課金システムは事業の根幹でありながら、「動いているから後回しにされる」領域でもあります。その結果、属人化やコードの独自進化によって複雑性が増し、一度問題が発生すると復旧にも改善にも多くのコストがかかる状態になりがちです。
本記事では、散在化した課金ロジックをどのように共通化し、クラウド対応を含めて“壊れにくい基盤”へ改善したかをまとめます。
目次
1. なにがおきていたのか(問題点)
既存の課金システムには、大きく分けて以下の課題がありました。
● 属人化
課金ロジックや設定が特定の担当者だけに依存しており、影響調査が困難な状態でした。
● コードのガラパゴス化
課金に関するロジックが複数箇所に散らばり、一元管理されていませんでした。
- アプリケーションコード
- DB
- 定義ファイル
- バッチ処理
これにより、1箇所を変更すると、想定外の場所でバグが連鎖的に発生する “壊れやすい”構造になっていました。
■ Before構成図

2. 改修方針(どう改善したのか)
完全な新規システムを作ると工数が膨大になるため、
「いまある開発資源を活かし、可能な範囲で最大効果を出す」
という現実的な方針を採用しました。
● 既存機能は基本踏襲
動いている部分はなるべく崩さず、安全に移植。
● 機能・ロジックの分離(モジュール化)
- 料金計算
- 課金判定
- キャンペーン適用
などを共通化し、どこから呼び出しても同じ結果になる“単一ロジック” を作成。
● クラウド対応で耐障害性を強化
基盤をクラウド化することで、スケーリングと安定性が向上。
■ After構成図

3. 効果(改善の結果)
今回の改善により、以下の効果が得られる予定です(2026年冬リリース予定)
● キャンペーン改修がほぼゼロ工数に
マスタ登録だけで即時反映されるため、企画変更に迅速に対応可能に。
● 企画〜リリースまでの期間が大幅短縮
ロジックの統一により、改修・テストの負荷が軽減。
● 課金事故の削減
料金計算が1箇所に集約され、不整合が発生しづらい構造に。
4. 今後の展開(次に目指すもの)
今回の分離で得られた部品は再利用性が高く、次のような展開が可能です。
- リアルタイム課金
- リアルタイム料金シミュレーション
- キャンペーン以外(キャッシュバック、クーポンなど)のロジック改善
- サービス全体のイベント駆動化(EDA)への応用
まとめ
今回の取り組みでは、属人化とコードのガラパゴス化により複雑化していた課金システムを、「ロジックの分離」「共通化」「クラウド対応」の3軸で現実的に再構築しました。課金処理の一元化により、影響範囲が見えないという長年の課題が解決され、キャンペーン反映の工数削減、リリーススピード向上、課金事故減少といった大きな改善につながる予定です。
さらに、モジュール化した部品は今後の新機能にも横展開でき、リアルタイム処理や新しい課金体験の実現にも寄与します。「新規システムを作らなくても、既存基盤はここまで強くできる」──その実例となる改善プロジェクトでした。
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