RPAを始めましょう!

オフィスワーク モダナイズ への道 Vol.7

最近「DX」とともによく目にする「RPA」をご存じでしょうか。RPA=Robotic Process Automation ロボットによる処理の自動化という意味です。ロボットと聞くと手足のある人型ロボットが人間に変わって仕事をしてくれるイメージですが、RPAはパソコン上の作業を人に代わって処理してくれるアプリケーション(プログラム)が実態となります。

RPAを始めましょう!

プログラミングの知識がある方であれば今さらといったお話ですが、RPAを利用することでプログラミングほどの知識や技術を必要とせずに、プログラムを組んで作成したアプリケーション相当のものを作成できるといったメリットがあります。ただし、RPAを導入(購入)すれば手放しで何でもやってくれるといった夢のようなお話ではありません。RPAと一言で言っても様々なサービス、アプリケーション、機能があります。お馴染みのExcelのマクロも自動化という意味では立派なRPAです。RPAとは? RPAが得意なこと不得意なことは?RPAを使うにはどれくらいのコストが必要か?などをきちんと理解しておく必要があります。

とは言っても、前置きは少なめにして「ハイブリッドクラウドへの道」でこれまで紹介してきたMicrosoft365にもRPAが用意されています。実際のRPAはどんなものかをまずは見てみましょう。

Power Automate

Microsoft365で利用できるRPAは「Power Automate」というサービスで提供されています。

Power Automateはそれ自体単体でもサービスとして購入利用可能ですが、Microsoft365では提供されているサービスの範囲内で追加料金無しで利用可能です。

Power Automateの特徴としては、Microsoft365のクラウドサービスだけではなく、外部のクラウドサービスの様々な機能とも連携して自動化を実現できるところにあります。

Power Automateでは各自動化処理を「フロー」として作成します。例えば、添付ファイル付きのメールを受信したら、Googleドライブにファイルを保存してTwitterでツイートするといったフローの作成も可能です。さらに、これらフローの作成には専門的なプログラミングを必要とせず、ブラウザ上でコネクタと呼ばれるツールを利用して各サービスを結びつけることで作成してゆきます。こちらが作成したフローです。実行してみましょう。

添付ファイルをメールで送信します。

添付メールを受信すると作成したフローが起動します。

Googleドライブに添付ファイルが保存されました。

Twitterに添付ファイル名がツイートされました。このフローの作成に要した時間は10分足らずです。コネクタで各サービスを配置してそれぞれのアカウント情報を入力、必要なアクションを選択しただけです。

これをプログラムで実現しようとすると各サービスのAPIを連携して・・・といった専門的な技術とそれなりの行数のコードが必要ですが、それらは一切不要です。

よく利用されているフローは数多くのテンプレートとしてあらかじめ用意されており、こちらから目的のフローを検索してすぐに使い始めることが可能です。

Power Automate Desktop

クラウドサービスを利用した業務以外でも、オフィスではデスクトップアプリケーションを利用しての業務が大半ではないでしょうか。

そのような業務に対してはデスクトップアプリケーションを対象としたRPA「Power Automate Desktop」が用意されています。Power Automate Desktopを利用する場合は、Microsoft365のライセンスに加えて、Power Automateの「Per user plan with attended RPA(\4,350)」の購入が必要です(Power Automateの価格 https://japan.flow.microsoft.com/ja-jp/pricing/?currency=JPY)。

Power Automate DesktopはMicrosoft365のPower Automateと併せて利用することで、先ほど紹介したクラウドサービスに加えてデスクトップアプリケーションの自動化を組み入れてのフロー作成が可能となります。例えば、毎日の株価を特定のサイトから毎日取得してExcelに追記して、完了通知をTeamsに送るといった作業を自動化するなどです。

Power Automate Desktopの開発画面は、左メニューに用意された各アクションを選択して組み合わせていく方法に加え、デスクトップ上の操作をビデオに録画するように記録する方法もあります。ある程度操作を記録して、細かい修正をしてゆくといった効率的な開発が可能です。

さらに、Power Automate Desktopで開発したフローと、Power Automateで開発したフローを組み合わせることも可能です。そもそもPower AutomateのフローはクラウドサービスをターゲットとしたRPAなので、ローカルコンピューターに対してのアクセスはできません。「オンプレミスデータゲートウェイ」を利用することで、クラウドベースのフローと、オンプレミスのフローがスムーズに接続することができるようになっています。

こちらのフローは、クラウドサービスであるPower AutomateのフローからオンプレミスのPower Automate Desktopのフローを呼び出しています。

作成したフローを実行してみましょう。

日経平均株価をYahooファイナンスから取得して、Excelに追記しています。最後に完了通知をTeamsに送る作業を自動化しています。

Power Automate Desktopを実行する環境

Power Automate DesktopはWindowsのデスクトップ上で稼働するRPAとなります。例えば、1時間ごとに起動するフローの場合、深夜であってもパソコンを立ち上げた状態で保持しておく必要があります。さらに、フローが起動している間はそのパソコンでは他の作業ができなくなります。こうなると、Power Automate Desktop専用のパソコンを1台確保しておかなければなりません。こういった問題を解決する答えとしては、クラウドサービスである「デスクトップクラウド(https://www.onamae-desktop.com/biz/)」など、仮想デスクトップサービスを利用することです。デスクトップクラウドであれば、24時間365日、Power Automate Desktopの実行環境として利用することができます。せっかくのパソコン1台をまるまる占有してしまうよも安価で安心です。

以上、Microsoft365のRPAについて概要を紹介しました。クラウドサービスだけではなく、オンプレミスのデスクトップ上の操作の自動化、それらを組み合わせることができるハイブリッドクラウドなRPAがPower Automate、Power Automate Desktopになります。

RPAはDXを実現するための一番の近道です。ここまでお手軽にRPAが開発・利用できるようになると、これからのビジネススキルとしては、ExcelやWordのスキルだけではなく、RPAのロボット作れます、といったことが当たり前の時代になりそうです。

次回はPower Automate Desktopを利用するための環境作り、インストール方法を紹介する予定です。

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ブログの著者欄

樋口 勝一

GMOインターネットグループ株式会社

1999年6月GMOインターネットグループ株式会社に入社。Windows Serverをプラットフォームとしたサービス開発から運用・保守まで幅広く担当。講演登壇や出版、ネット記事連載などでマイクロソフト社と強い信頼関係を構築。「マイクロソフトMVPアワード」を15度受賞し、インターネットソリューションのスペシャリストとして活躍。

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