何か試せることはあるのでしょうか?
経済産業省さんが本年度事業として、IoT・ドローンも含めたセキュリティリスクの調査をするプロジェクトをやっており、弊社も協力させていただいております。条件はありますが、ドローンを提供いただいたらある程度テストさせていただいて、その結果をフィードバックするという内容になっています。テスト結果は公表しないと思いますが、経済産業省で収集するという調査協力の形でプロジェクトを展開されています。詳細は、興味があればブースの方にお立ち寄りいただければと思います。
寺村
本当に貴重なお話をお三方ありがとうございました。
アーカイブ公開
今回の国際カンファレンス
「攻撃者はどこを狙うのか?ドローン・eVTOLに求められるセキュリティ対策 ~GMOインターネットグループが目指す「安全な空の移動」~
の映像はアーカイブ公開もしていますので、以下より是非ご視聴ください。
さいごに
この度は会場へお越しいただき、
また、レポート記事をお読みいただきありがとうございます。
JapanDrone2022の開催レポートは、「Vol.01~Vol.04」を掲載しております。
ぜひご一緒にご覧いただければと思います。
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