エンジニア経験30年の中で、さまざまなエンジニアを見てきました。
その中で特にもったいないと思うのが、「一人前になった後」に成長がストップする人がいることです。入社してから順調に成長し、あるシステムを任せられるようになった。そのまま役割が拡大していくのかと思いきや、成長がストップする……
実は、エンジニアの成長がストップしやすいのは、一人前になったタイミングです。
本記事では、職業エンジニアの成長がストップする理由と、成長を継続するための方法をお伝えします。
目次
前提
本記事では、以下の2点を前提としています。
- 成長できる環境であること
- 安全な職場であること
次の質問に両方とも「Yes」と答えられるなら問題ありません。
- 「周りに成長している人はいますか?」
- 「上司やリーダーに、正誤を問わず意見を言えている人が周りにいますか?」
いずれかが「No」であれば、社内外問わず、信頼できる人生の先輩に相談してみることをおすすめします。
「一人前になった後に成長がストップする」とは
「一人前になった後に成長がストップ」している状態とは、例えばこのような状態です。
- チーム内では戦力として認められている
- ○○というシステムは○○さんが主担当として任されている
……それなのに……
- もう何年も同じことを続けている。役割が変わっていない
- 後輩に徐々に追い抜かれていく
新卒で入社したときは成長意欲があったのに、いつの間にか成長がストップしている。組織から「成長しない人」と評価され始め、だんだんと組織との関係性が悪化していく――負のスパイラルに陥ることもあります。
成長のアクセルとブレーキ
成長を促進する要素(アクセル)はモチベーション、成長を阻害する要素(ブレーキ)は変化への恐れです。
成長のアクセル ― モチベーション
モチベーションの源泉はさまざまですが、基本的に外発的動機と内発的動機のふたつに分けられます。そして内発的動機は、「マズローの5段階の欲求」で分類できます。

| 欲求の段階 | 説明 |
|---|---|
| (1) 自己実現欲求 | 自分の能力や可能性を最大限に発揮し、理想の自分に近づきたい欲求 |
| (2) 承認欲求 | 他者から認められたい、尊重されたい、評価されたい欲求 |
| (3) 社会的欲求 | 集団に所属したい、仲間とつながりたい、受け入れられたい欲求 |
| (4) 安全欲求 | 安全・安定した環境で生活したい、危険を避けたい欲求 |
| (5) 生理的欲求 | 生命を維持するための基本的欲求 |
上位の欲求に進むためには、下位の欲求が満たされている必要があるとされています。
職業エンジニアが持つモチベーションは、社会的欲求と承認欲求であることがほとんどです。「自己実現欲求」がモチベーションになっている人は、ほとんどいません。
- 承認欲求 … チームやプロジェクトから「すごい」と言われたい。社会から賞賛されたい。
- 社会的欲求 … チームやプロジェクトに受け入れられたい。仲間として認められたい。
成長のブレーキ ― 変化への恐れ
人は安定を求める生き物です。
- やったことがないことをやる
- できていることを手放す
こうした「変化」を恐れるのは本能です。変化はストレスや不安を生みます。
ストレスや不安のない環境をコンフォートゾーンと呼びます。
人は、意識しないとこのコンフォートゾーンに留まろうとするものなのです。
アクセル・ブレーキと成長の関係
車のアクセルとブレーキは、(多くの場合)どちらか片方を踏みます。成長におけるアクセルとブレーキは、どちらも踏んでいる状態です。どちらを強く踏んでいるかで、成長が続くかストップするかが決まります。
- アクセルが強ければ成長する
- ブレーキが強ければ成長がストップする
成長がストップする理由
社会人になりたての頃は、アクセルを強く踏み、ブレーキをまったく踏んでいない状態です。それは「社会人」として手放すものが何もなく、変化への恐れがない状態だからです。

一人前になると状況が変わります。

社会的欲求は満たされ、スキルや実績が身につきます。モチベーションが下がり、変化への恐れが生じるのです。
このとき、アクセルよりブレーキが強いと、成長がストップします。アクセル≦ブレーキの状態です。
これが「一人前になった後に成長がストップ」する理由です。
成長し続ける方法
成長がストップする理由が「アクセル ≦ ブレーキ」の状態なのであれば、成長を続けるために必要なのは「アクセル > ブレーキ」の状態にすることです。
方法は次の2種類です。いずれかでも両方でもかまいません。簡単なのは「ブレーキを緩める」です。
- アクセルを強く踏む
- ブレーキを緩める
アクセルを強く踏む
アクセルの主要素は「社会的欲求」(チームに受け入れられたい)と「承認欲求」(「すごい」と賞賛されたい)でした。そして、一人前になった人は社会的欲求が満たされています。よって、必要なのは承認欲求です。
あなたには、「この人に賞賛されたい」という人はいるでしょうか? もしいなければ、成長がストップするかもしれません。
具体的なアクションは「この人に賞賛されたい」という人を見つけることです。
その際のポイントは2点です。
- できるだけ自分に近い人を見つけてください。それは、自分からの距離が離れるほど、評価してもらう難易度が上がるからです。チーム内にいればベストです。チーム外でも、社内の自分の組織やプロジェクトに近い人であればよいでしょう。社外になると、だんだんと評価してもらうのが難しくなります。
- その人の評価がチームからの評価に結びつくことです。いくら自分に近い人でも、家族からの評価はチームからの評価にはなりません。
賞賛されたい人が見つかったら、「どうすればその人から評価を得られるか」、信頼できる上司や先輩に相談してみてください。
ブレーキを緩める
ブレーキの正体は「変化への恐れ」です。これは人間の本能なのでゼロにはできません。しかし変化に慣れることはできます。
新しいことには必ずストレスが生じます。このときに、どう思うのかで大きく違ってきます。
- 「避けよう」と考えるのか
- 「何とかなるだろう」と受け入れるのか
多くの方は、これまでに多くの「新しいこと」に取り組んできたと思います。失敗したこともあったでしょう。でも、成功したり乗り越えたりした経験の方が多いはずです。
「いままで何とかなってきた」「今回も何とかなるだろう」
そう考えて、「変化への恐れ」をスルーするとよいと思います。
まとめ
- 成長のアクセルはモチベーション、ブレーキは変化への恐れ
- 一人前になると、アクセルは弱まり、ブレーキが強くなる
- 成長を継続するには アクセルを強く踏むか、ブレーキを緩める
- アクセルを強く踏むためには「賞賛されたい人」を見つけること
- ブレーキを緩めるには「変化」に対して「何とかなる」と受け止めるマインドを持つこと
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