GMO DESIGN AWARD 2026が、今年もスタートしました。
3回目となる今回のテーマは「トキメキ」。AIを制作プロセスのどこかで活用した作品を、2026年9月30日(水)まで募集しています。
応募に興味はあっても、「どのようにアイデアを形にすればよいのか」「自分にも挑戦できるのか」と迷っている方もいるかもしれません。
そこで今回は、GMO DESIGN AWARD 2025の受賞者に、応募のきっかけや制作で工夫したこと、AIとの向き合い方について伺いました。
前編では、個人で作品を制作し、受賞した3名の制作の裏側をご紹介します。
目次
GMO DESIGN AWARD 2026とは?

GMO DESIGN AWARD(以下、本コンテスト)は、GMOインターネットグループが主催する、18〜29歳の若手クリエイターを対象としたデザインコンテストです。
2026年のテーマは「トキメキ」。AIを制作プロセスのどこかで活用した作品を、以下の2部門で募集しています。
- プロダクト部門
- ビジュアル部門
応募期間は、2026年6月15日(月)から9月30日(水)までです。
最優秀賞には賞金100万円、優秀賞には各20万円が贈られ、賞金総額は250万円です。
優秀賞は、プロダクト部門・ビジュアル部門それぞれ2作品ずつ選出されます。
審査員長には、大阪・関西万博のデザインシステムを手がけたクリエイティブディレクターの引地耕太氏(株式会社VISIONs)を迎え、
審査員として有馬トモユキ氏(日本デザインセンター)、清水勝太氏(KOEL)、広野萌氏(株式会社フォルテ)が参加し、応募作品を審査します。
上坂舞愛沙さん|滋賀県立大学 人間文化学部 生活デザイン学科

受賞作品:かげえものがたり
受賞名:優秀賞(プロダクト部門・学生)/ビジュアルランゲージ賞
作品詳細:https://gmo-design-award.com/2025/works/007.html
AIによる影絵表現を家庭内で体験できるプロダクトアイデア。灯りと影を使い、幼少期の記憶にある温かい「つながり」の感覚をテクノロジーで再現する。
—GMO DESIGN AWARDに応募しようと思ったきっかけを教えてください
上坂
自分の実力を試すためコンペを探していた際、登竜門で本コンペを見かけたことが応募のきっかけです。
AIが日常に浸透する現代において「つながり」を考えるというテーマは、これからの社会で非常に重要だと強く共感しました。
また、私自身が大学で「コミュニティや人との繋がり」についてデザインの視点から研究・考察していることもあり、自分の関心や学びをぶつける絶好の機会だと感じました。
これまで培った視点がどこまで通用するのか、自身の力を確かめるために挑戦を決意しました。
—制作の中で一番苦労した点、またそれを乗り越えたエピソードがあれば教えてください
上坂
制作で最も苦労したのは、コンセプトに「独自性と新しさ」を持たせるプロセスです。
AIを活用したプロダクトはどうしても冷たく、温もりに欠けるイメージが拭えずに悩みました。
そこで、私自身が暖かさを感じた過去の「つながりの記憶」や、その時の周囲の環境を徹底的に洗い出し、スケッチブックへ書き出す作業を泥臭く繰り返しました。
その結果、幼い頃に姉と小さなランプの灯りで手影絵をして遊んだ記憶にたどり着きました。
最先端のAIというテーマに対し、あえて自身の極めてパーソナルな原体験を掛け合わせることで、他には真似できない温かみのある独自性をコンセプトに持たせることができました。
—「応募しようか迷っている」という方に向けて、一言メッセージをお願いします!
上坂
自分のデザイン力を試したい、もっと自信を持ちたいと考えている方に、このコンペはぴったりの舞台だと思います。
私自身、テーマに向き合い試行錯誤する中で、自分の強みを再発見する大きなきっかけを得ることができました。
技術的な不安があっても、自分のアイデアをぶつけてみることで得られるものが必ずありますので、ぜひチャレンジしてみてください。
松田華凌さん|東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻・受賞当時/現AiHUB株式会社 Creators’ Wonderland Studio

受賞作品:たまごやき
受賞名:優秀賞(ビジュアル表現部門・学生)
作品詳細:https://gmo-design-award.com/2025/works/024.html
AIと手描きアニメーションを組み合わせた短編映像作品。AIに恋愛相談する女性と、正論だけを返すAIとのすれ違いを、独特な質感の映像表現で描く。
—制作でこだわった点や、工夫したポイントを教えてください
松田
最もこだわったのは、AIを単なる省力化の道具として使うのではなく、「AIを使うからこそ成立する画面」をつくることです。
手描きの線と動きは自分で設計し、その線画からNormal mapを生成して陰影を加えることで、2D作画の手触りを残しながら、光が彫り込まれたレリーフのような質感を目指しました。
技術の新しさを見せるだけでなく、AIとの距離感や人間の孤独というテーマが、映像表現と物語の両方から伝わるように工夫しました。
—制作過程でAIツールをどのように活用しましたか。使ってみて意外だった発見や、工夫したポイントも教えてください
松田
企画段階ではChatGPTを壁打ち相手として使いました。
自分が傷心した女性になりきって実際に恋愛相談を行い、返ってきた言葉を検証しながら脚本に取り入れています。
AIが表面的には優しくても、正論を並べるほど相談者の気持ちから離れていくように感じられたこと、この違和感が作品の核になりました。
AIには構図や演技を丸ごと任せず、作画や色、タイミングは人が決め、AIは質感づくりの補助として使うことで、自分の意図を保つようにしました。
—「応募しようか迷っている」という方に向けて、一言メッセージをお願いします!
松田
完成度に自信がついてからではなく、今の自分が何を考え、何を試したのかを外に出す機会として応募してみてほしいです。
受賞するかどうかにかかわらず、作品を言葉で振り返り、誰かに見てもらう経験は、次の制作の方向を考える材料になります。
見てもらうだけタダですからね(笑)
寺山隼矢さん|東北大学大学院工学研究科

受賞作品:AI菩薩
受賞名:審査員特別賞(コンテクストデザイン賞/マーケティングイノベーション賞)
作品詳細:https://gmo-design-award.com/2025/works/006.html
生成AIを「悩みに寄り添う存在」としてデザインしたプロダクトアイデア。寺の空間を模した画面でAI菩薩に悩みを相談できる、心を落ち着けるための体験を提案する。
—GMO DESIGN AWARDに応募しようと思ったきっかけを教えてください
寺山
生成AIと関わる中で、「人類の経験や知識に適切に基づきながら人の心を導ける存在にならないか」と考えたことが、AI菩薩の発想につながりました。
普段は研究や開発に取り組んでおり、デザインを専門としているわけではありませんが、デザインの分野に興味があったため、自分なりの視点で挑戦してみました。
—制作でこだわった点や、工夫したポイントを教えてください
寺山
単にテキストを入力してAIから回答を受け取るだけのサービスにしないことにこだわりました。
寺の中にある一つの空間として画面全体の世界観を設計し、心を落ち着けられる「場」と、悩みを打ち明ける相手としてのAI菩薩をデザインしました。
個人の相談に応じるだけで終わらず、集まった悩みから社会の傾向を捉えるなど、より広い価値につながるサービスへ発展させることも目指しました。
—受賞されて、ご自身やご自身の活動にどのような変化がありましたか?
寺山
受賞するまで、自分自身をクリエイターだと強く意識したことはありませんでした。
しかし、AI菩薩が2つの賞をいただいたことで、自分の発想や構想にも、作品として評価される価値があるのだと実感できました。
既存の技術や独自のアイデアを組み合わせ、利用する人の体験や社会とのつながりまで含めてデザインすることが、自分の強みの一つだと理解でき、クリエイターとして挑戦していく自信にもつながりました。
まとめ
3名のお話から見えてきたのは、作品の出発点は、必ずしも特別な技術や大きなアイデアでなくてもよいということです。
幼少期の記憶や日頃抱いていた違和感、自分自身の関心や研究テーマなど、身近な経験を掘り下げることで、それぞれにしかつくれない作品が生まれていました。また、AIを単なる効率化の手段としてではなく、表現や体験を広げるための手段として活用している点も印象的です。
「まだ完成度に自信がない」「デザインを専門にしていない」と迷っている方も、まずは自分が感じていることや、形にしたいアイデアから考えてみてはいかがでしょうか。
後編では、「思い出召喚ステッカー yomiyomi」「調べ物」「フォームインワン」を制作した3組の受賞者をご紹介します。
個人制作とは異なる、チームならではのアイデアの広げ方や制作の裏側にも、ぜひご注目ください。
また、GMO DESIGN AWARDの運営メンバーが、コンテスト立ち上げの背景や今年のテーマ「トキメキ」に込めた想い、キービジュアル制作の裏側などを語った以下のインタビュー記事もぜひあわせてご覧ください!
▽若手クリエイターへ問う、AI時代の「トキメキ」とは | GMO DESIGN AWARD 2026運営インタビュー

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