【Expert Cross #5・前編】研究の成果をブランディングへ接続 真次彰平が臨む、「研究するGMOインターネットグループ」への展望

AIの台頭以降、技術の進歩は飛躍的に加速しています。ドローンや自動運転など、創作物の中にしかなかったものが研究室へ、研究室から社会実装へと進んでいますが、なかでも人型ロボット(ヒューマノイド)の存在はとくに大きなものだと言えるでしょう。
GMOインターネットグループでは、2024年6月にGMO AI&ロボティクス商事株式会社(GMO AIR)を立ち上げ、ロボティクス技術の社会実装に向けた実証実験などを進めています。その中核にあるのは、強化学習をはじめとするAIの研究です。
そして人型ロボット(ヒューマノイド)の強化学習に取り組みながら、「研究するGMOインターネットグループ」の姿をアカデミアへ届けようとしているのが、GMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR)で研究開発に携わり、GMOインターネットグループのエキスパートとしても活動する真次彰平さんです。
GMOインターネットグループでは、業界全体の発展に寄与しつつグループ全体の技術力・クリエイティブ力を牽引し、技術広報活動に貢献するパートナー(社員)を支援する「エキスパート制度」を運用しています。
エキスパートには活動費として最大で年間100万円が支給され、その資金をイベント登壇や研究用デバイスの購入などにあてることで、個人の技術研鑽とともにグループブランドの向上に寄与する広報活動を行っています。
本記事では真次さんに加え、真次さんを推薦したグループ専務執行役員でグループ研究開発本部長の堀内敏明さんに、エキスパート就任の経緯やこれまでの活動、そして発信において大切にしていることを伺いました。

アカデミアで存在感を示す「研究するGMO」への進化

———まずは、お二人のご経歴と現在のお仕事をお聞かせください。

真次

筑波大学大学院で情報科学分野の博士号を取得したのち、2024年に新卒でGMOインターネットグループへ入社しました。今年で3年目ですが、最初の約1年半はデータサイエンティストとして業務に従事していました。その後、GMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR)の業務にアサインされたという流れです。

現在は共同研究推進グループのアドバンストリサーチサイエンティストとして、人型ロボット(ヒューマノイド)の強化学習をはじめとしたAIとロボティクスの研究開発を担当しています。研究そのものに加えて、その成果を社内外にしっかり届けるべく、学会との連携や発信にも関わっています。

堀内

私は2002年にGMOメディアアンドソリューションズ(現GMOメディア)へ入社し、システム部門の責任者を務めてきました。2008年にGMOインターネットグループへ移った際に「次世代システム研究室」を設立し、室長に就任しました。

現在はグループ専務執行役員として、GMOインターネットグループ全体の技術者採用や技術広報に携わりながら、グループ研究開発本部にて本部長を務めています。あわせて、AIやロボティクスに関わるグループ会社5社の役員も兼任している状況です。

グループ研究開発本部では、AIや金融、セキュリティ、人型ロボット(ヒューマノイド)など幅広い領域の研究開発に取り組んでいます。

私が担当しているのはAIやロボティクスといった新しい事業を立ち上げる際の技術支援や、研究成果を事業や社会へつなげていくための組織づくりですね。GMOインターネットグループの技術力を社内外へ発信していくことも、私の重要な役割の1つです。

———真次さんがエキスパートに立候補された理由と、堀内さんが真次さんをエキスパートに推薦された理由をお聞かせください。

真次

一番の動機は、アカデミアにおけるGMOインターネットグループのブランドイメージを高めたいという思いですね。

私自身、アカデミアにいた頃はさまざまな企業が学会へ出展されている様子を目にしてきました。そうした光景を知っているからこそ、GMOインターネットグループで展開する事業やサービスのイメージと比較すると、「研究にも本気で取り組んでいる」という見え方にはまだ伸びしろがあると感じていたんです。

研究活動を単に専門性を深めるための取り組みで終わらせるのではなく、そこで生まれた価値が外部にきちんと届く状態をつくりたいと考えたので、エキスパートに立候補しました。

堀内

真次さんはロボティクスやAIに関する高い専門性だけでなく、その技術を実際の人型ロボット(ヒューマノイド)で動かし、社会に伝わる形にできる力を持っています。私が真次さんを推薦した一番の理由はそこなんです。

専門性が非常に高い研究者はグループ内にも多くいるのですが、その価値を事業や社会へ伝えることが苦手な方もいます。真次さんはエキスパートたりうる技術力はもちろんのこと、最新の研究を追い続けながら、人型ロボット(ヒューマノイド)の強化学習やSim-to-Realといった難しい技術を、技術者以外の方にも分かりやすい言葉で説明する言語化能力にも優れているんです。

「研究する」「実際に動かす」「分かりやすく発信する」という三つの力を兼ね備えている真次さんは、まさにエキスパートに適任でしたね。

「研究にも本気」を実績で示し、続く仕組みをつくる

———真次さんはエキスパートとして、これまでどのような活動をされてきたのでしょうか。

真次

活動の大きな軸は「研究活動を通じて、それを組織の良いブランドイメージにつなげていくこと」にあります。直近では人工知能学会(JSAI)や日本ロボット学会への投稿、そして各会におけるトップスポンサーとしての連携を行っています。研究が事業や社会に伝わる形になるように、自分にできる役割を担うことを意識していますね。

とくにJSAIではトップスポンサーとして協賛するだけではなく、「GMOインターネットグループとして、研究活動そのものに取り組んでいることを示したい」という私個人の思いもありました。なのでその思いを結実させるべく、これまでの技術的な取り組みを論文としてまとめ、登壇もしています。

一方で論文執筆や学会発表を得意としないメンバーもいますので、そうした方々が挑戦しやすい形をつくることも同時に意識していました。目立つことよりも、中身のある取り組みを見せることを大切にしていきたいんです。

———外向きの発信と、内側の体制づくりの両輪で動かれているということですね。

真次

まさにそうですね。外への発信やスポンサードは、GMOインターネットグループの技術力を世間に示す良い機会です。ただし、GMOインターネットグループのなかでしっかり研究活動を進めつつ、発信する中身もそれに続いていかなければ、一過性のもので終わってしまうだろうという危機感も抱いています。

研究ブランドを定着させるためにも、研究に注力できる体制づくりが必要だという思いで動いていますね。

———堀内さんは、真次さんのこうした活動をどう評価されていますか。

堀内

非常に高く評価しています。自身の研究だけを深めるのではなく、研究成果をGMO AIRの事業やロボティクス技術の社会実装につなげようという、広い視野を持って活動してもらっているなと。

たとえば国際ロボット展(iREX)におけるダンス展示や、最新の強化学習技術に関する記事もそうです。そうした発信を通じて、GMOインターネットグループがロボティクス分野に本気で取り組んでいることを社内外に示してくれていると感じました。

エキスパートには、専門分野で成果を出すだけでなく「その成果を周囲へ広げ、次の挑戦者を生み出す」という役割もあります。その点においても、期待以上の活動をしてくれていますね。

ロボティクスの専門的な「面白さ」をさまざまな人に届ける

———エキスパートには高い専門性に加え、発信力とコミュニケーション能力が求められます。発揮するために意識されていることはありますか。

真次

物事を伝える前に、「相手は何を知りたいのか?」を整理することを意識しています。どれだけ複雑な内容であっても、相手に合わせて分かりやすく、かつ筋道を立てて話すことが出発点になりますね。

そのうえで盛り込むようにしているのが、他の選択肢や従来の手法と比較したときに「その技術がどう良いのか」「どこが凄いのか」という部分です。伝える相手も技術者であれば、さらにその過程やアイデアにある面白さまでアピールすると、興味を持っていただきやすいですね。

ただ、この面白さというのは難しさの裏返しであることが多いんです。ですので、相手がその面白さを理解するための前提を共有しきれているか、そこから説明してついてきてもらえそうか……といったことを、相手の反応を探りながら話すようにしています。

とはいえ、分かりやすさを重視するあまり内容を削りすぎると、今お話ししたような「どこが凄いのか」という部分まで削れてしまいます。相手の反応からどこまで話すのがよいかを探っていく過程、言うならば「わかりやすさと正確さのバランス」が、自分の中でこだわっている部分になりますね。

———エキスパート活動の原動力は何でしょうか。「やっていてよかった」と感じた瞬間もお聞かせください。

真次

原動力は、「研究するGMO」がアカデミアの場でちゃんと見えるようにしたい、という点に尽きますね。JSAIのブースや懇親会で研究者の方から直接声をかけていただいたときには、やってきてよかったという手ごたえを感じました。

「研究にも力を入れているんですね」といった言葉をいただけると、我々の活動がしっかり届いている感覚があります。そうした反応があるからこそ、次も続けようと思えるんです。

———真次さんが取り組まれているロボティクス分野におけるAIは、他の分野と比べて異なるところがあるのでしょうか。

真次

大きく異なる点としては、いわゆるSim-to-Real(作ったものが実機で動くまでのギャップ)かなと。

シミュレーション上ではうまくいっていても、センサノイズや接触・遅延、環境のばらつきなどさまざまな要因によって、実機ではまったく別物になることが多いんですよ。シミュレータ上の性能だけでは、現実世界で動かすには足りない……というのが実感ですね。

そして人型ロボット(ヒューマノイド)は、人や環境に対して物理的に作用します。だからこそ、単に性能だけを見るのではなく、信頼性や安全性まで含めて見ていく必要があるんです。そこも他の分野と大きく異なる部分ですね。

まとめ

学会への投稿とトップスポンサーとしての連携、そして自らの登壇。真次さんがエキスパートとして積み重ねてきたのは、「研究にも本気で取り組んでいる」という事実を実績で示す活動でした。その根底にあるのは、アカデミアの場でGMOインターネットグループの姿がきちんと見える状態をつくりたい、という一貫した思いです。

後編では、真次さん自身の変化と組織へのインパクト、そしてセキュリティをはじめとする領域を越えた協働の展望について伺います。

後編はこちらから

ブログの著者欄

技術広報チーム

GMOインターネットグループ株式会社

イベント活動やSNSを通じ、開発者向けにGMOインターネットグループの製品・サービス情報を発信中

採用情報

関連記事

KEYWORD

TAG

もっとタグを見る

採用情報

SNS FOLLOW

GMOインターネットグループのSNSをフォローして最新情報をチェック