【年間100万円の使い道】デベロッパーエキスパート成瀬の技術広報活動記 ~前編~

こんにちは。GMOインターネットグループデベロッパーエキスパート成瀬です。
私がデベロッパーエキスパートの活動で年間100万円をどのように活用し、技術広報につなげたのかについて前後編2本立てで記します。

デベロッパーエキスパートとは

GMOインターネットグループでは、特定の専門分野における第一人者として業界の発展に寄与するとともに、グループの技術力をけん引し、技術広報活動に貢献するパートナー(社員)を支援する制度があります。グループ内における開発者コミュニティの活性化やインターネット業界の発展に貢献する開発者(デベロッパー)を「デベロッパーエキスパート」に任命し、その活動支援をするもので、任命された開発者には活動費として最大で年間100万円が支給されるというものです。

エキスパート制度 | GMO Developers

2024年度成瀬のエキスパート活動一覧

カンファレンス参加

  • PHPカンファレンス香川
  • フロントエンドカンファレンス
  • PyConJP2024

技術コミュニティ活動支援

  • Xプレミアム 年間サブスクリプション契約
  • 30days PROプラン 年間契約
  • RF70-200mm F2.8 L IS USM

学生支援

  • 同志社大学
  • 石川高専
  • 立命館大学
  • 九州工業大学

CSR

  • AI翻訳イヤホン導入
  • レゴロボット購入
  • ロボコンコース印刷

前編のトピックス

本ブログでは上述活動一覧のうちの以下2点について掘り下げてお伝えいたします!

  • 対外活動活動
  • カンファレンス参加

対外活動支援

カンファレンスに参加したり勉強会に参加するなど、ワンタイムな制度利用以外に、対外活動それ自体を支援するもので制度を利用しました。具体的に以下に記します。

Xプレミアム年間サブスクリプション契約

発信を行うためのSNSはXが中心なので、Xプレミアムの契約をしました。インプレッション増加を目的として契約しています。

実際のところはどうかというと、2023年度以前に比べてポスト表示のアルゴリズムが変わりすぎてしまったため、あまり効果を実感できていません。

比較をするなら2024年現在において、Xプレミアムの有無のインプレッションの差をリサーチしてみる必要があるかと思いますが、インプレッションが落ちる可能性を考えると、あえて解約して比較するというリスクを負うわけにもいかず……。

無いより有る方がインプレッションは増えるとは思われるので、継続しています。

RF70-200mm F2.8 L IS USMの購入

技術コミュニティへの貢献として何か面白いことができないか、ということを考えてたどり着いた先です。みなさんのかっこいい写真を撮影して提供することで、喜んでもらい、結果として技術コミュニティへの貢献に繋がればという思いでカメラマン参加しております。

これがどのように技術広報に繋がるかというのを、カンファレンスに参加したり登壇していない方に簡潔に伝えるのが難しく、制度利用申請の文章を最大文字数使って説明をしました。

その内容を要約すると次のとおりです。

> 学生主導のセミナー、ハッカソン、勉強会、コンテストなど、学生支援に関わる多くのイベントで活用する予定です。また、技術カンファレンスでは登壇者としてだけでなく、撮影スタッフとしても参加し、イベント運営の現場で積極的に関わることで、参加者との交流を深めています。こうした撮影活動を通じて、記録だけではなく、参加者にとって記憶に残る体験を提供することが目的です。

> 活動を通じて、学生たちや学校関係者にポジティブな印象を与えるだけでなく、撮影した写真をSNSで活用していただくことで、企業の認知向上にも繋がっています。また、撮影活動は、技術者コミュニティでのブランディング強化にも寄与しており、企業のエキスパート制度の認知拡大や、学生イベントへのリファラル採用にも貢献しています。実際、これまでに新卒採用や他企業への紹介という成果も得られており、こうした活動が次回イベントのスポンサーシップ獲得にも影響を与えています。

こちらのレンズはいわゆる大三元の望遠レンズとなっておりまして、登壇者のバストアップなどを撮影するのに利用しています。カンファレンスのセッションは明るさが厳しいものが多く、F2.8という明るさがとても頼もしい相棒です。

レンズをカンファレンスで使ってる証拠風景はこちら。

講演中はぶら下げてます。

なお、カメラマンをすると荷物がかなり増えるので覚悟が必要です。

30days PROプラン 年間契約

上述の目的でカメラマンとしてカンファレンスや学生支援(後述)をすると写真を共有する手段が必要です。Lightroomで共有するのよいのですが、なかなか煩雑かつ、容量を圧迫されてしまいます。

ちょうどGMOペパボが提供している30days(https://30d.jp/)というのがあり、枚数制限(1アルバム2000枚まで)はあるものの、全体の容量といった制限がなさそうだったので契約しました。

たとえばJJUG CCC 2024 Spring/Fallといったカンファレンスや学生主催のイベントで撮影した写真を提供するのに使っています。

カンファレンス参加

関東圏で行われるカンファレンスはほとんど費用がかからないのですが、遠方で行われるカンファレンスに参加する際には旅費が必要になるためエキスパート制度を活用しました。

PHPカンファレンス香川 2024

月間PHPカンファレンス、といわれるぐらい毎月やってるPHPカンファレンス。その香川会でございます。https://phpcon.kagawa.jp/2024

実行委員長のちゃちぃさん(@Chatii)に声かけられて、ゲストスピーカーとして招待いただけるとのことだったので、大手を振ってエキスパート制度を活用することにしました。

トーク:「泥まみれの技術革新:あなたの[ PHPバージョンアップ | 新フレームワーク採用 | アーキテクチャ刷新 | … ]を後押しするために」

いま、あなたが直面している技術的課題は何ですか
新しいPHPバージョンへのアップデート、未知のフレームワークの採用、あるいはアーキテクチャの刷新が必要ですか
しかしそのような変更を実現するためには、ただ技術的なスキルだけでなく、組織内でのサポートや合意形成が必要になります。
このトークではPHPのバージョンアップ、新フレームワークの採用、アーキテクチャの刷新といった個人のレベルでは実現が困難な技術革新の推進に焦点を当てます。
これまでの経験を基にした技術革新を推進するための戦略、ネゴシエーションのテクニック、およびチームのスキルアップにつながるトレーニング方法など多岐にわたるノウハウを共有します。
参加者は技術変更を提案し、実装する際に直面する可能性のある挑戦を理解し、それを乗り越えるための具体的な方法論を得ることができます。
また、組織内での支援を得るためのコミュニケーションスキルや、変化を促進するための戦略的アプローチについても学ぶことができます。

自伝に近い内容なので、外部公開はしていません。RPG3とかCOBOLとかMELCOM、AS400という話からAWSまで展開していくセッションです。若い方も多かったので、AS400のコピー句の話をしているとみんなポカーンとしていてウケましたね。

PHPカンファレンス香川は玉藻公園内の披雲閣で行われるので、座布団で講演を聞くスタイルです。みんなが正座やあぐらで座ってるところにお話しするというのはなかなかできない大変貴重な経験でした。

カメラマン参加

ゲストスピーカーとしての参加でしたが、実はカメラマンとしても参加していました。

X上でもカンファレンスとは思えないフォトジェニックな写真が飛び交っていて、みんなが楽しんでる様子を見るのがとても楽しかった記憶があります。

当日の装備はこちらです。

ちなみに撮影総数は1800枚弱でした!togetterにもまとめてあるので、フォトジェニックを体験してみてください。

フロントエンドカンファレンス北海道2024

「あー、暑い時期は北海道にでも行きたいなー」と思っていたら、フロントエンドカンファレンス北海道というのが8月24日にやるじゃないですか!

ということで、さっそくCfPに応募して、見事当選したのでエキスパート制度を利用して北海道へ飛び立ちました。

当日お話ししたプロポーザルは次のとおりです。

トーク:デザインシステムとコンポーネント指向によるフロントエンド開発プロセスの革新

本発表ではレガシーなフロントエンド開発の経験しかないチームが、デザインシステムとコンポーネント指向を導入し、従来の開発プロセスをどのように革新したかを、実例を交えて紹介します
このチームはレガシーなコードの肥大化と複雑化に伴い、メンテナンス性と拡張性の問題に直面していました
新たなサービス開発を機にアトミックデザインをベースにしたデザインシステムの導入と、SPAフレームワークを用いたコンポーネント指向開発に挑戦しました
コンポーネント指向はUI の再利用性と組み合わせ性が向上させ、サービスを高品質に、なおかつ柔軟性をもたらしました
さらにデザインシステムの導入はチーム内のコミュニケーションと協業にも好影響を与えました
共通言語はデザイナーと開発者の連携がスムーズに変化させました
本発表を通して、コンポーネント指向に立ち向かう具体的なイメージを持っていただけると幸いです
デザインシステムとコンポーネント指向によるフロントエンド開発プロセスの革新 by 成瀬 允宣 | トーク | フロントエンドカンファレンス北海道2024 #frontendo – fortee.jp

ちょうどVue.jsが2.5あたりのころにやった新規開発のお話です。ほんとまれに見るぐらい締め切り間際の残業の少なかったプロジェクトでした。

みなさんの様子はtogetterにもまとめてあります。

カメラマン参加

さて、私がカンファレンスに参加するときはもちろんカメラマン参加を打診しております。「ぜひとも」とお声をいただいたので、当日はカメラマンとしても稼働しておりました。

北海道のおいしいものも食べられたし、かっこいい写真も撮れたし満足です。

PyConJP 2024

そういえば、PythonってCQRS+ESってどうなんだろう? と調べてみたら、Event Sourcing in Pythonというまんまなライブラリを見つけたので、見切り発車でPyConJP 2024にプロポーザルを出してみました。無事当選したので、PyConJPのカンファレンス参加費についてエキスパート制度を利用しました。

プロポーザルは次の内容です。

トーク:Pythonによるイベントソーシングへの挑戦と現状に対する考察

本トークではイベントソーシングの概念や利点をお話するのと同時に、Pythonにおけるイベントソーシングに挑戦した結果を共有します。
私は普段、JVM でイベントソーシングをベースとしたマイクロサービス群の開発に取り組んでいます。
イベントソーシングはシステム上の出来事をイベントとして永続化することでシステムを構築する手法です。
システムをイベントでとらえることは多くの利点をもたらします。
ひとつ分かりやすい例を挙げるとすれば、システムの全ての状態変化を時間を追って追跡することが可能となることが挙げられます。
たとえば、何らかの問題が発生した場合には、発生したイベントのシーケンスをたどることで問題の原因を容易に特定できます。
ちょうどGitのログをたどるのと同じイメージです。
これはシステムの運用を確実に楽にします。
その他にもイベントデータはシステム間の連携を疎結合にしますし、永続化されたイベントデータを利用して、あとからBIツールと連携するといった芸当も可能です。
本トークではそのように便利なイベントソーシングの基本原理やメリットなどをお話しし、またイベントソーシングを実践する上で諸問題への回答となる各種機能について網羅して解説します。
また、それらの前提を共有した上で、現時点で Python における実装に挑戦した結果を紹介し、実践にむけて越えなくてはいけないハードル=「Python で現状実現できてないこと」について探ります。
この題材を選んだ理由やきっかけ: イベントソーシングは多くのシステム開発を楽にするアイデアです。
世の中は実は、現在の状態でとらえるのでなく、できごとの連鎖としてとらえる方が自然に表現できることが多いです。
システムにおける複雑さは現実の複雑さに起因します。
この複雑さをシンプルに表現する手段のひとつとして皆さんにイベントソーシングという手法を知ってほしいと考えています。 オーディエンスが持って帰れる具体的な知識やノウハウ: ・イベントソーシングに関する基本原理
・イベントソーシングのメリット
・イベントソーシングを実践するにあたって求められる機能
・複数システム連携におけるイベントソーシングの効能
Pythonによるイベントソーシングへの挑戦と現状に対する考察 :: PyCon JP 2024 :: pretalx

プロポーザル内容を見てわかるとおり、これを投稿した時点ではできるかどうかわかっていません。簡単にドキュメントをさらった感じはできそうだなという雰囲気を感じていました。万が一「できない」がわかったとしても、それはそれで知見かなと思い提出してみました。もしできなかったら自前で実装すればいいだけの話ですしね。

実際はEvent Sourcing in Pythonがかなり高次元なライブラリになっていて、杞憂に終わりました。むしろよくできすぎてる。よくできすぎてるから機能を確認網羅するのに時間がかかりすぎる。という嬉しい地獄が待っておりました。

当日の発表スライドはコチラ。

サンプルコードはコチラ。

https://github.com/nrslib/python-eventsourcing-fastapi-sample

FastAPIは使ったことなかったのですが、ハッカソンで見る機会が多いので使ってみました。Swaggerがデフォルトでついてくるのがうれしいですね。

カメラマン参加

もちろんカメラマン参加をしております。

このカンファレンスから即時共有のやり方を確認して、全スポンサーブースの写真を撮ったその場で渡すというムーブをしていました。

共有方法は簡単で、まずLightroomのアルバムを用意して共有状態にしておきます。そして写真を撮影したら、カメラ→USB TypeC→スマホLightroom→Lightroomのアルバムに追加という手順を踏めば、QRコードやNFCカードで即座に共有ができるという寸法です。

とても好評で、スポンサーがブースの様子をXにポストしているのを見てニヤニヤしていました。

後編につづく

後編では学生支援・CSR活動として小学校教育支援をした話をしたいと思います。お楽しみに~

著書の紹介欄

真に価値あるソフトウェアを生み出すために必要なこと

ドメイン駆動設計入門 ボトムアップでわかる!ドメイン駆動設計の基本

ソフトウェア開発者であればいつかはたどり着く、ドメイン駆動設計の世界に飛び込むための入門書です。 本書はドメイン駆動設計において、実践が難しいものは後回しにして、まずは実践しやすい実装パターンを解説しています。 解説は「なぜそのパターンが必要なのか」という問題の認識からはじまりますので、初学者であっても理解しやすく工夫されています。 まずは本書である程度の知識をつけて、難関と呼ばれる『エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計』に挑みましょう。

ブログの著者欄

成瀬 允宣

GMOインターネットグループ株式会社

プログラマ / デベロッパーエバンジェリスト。2017年9月GMOインターネットグループ株式会社入社。テックリードとしてWebアプリケーションプロダクト開発に従事するほか、社内研修や小学校プログラミング教育に携わる。また技術広報としてカンファレンス等でソフトウェア開発・設計を主軸に講演活動を行う。著書『ドメイン駆動設計入門 ボトムアップでわかる!ドメイン駆動設計の基本』(翔泳社)。

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