こんにちは!GMOインターネット株式会社の馬場です。
こちらは、先月リリースされたConoHa VPS MCPのリモート版を使って、Hermes Agent、OpenClaw、NanoClawといった主要なAIエージェントを実際に構築したときのレポート記事となっています。
あわせて、ConoHa VPS MCPでAIエージェントを構築するとどんな嬉しいことがあるのか、そのメリットもご紹介していきます。
目次
ConoHa VPS MCPについて
MCP(Model Context Protocol)とは
MCPは、AIエージェントが外部のシステムにあるさまざまなデータやツールと接続するための、Anthropicが提唱した標準プロトコルです。
これまでAIエージェントに外部ツールを使わせようとすると、ツールごとに異なる呼び出し方を個別に実装する必要がありました。MCPは、この「AIと外部ツールのつなぎ方」を共通仕様として定めたものです。周辺機器がUSB-Cという共通規格でつながるように、ツール側がMCPサーバーとして機能を公開しておけば、対応するAIエージェント(Claude Code、Codex CLI など)からは同じ作法で呼び出せる、というのがMCPの基本的な考え方です。
ConoHa VPS MCP の概要


ConoHa VPS MCPは、このMCPに準拠したサーバーを通じて、Claude CodeやCodex CLIなどといったAIエージェント(MCPクライアント)からConoHa VPSを操作できるようにする仕組みです。AIエージェントがConoHa VPSのAPIを呼び出すことで、これまでコントロールパネルやAPI、CLIから行っていたサーバー作成やボリューム作成、セキュリティグループの設定などのインフラ操作を、自然言語での対話に置き換えられます。
これによって操作項目やコマンド、APIの仕様を都度調べる手間が減り、インフラ管理に不慣れなアプリケーションエンジニアや、これから学ぶ学生にとっても、対話しながら試行錯誤できる環境が手に入ります。用途に応じた最適なサーバースペックの提案なども対話の中で行えます。

OSS版とリモート版の2種類
ConoHa VPS MCPには、OSS版(ローカル) と リモート版 の2つの提供形態があります。AIエージェントからVPSを自然言語で操作するという目的は共通で、違いは「MCPサーバーをどこで動かし、どう認証するか」にあります。
リモート版は、ConoHaが提供・運用するマネージド型のMCPサーバーです。自分の環境にサーバーを構築する必要はなく、利用中のAIエージェントに接続設定(エンドポイント https://api.conoha.jp/vps/mcp)を追加するだけで使い始められます。認証はOAuth 2.1準拠で、APIキーを設定ファイルに直書きせず、トークンの有効期限管理もConoHa側が担います。この記事ではこちらのリモート版を使ってAIエージェントを構築しています。
OSS版(ローカル)は、GitHubで公開されているソースコードを自分の環境で構築・運用する形態です。Node.jsまたはDockerで実行し、認証はAPIキー方式とシンプルです。ソースが公開されているため、Forkして独自ツールに組み込んだり機能を追加したりと自由にカスタマイズでき、オブジェクトストレージ操作などの新機能をリモート版に先行して試せる点も魅力です。
大まかには「手軽さとセキュリティを重視するならリモート版」「自由なカスタマイズや先行機能を求めるならOSS版」という選び分けになります。

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AIエージェントについて
本記事で構築する3つのソフトウェアを紹介する前に、まず「AIエージェント」という言葉を整理しておきます。
AIエージェントという言葉に統一された厳密な定義はありませんが、本記事では、OpenClawやHermes Agent、NanoClawのように、LLM(大規模言語モデル)を推論や判断の中核として利用し、外部ツールや実行環境と組み合わせて、複数の手順からなる作業を自律的に進めるシステムを指します。
LLMは、ユーザーの指示や現在の状況をもとに、必要に応じて作業を計画し、使用するツールとその引数を決定します。実際の検索、ファイル操作、コマンド実行といった処理は、エージェントを動かすランタイムやアプリケーションが担当し、その実行結果をLLMへ返します。LLMは結果を観察し、次に何をすべきかを判断します。
この「判断・計画→ツールの選択と実行→結果の観察→次の判断」というループを、人間が一手ごとに指示しなくても、与えられた目的や権限の範囲内で繰り返せることが、ここでいう自律性です。ただし、完全に人間から独立して動くという意味ではありません。実際には、利用可能なツール、アクセス権限、実行回数、停止条件、承認手順などによって、その自律性は制御されます。

こうしたエージェント的な動作は、すでに身近な製品にも取り入れられています。たとえばChatGPTが、必要に応じてWeb検索したり、コードを実行して結果を確認したうえで回答を組み立てたりする動作には、エージェント的なループが含まれています。また、Claude Codeが端末上でファイルを調査・編集し、テストを実行して、失敗結果をもとに修正を重ねる動作も同様です。
したがって、「チャット形式の製品だからエージェントではない」と単純に区別することはできません。むしろ最近ではチャット型のAIサービスにもエージェント機能が組み込まれているケースもあります。エージェントかどうかを判断するうえで重要なのは、製品の見た目やジャンルではなく、モデルが外部環境から情報を受け取り、ツールを利用し、その結果に応じて次の行動を選択するループを備えているかどうかです。
OpenClawやHermes Agent、NanoClawはこうした仕組みに加えて、単発のタスクにとどまらない長期的な運用を可能にするための工夫を備えています。具体的には、セッションをまたぐメモリの保持、タスク経験を再利用可能な手順として蓄積するスキル機構、複数のツールやチャンネルとの連携、複数のエージェントへの作業委任といった要素であり、各ソフトウェアがどの要素を重視するかには違いがあります。これらを土台に、より長い作業を継続的に実行できるよう設計されているのが、本記事で紹介する自律型AIエージェントです。
今回構築したAIエージェントについて
OpenClaw
「自律型AIエージェント」というジャンルを一気に世に広めた立役者で、自分のPCやVPSに常駐させ、SlackやTelegramなど普段使いのチャットアプリから指示して実作業を代行させる自己ホスト型ランタイムです。
シェルコマンドの実行やファイル操作、ブラウザ操作まで幅広くこなせる反面、システムへほぼ無制限のアクセス権を持って動くため、認証情報の漏洩などセキュリティ上の危うさも指摘されています。
強力さと危うさが表裏一体で、この点が次のNanoClawのような安全重視の派生プロジェクトを生むきっかけになりました。3つの中では「万能だが扱いに注意が要る」立ち位置です。
NanoClaw
OpenClawの持つセキュリティ課題に正面から応える形で登場した、安全性重視のエージェントです。
同等の機能をより少ないコード量で実現し、さらにすべての処理を隔離されたコンテナ(Docker等)の中で動かすことを必須の設計にしている点が核心で、「アプリ側の権限チェックではなく、OSレベルの分離で封じ込める」という発想を徹底しています。
エージェントは明示的に許可した範囲しか触れず、コマンドもコンテナ内で完結するため比較的安全です。DockerやWSLに馴染みのあるエンジニアには、設計思想を理解しやすいエージェントだと思います。
Hermes Agent
Nous Researchが開発する自己ホスト型のパーソナルAIエージェントで、他の2つと分ける最大の特徴は「使うほど自分で賢くなる」ことに重きを置いた設計になっていることです。
サーバー上で動き続けながら、うまくいった作業手順を再利用可能な「スキル」として記憶し、自身の振る舞いを少しずつ改善していきます。記憶の仕組みは、事実を保持する永続メモリ、過去のやり取りを参照するセッション検索、手順を蓄積する手続き的スキルの3層で構成されています
繰り返し発生する複雑な作業を任せたいケースで強みを発揮するタイプと言えます。

AIエージェントの活用例

AIエージェントについては何となく理解できたところで、自律型AIエージェントならではの活用方法をいくつか紹介します。
曖昧な条件のスマートホームの自動化
「気温が28℃を超えたらエアコンをつける」といった従来のIF-THEN型ルールでは、あらかじめ数値やON/OFFの形にきっちり翻訳できる条件しか自動化できませんでした。これに対し自律AIエージェントには「蒸し暑くなってきたら涼しくしておいて」と一度方針を伝えておくだけでよく、あとは指示を待たずにエージェントが定期的に温湿度センサーや天気予報を自分で確認し、LLMがそのつど状況を解釈して、必要と判断したタイミングでMCPやAPI経由などで、スマートホームハブからエアコンなどの家電を制御します。ルールベースが”あらかじめ決めた条件の自動化”だとすれば、エージェントによる自動化は、曖昧な方針を渡すだけで人が都度指示しなくても”判断そのものを自動化”してくれる点にこのユースケースのポイントがあります。
自分が興味があるニュースを毎朝お届け
従来のニュースアプリでも「カテゴリを登録しておくと関連記事が届く」機能はありましたが、あらかじめ用意されたタグやキーワードの枠内でしか絞り込めず、自分の関心にぴったり合うとは限りませんでした。これに対し自律型AIエージェントには「最近はAIエージェントの話題に興味がある」といった好みを自然言語で伝えておくだけでよく、あとは毎朝エージェントがブラウジング機能などで自らWeb上のニュースを収集し、LLMがその内容を読んで関心に合うものを柔軟に選び出し、内容を要約して通知させることができます。スマホを開いて自分で探しに行かなくても、曖昧な言葉で伝えた興味関心に沿った情報が向こうから毎朝届く点が、このユースケースのポイントです。
請求メールの見張り番
クレジットカードを何枚も使い分けていると、いつ・どのカードから・いくら引き落とされるのかを把握しづらく、明細を見落として後から慌てることもあります。そこで自律型AIエージェントには「請求や引き落としに関するメールが届いたら見つけて教えて」と伝えておくだけでよく、あとはエージェントがメールを定期的にチェックし、LLMが各メールの内容を読んで請求・引き落とし・支払期限といった重要な連絡を拾い上げ、金額や期日を整理して通知します。常時監視しつつ、差出人やタイトルが毎回バラバラで単純なフィルタでは捕まえにくい通知も、文面の意味から柔軟に判断して見逃さない点が、このユースケースのポイントです。
AIエージェントをConoHa VPS MCPで構築するメリット
そんな便利なAIエージェントをConoHa VPS MCPで構築するメリットを、VPSとMCPの観点に分けて整理します。

VPSで構築するメリット
実行環境を切り分けたセキュアな運用が可能
VPS上で稼働させることで、実行環境を個人のPCや家庭内ネットワークから分離することができます。不測の事態が発生した場合でもローカル環境への影響を遮断できます。
限定されたVPS環境内に必要最小限のデータと権限のみを配置することで、アクセス制御や運用監視を含めてセキュリティを確保しやすい構成を実現できます。
24時間365日稼働する「AIエージェント」として活用可能
ローカル環境(PC)で実装した場合、PCが電源オフやスリープ状態になるとAIエージェントが停止してしまい、先ほど述べた常駐して自ら起動する持続性というメリットが失われてしまいます。しかしVPS環境なら24時間365日安定して稼働し続けるため、深夜や外出中でも「常時稼働しているAIエージェント」として活用できます。
開発・検証用途に適した独立環境
開発やテストの段階において、独立した環境でAIエージェントの動作や挙動を確認しながら、段階的に機能検証を進めることができます。
MCPで構築するメリット
対話形式でお手軽に始められる
対話形式でサーバーを構築でき、コマンドを覚えていなくても始められます。
ConoHaのスタートアップスクリプトの呼び出しもConoHa VPS MCPのツールに含まれており、動作に必要なフレームワークやソフトのセットアップまで自動化されるため、環境構築の工程を省略して動作確認に進めます。
それぞれのAIエージェントに適したスペックのサーバーを決めてくれる
構築したいAIエージェントを伝えるだけで、その動作に必要な最低スペック・推奨スペックを踏まえた最適なサーバー構成を提案してくれます。
コスト重視で最低スペックにするか、パフォーマンス重視で推奨スペックにするかも対話の中で選べるため、専門知識がなくても用途と予算に合った一台を適切に決められます。
使い慣れたAIエージェントから構築できる
ConoHa VPS MCPはClaude CodeやCodex CLIなど主要なAIエージェントに対応しており、普段使い慣れているエージェントからそのままVPSを構築できます。
新しいツールを覚え直す必要がなく、いつもの環境のままインフラ構築まで手を広げられます。
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3種類のAIエージェントを構築
ConoHa VPS MCPのドキュメントにあるクイックスタートの手順に従って、リモート版MCPを接続して構築しました。
検証環境
| OS | Ubuntu 24.04(WSL2) |
| モデル | Opus 4.8 |
| 使用したAIエージェント | Claude Code |
Hermes Agent
「Hermes Agentが入っているサーバーを作成してください」という指示を与えると、今回の場合は用語の確認から入りました。
個人的な体感ですが性能が高いモデルほど、今回の用語の確認のような慎重な行動を取りがちな傾向があります。

Hermes AgentがAIエージェントであることを理解して、ConoHaで提供されているHermes Agentのスタートアップスクリプトを見つけました。
ここでHermes Agentが動作するのに必要なスペック案が複数の観点から提示されます。VPSの構築時に判断が必要となるスペック選定も、この対話の中で決められます。
推奨スペックは動作に必要な余裕を含んだ構成のため、要件が定まっていない段階での基準として利用できます。


その後もAIエージェントからのSSHキーの設定やストレージ容量に関する質問などに答えていくと、Hermes Agentがインストールされているサーバーが構築されました。

その後、ConoHa VPS公式サイトで紹介されているHermes Agentの利用手順に従って初期設定を進めると、無事Hermes Agenttが利用できる状態になります



OpenClaw
「OpenClawがセットアップされたサーバーを作成してください」という指示を与えると、今回の場合は用語の確認はせずに、さっそくOpenClawのスタートアップスクリプトを見つけました。
LLMの特性上、ユーザーが手順を明示しない限りは同じモデルを使っていても、若干異なる挙動をしてくる場合があります。

その後はHermes Agentのときと同様に、OpenClawが動作するのに必要なスペック案を、様々な観点から提案してくれます。
今回も推奨スペックを選択しました。

その後もAIエージェントからの質問に答えていくと、OpenClawがインストールされているサーバーが構築されました。


その後、ConoHa VPS公式サイトで紹介されているOpenClawの利用手順に従って初期設定を進めると、無事OpenClawが利用できる状態になります



NanoClaw
最後にNanoClawが入ったサーバーを作成します。
「NanoClawがセットアップされたサーバーを作成してください」という指示を与えると、今回の場合はWeb検索を用いて用語の確認から入りました。
一通り調べ終わった段階で、ConoHaのNanoClawのスタートアップスクリプトを見つけました。

そして今回もNanoClawが動作するのに必要なスペック案を、様々な観点から提案してくれます。

加えてSSHキーの設定やストレージ容量などに関するAIエージェントからの質問に答えていくと、NanoClawがインストールされているサーバーが構築されました。


その後、ConoHa VPS公式サイトで紹介されているNanoClawの利用手順に従って初期設定を進めると、無事NanoClawが使えるようになります。


まとめ
今回試したHermes Agent、OpenClaw、NanoClawはいずれも、常時稼働してこそ真価を発揮する自律型AIエージェントです。ConoHa VPS MCPを使えば、コマンドやコントロールパネルの操作を意識することなく、チャット形式のやり取りだけで安全な実行環境を用意し、24時間365日安定して動かし続けられる環境を整えられます。インフラ構築に詳しくない方でも、AIエージェントと対話しながら必要なスペックやセットアップまで任せられるため、専門知識の前提を抑えたまま導入を進められます。「自律型AIエージェントを試してみたいけれど、環境構築が不安」という場合は、まず小規模な構成から試してみてください。
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