GMOインターネットグループでは、2022年12月6日(火)~7日(水)の2日間、開発者向けテックカンファレンス「GMO Developers Day 2022」を開催しました。
「GMO Developers Day」は、GMOインターネットグループの最新技術を活用した新しい挑戦や、世の中が抱える課題解決への取り組みを、事例を交えて紹介するテック(技術)カンファレンスです。開催3回目となる今年は「Add on 技術の拡張で、新たな世界へ」をコンセプトに、初のオフラインとオンラインのハイブリッド開催で、全34セッションをお届けしました。
GMO Developersではそんな大盛況を収めた同イベントのセッションを紹介していきます。今回は2日目にリアル会場で開催された「入社2年でリーダーも!次の未来を担う、若手エンジニアたち」をご紹介します。
目次
登壇者
スピーカー
- 土井 万由子
GMOインターネットグループ株式会社
システム統括本部アプリケーション開発本部 ホスティング・クラウド開発部 ConoHa/Z.comプロダクトチーム マネージャー
2017年に新卒入社後、レンタルサーバー「ConoHa」や「Z.com」チームの開発業務に携わってきました。2022年10月からConoHa/Z.comチームのマネージャーに就任。現在チームメンバーのフォローや案件の調整などを担っています。 - 松窪 昂
GMOペイメントゲートウェイ株式会社
システム本部 プラットフォームサービス部 ユーティリティ決済グループ 課長
土井と同期となる2017年に新卒入社。公共料金決済サービスや基幹システムの開発運用を行ない、こちらも土井と同じタイミングの2022年10月からプラットフォームサービス部 ユーティリティ決済グループの課長に就任。現在、サービス・システムの開発全体はもちろん、チームメンバーの管理も行っています。 - 鬼塚 雅也
GMOインターネットグループ株式会社
システム統括本部アプリケーション開発本部 アクセス開発部 とくとくBBプロダクトチーム リーダー
2019年に新卒で入社後、システム開発本部のアクセス開発部とくとくBBプロダクトチームに配属され、プロバイダーサービス「GMOとくとくBB」のフロント領域を担当後、バックエンドに転向しました。現在はバックエンド業務と並行して開発チームのリーダーを担当しています。
モデレーター
- 石丸 智輝
GMOアドマーケティング株式会社
開発部 開発6グループ マネージャー
2016年にGMOアドマーケティングに入社後、自社プロダクトの開発に携わりながら、現在はマネージャーとしてチームマネジメントや新卒研修・採用を担当、さらにテックブログ運用といった社外向け広報も担っています。
GMOインターネットグループは、ドメインからセキュリティ、決済までビジネスの基盤となるサービスをご提供するインターネットインフラ事業を主軸に、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、暗号資産事業を展開する総合インターネットグループです。お客様に喜ばれるサービスを迅速かつ低価格で提供するために、サービスは機器の選定から設置、構築、開発、運用までを内製化することを基本方針としています。
そんな各サービスやプロダクト開発を先導するに辺り、開発現場をそれぞれチームのリーダーがとりまとめて開発の進捗管理に努めます。さらに開発全体の管理をマネージャーが担っています。各開発チームの進捗管理はもちろん、ビジネスサイドのメンバーからヒアリングをして、その結果を反映するといったステークスホルダーとの連携・調整も行っています。
マネージャーは、納期通りに質を担保したシステムを開発するため、適切に状況を把握するのはもちろん、技術周りの仕様変更を策定したり、適切にチーム運営を行い、チームとメンバーの育成にも努めて成長に貢献するなど、プロジェクトが円滑に成し遂げるために重要な立場です。
GMOインターネットグループの全110社に在籍する7,200名超のパートナーのうち、ITのモノづくりを担う開発者(エンジニア・クリエイター)は49.9%(※数字はいづれも2022年9月末時点)を占めています。そのためグループ各社で、リーダー・マネージャーという立場を新卒入社であっても2年目から目指すことができる土壌があり、多くの社員がリーダー・マネージャーとして活躍しています。
本セッションは、GMO インターネットグループに新卒入社後、現在チームを先導する立場にあるリーダー・マネージャーの4人が参加して、これまでの経緯や、就任後にどういった環境の変化があったか、さらに今後の展望までを語りました。
それぞれリードするチームについて
システムの開発にはさまざまな人が関わっています。目標とするシステムを開発するため、その都度変化する課題を理解し、適切に処理をしていくことが必要です。そのためには、バランスを見ながらメンバーをプロジェクトに配置するのはもちろん、最適に業務の振り分けを行うといったチーム運営が大切になっていきます。
若手リーダーである4人はどのようなチームを先導しているのでしょうか。まずは、モデレーターを務める石丸が、それぞれ3人に話を聞く形式でセッションを進行しました。
石丸
私はレンタルサーバー「ConoHa」や「Z.com」のサービス基盤で、お申込みや決済部分のAPIやバッチの領域の開発運用を行っています。私自身、2022年10月にマネージャーに就任したばかりです。チームは現在12名、なかでも新卒が10名いるフレッシュなチーム体制です。そのため入社2年目のメンバーに新卒の教育を担ってもらうなど、新卒の育成に力を入れています。
土井
松窪
私のチームは自治体・公共機関向けとして払込票に代わりSMS(ショートメッセージ)を活用して決済いただくといったサービスや、当社が持つデータをカード会社様に提供する過程で必要な基盤システムなどを、主に取り扱っています。チーム全体で、システムやサービスを5つ管理しており、大手企業のお客様と接する機会が多いのが特徴です。エンジニアも営業と提案フェーズから同行することも頻繁にあります。
メンバーは9名で、新卒入社からのメンバーが私を含めて4名。あとは中途入社のメンバーが5名います。私は年齢的にチーム内では真ん中あたりです。中途入社のメンバーは年齢的には先輩となるため、サポートを頂きながら案件を進めています。
私は、プロバイダーサービス「GMOとくとくBB」のコントロールパネルや、裏側で走っている課金システム、さらに各種データ連携を担っている領域の開発に携わっています。チーム全体では東京と北九州(GMOインターネットグループ開発拠点「GMO kitaQ」)が混合になっており、40名が在籍している大所帯です。そのなかで私は5名の小規模なチームリーダーを任されています。
鬼塚
優れた開発チームを目指すべく、重要なコミュニケーション
それぞれがリードするチームの紹介後、石丸は「リーダーとして心掛けていること」を聞くと、コミュニケーションに関する話が多くあがりました。メンバー同士の相互理解はもちろん、気軽に相談しやすい環境であることは、開発をスムーズに進みやすくさせて、プロジェクトの成功につながります。
毎日のコミュニケーションからチームメンバーのコンディションを把握することを心掛けています。新卒など若いメンバーが多いので、モチベーションの維持は意識しているところですね。出社しているときは積極的に声をかけて、業務内でも雑談をしたりしています。
またGMOインターネットグループならではですが、福利厚生のひとつに従業員が誰でも利用できるコミュニケーションスペース「シナジーカフェ GMO Yours」で、毎週金曜日に「Barタイム」というものが開催されます。Barタイムでは無料で飲食が提供されるのですが、そこにチームメンバーを連れて、ほぼ毎週、参加して気軽にコミュニケーションを取っています。
鬼塚さんのチーム同様、私のチームも北九州(GMO kitaQ)オフィスのメンバーがいます。所属するシステム本部は執務フロアに「どこでもドア」という巨大モニターがあって、北九州の執務フロアと常時接続されています。なので「どこでもドア」に向かってメンバーへ手を振ってみたり(笑)お互い気にかけています。
土井
松窪
私のチームも福岡勤務の方がいます。GMOペイメントゲートウェイは「どこでもドア」のような常時接続されたモニターは持ち合わせていないので、オンラインでの1on1でコミュニケーションを取っています。
1on1はチームメンバー全員と定期的に行っていますが、大きく2つのことを聞いています。ひとつは「目標の達成状況」そこで目標への認識を合わせたり、摺り合わせを行っています。もうひとつは「フリートーク」で、最近、ハマっていることなど、ざっくばらんに話を聞いています。そうすることで福岡勤務の方とは、東京と福岡で起こったことについて情報交換できるなど良いコミュニケーションの時間につながっています。
石丸
私のチームでも1on1を行っていますが、普段からコミュニケーションをとっていると1on1で改まって話すことが意外となかったりするんですよね。なので、目標の進捗確認をしたあとに、フリートークとして最近面白かったことなどを聞いたりしていたので、松窪さんの話を聞いて、まさに同じだなと思いました。1on1 以外で遠方のパートナーと仕事を円滑に進めるため、意識していることはありますか?
松窪
東京と福岡で垣根が分かれないようにチーム力を上げる工夫をしています。
例えば5つあるサービス・システムはそれぞれに品質担当を設けて、品質管理を行っています。そこに福岡のメンバーも1つのシステムの品質担当として入っていただくことで、他システムの品質担当との横連携も出来きるなど、メンバー同士コミュニケーションの機会が生まれるように、タスクやプロジェクトを上手く割り当てています。東京と福岡で、物理的な距離はありますが、近くに感じられるように意識しています。
チーム全員で集まることは開発スピードにも影響すると感じます。私のチームは業務委託のメンバーもいるなど雇用形態もさまざまで、社歴も長い方で1年なので、タスクに着手する前に障害になりそうなところを、私の方でドキュメントにまとめ事前に共有していました。
ただ私が分からない所と、業務委託で携わっていただく方が分からない所、その不明点が、異なっていたことを知ったんです。そこで現在はプロジェクトに着手する前に、チーム全員で集まり、不明点の解消や工数の見積もり管理を共に行うように変えていきました。
ドキュメントは、オンラインのホワイトボードといわれる「Miro(ミロ)」というツールで管理しています。進捗を可視化できるので、とても便利です。
鬼塚
リーダー経験から得られたこと
分からないことを分からないと、きちんと聞けるような環境をつくるため、リーダーとして積極的にコミュニケーションを取り、またコミュニケーションが生まれる環境つくりに努めている若手リーダーの皆さん。次に石丸はリーダーの経験から得られたことについて聞きました。
コミュニケーションツールで「Slack(スラック)」を活用していますが、メンバーや案件担当者同士の会話がかみ合っていない事に気付けずメンバーに苦労をかけさせてしまった経験がありました。私だけじゃなくメンバー間での会話でもコミュニケーションに差異が生まれていないか注意深くみるようになりましたね。
土井
石丸
私も最初の段階でフォローしておけば、こういう形に進めることが出来たのに、と感じるところはあったりしますね。そのためにもどういった会話がメンバーや関係者の間で進んでいくのか把握しておくというのは大切ですね。
そうですね。Slack内のコミュニケーションもですが、細かい変化も見逃さないようにしています。全員が顔を合わせる朝会を、zoomを活用して1日1回やっています。毎朝、全員の顔を見て、体調が悪そうな人はいないかなとか気にかけています。
土井
松窪
リーダーの経験から、メンバーに頼ることの大切さも得られました。私はメンバーのリソースが足りなくなった時に、自分で巻き取れるよう常に80%のリソースで稼働するよう意識しています。それでも管理業務と自分の業務のバランスを保つのが難しく、最初の1カ月は、管理業務になれることで精いっぱいで、1日ひたすら「承認」のボタンを押している日もありました。
そこで、それぞれのサービスに開発リーダーを置いて、基本的にその方に任せて、自分と開発リーダーの2人体制でサービスを見るという形を取っています。あとはチーム内にマネジメント経験者がいるので、その方から、業務の進め方などアドバイスも貰っています。
石丸
マネージャーのどこが大変とか、どのようなフォローがあれば動きやすくなるか、などはマネジメント経験者じゃないと分からない所もあると思うので、チーム内に経験者がいるのは心強いなと聞いていて思いました。具体的にどういったアドバイスをもらいましたか?
松窪
「どんどん人に仕事をフリなさい」と言われましたね。私は80%稼働を意識しつつも、抱え込みがちな所があります。大きな案件が多いチームなので、細かい課題改善を自身がやると巻き取っていくと余裕がなくなっていたりしました。細かい課題が、実は致命的な問題に直結していることが今までにもあったので、定例の時に棚卸をして、関係するメンバーに振るようになりました。そうすることで、メンバーもその業務に対応できるかどうかの意思表示もできるし、認識のズレもなくなるので、いまでは積極的に行っています。
自身のタスクをこなしながら他のメンバーの工数管理をしていると、他のメンバーの作業が気付いたら終わっていて、手が空いていたといったことがありました。進捗の管理にはコミュニケーションを積極的に自分から取りにいく必要性を感じましたね。
今は週3日で出社、2日はリモートワークという体制です。出社時は、こちらから積極的に声掛けしたりしていますが、オンラインの際は「discord」というツールを使っています。常にマイクミュートで同じチャンネルに入って、質問がある時に声をかけていただいています。チャットだとどうしてもメッセージを投げてから返ってくるまで時間のラグがありますが、すぐ聞ける状態にしておくことで、レスポンスよく返すことが出来るので良かったです。雑談している内容から、話がどんどん広がっていき、出社の際もその話をして盛り上がるなど、話題も広がっていくので良かったなと思います。
鬼塚
石丸
チャットだとどうしても1対1になってしまいますよね。誰かが聞いている環境をつくれるというのは、「discord」のようなツールじゃないとできないので、確かにいいですね。
今後の展望について
セッションも終盤に差し掛かり、石丸は3人に今後の展望について聞いた。
私は10月からマネージャーになったばかりですので、メンバーに迷惑をかける点はあると思いますが、よりよいチームマネージャーに出来るようにという所と、マネージャーにとどまらず、さらにその上も目指していけるように努力していきたいと思っています。
土井
松窪
私も10月にマネージャーになったばかりという所で、少しづつ管理業務にも慣れてはきたので、次のステージとしてチームビルディングも、意識して、勉強していきたいと思っています。またマネージャーだけでなくエンジニアでもあるので、プレイングマネージャーとして、自身の技術力も高めていき、案件の技術面もリードできるよう努めていきたいです。
4月にリーダーになって1年が経とうかとしていますが、管理業務や自身のバックエンドの業務もまだ出来ない所が多くあります。バックエンドとフロントの両面で技術力を上げていき、リーダーからマネージャーという所を目指して、頑張っていきたいと思います。
鬼塚
さいごに
セッションの終わりには、質問タイムが設けられました。
鬼塚からも皆へ、日々の進捗管理で工夫されているところを聞きました。
Q:メンバーの進捗管理での工夫
石丸
毎朝行っている朝会では、案件の詳細はもちろん、タスク毎に期限を決めていたりするので、期限に遅延が発生していないか?なにかリリース物があるか?困っていることはないか?など、細かく報告してもらうことを意識しています。
私は12名のチームなので、なかなか1回の朝会で全員の進捗を聞くことができなくて、マイクロチームとして、コンパネ担当、バックエンド担当と分けて、別枠で朝会を開催しています。そこで詳しい案件の話や、進捗共有をいただいます。
土井
松窪
私も同じように、各チーム毎に定例を別で組んで実施しています。全体のグループ定例では、自分たち以外のサービスも把握しましょうと、一段、高い目線を持ってもらうということも意図としてあります。またその定例では各チームの進捗担当者に、それぞれチームの報告をしてもらうということはじめました。
4人は、チャットから寄せられた質問にも答えました。
Q:新卒のときからリーダーになろうとしていましたか?
石丸
入社当時は考えていなかったんですが、GMOアドマーケティングにはバディ制度という仕組みがあります。新入パートナーと先輩が2人一組となり、一人ひとりの特性に合わせて育成計画を考え、一日でも早くひとり立ちできるよう実務を通してサポートする制度です。
その制度を通じて新卒の方の成長する姿を見ていて、やりがいを感じました。また学生の頃に塾講師をやっていて、そのときも生徒の方が成長する姿を見るのは楽しかったので、重なる部分はありますね。
もちろんエンジニアとしてコードを書くのも大好きなんですが、メンバーやプロダクトが成長する姿を感じられるという所で、リーダー・マネージャーというポジションは合っていると思っていたので、私は入社2年目ぐらいからリーダーというポジションを意識していました。
私は「夢はでっかく」じゃないけど、新卒の時から「上を目指していこう」という気持ちは
あったので、自身の努力もありましたが、運よくとんとん拍子できた感じで、新卒の頃から役職が着々と積み上がってきました。
土井
松窪
入社時にエンジニアのキャリアプランを考えた時に、マネージャーという所もあるのかなと思っていました。私も新卒3年目のときから、石丸さんと同じでアドバイザーとして、新卒の面倒をみるようになり、彼らが成長していく過程をみるのがやりがいに繋がっていたので、徐々にリーダーというポジションを意識するようになりましたね。
私は入社当初はリーダーになろうと思っていませんでした。ただ新卒研修の監督をさせていただいて、約1年間、そのイベント管理をさせていただいたんです。そうした経験から、リーダーというポジションに興味を持つようになりました。
鬼塚
Q:リーダー/マネージャーは“楽しい”ですか?
石丸
楽しい所と、ツライところがあると思いますが、楽しいことは間違いなくあるので、“楽しい”という回答になります。メンバーやプロダクトの成長が大きなミッションのひとつだと思うので、そこを常に意識しながら業務を進めて、実際に成長を感じる瞬間は、マネージャーをやって良かった“楽しい”と感じるポイントだと思います。
私も楽しいです。責任感が大きくなってくる分、やりがいがあるお仕事になるので、すごく楽しいと思う反面、上司から怒られたり、日々、色々あるので、喜怒哀楽は激しくなったりしますが(笑)楽しくマネージャーをさせてもらっています。
土井
松窪
私も皆さんと同じですね。ツライ時もありますが、楽しいと思う時もあります。関わる人がすごく増えたという実感があります。同じシステムのメンバーはもちろん、営業のメンバーなど、サービスのシステムを改善運用していくなかで、早い段階で、相談いただくことが増えました。それだけ自分たちの商材を育てていく所に携われているという充実感があります。あとはとてもいい感じにメンバーが成長していることが、自分にとっても励みになっているので、そういった所も含めて楽しいなと思っています。
私も皆さんと同じく色々ありますが、楽しいです。チームメンバーをどう管理するかで、進捗にも影響が起こります。最初は遅れてしまい調整することも多かったですが、チームメンバーと改善を重ねて、期限までにクオリティも担保されたものを開発できるようになっていき、それがすごく楽しいと感じる瞬間になっています。
鬼塚
若手エンジニア、若手リーダーというワードが飛び交っていた本セッション、「これからリーダーを目指そうとする方、またリーダーに就任したばかりの方に、参考になれば幸いです」と石丸が挨拶して、本セッションを締めくくりました。
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