「グループの中にこれだけ同じ悩みを持つ人がいるなら、外にもきっといるはず」。前回の記事で書いたこの一言が、まさかここまで大きなイベントになるとは思っていませんでした。映像メディアVookさんとの共催で実現した「インハウス動画サミット2026」。参加者100名以上、満足度97.3%。企画の発起から基調講演、当日の運営まで走り抜けた記録です。
目次
自己紹介
こんにちは。GMOインターネットグループ エキスパート(映像領域)の加藤優真です。
普段はGMOインターネット株式会社 ドメイン・クラウド事業本部 クリエイティブ部 映像チームのリーダーとして、ConoHa byGMOやお名前.com byGMOに関わる映像制作を手がけています。前回は、グループ内の動画クリエイターを繋げる「横のつながりづくり」の話を書きました。まだ読んでいない方はぜひそちらもご覧ください。
今回は、その活動の延長線上で生まれた「インハウス動画サミット2026」の話です。なぜこのイベントを企画し、どうやって形にし、何を感じたのか。企画の裏側を中心にお話しします。
なぜ「インハウス動画サミット」を企画したのか
前回の記事で触れたように、グループ内のSlackチャンネル「#off-動画クリエイター」には90名以上が集まり、交流会を通じてリアルな繋がりも広がっていきました。アンケートからは「効果測定の難しさ」「制作ノウハウの不足」「社内に相談相手がいない」といった共通課題も見えてきました。
ここで思ったのが、この課題はGMOインターネットグループだけのものではないだろう、ということです。
近年、動画制作のインハウス化は業界全体で加速しています。コスト面やスピード面のメリットから社内に映像制作機能を持つ企業は増えている。でも、インハウスクリエイター同士が業界を横断して情報交換できる場は、ほとんどありませんでした。
制作会社やフリーランスには業界内のコミュニティやイベントがあります。でもインハウスのクリエイターは、商材やサービスの向こう側にいる存在。なかなか表に出てくる機会がない。でも、似たような課題を、それぞれの会社でそれぞれ抱えている。
インハウスクリエイターが主役になれるイベントを作ろう。エキスパートとしてグループ内の横のつながりを作ってきた流れの中で、それを外にも開くことは自然な次のステップでした。
学生時代の縁が繋いだVookとの共催
「インハウスの動画制作者が集まるイベントをやりたい」──この企画を形にするにあたって、パートナーとして真っ先に頭に浮かんだのが映像メディアのVookさんでした。
実は、GMOインターネットに入社する前の学生時代に、Vookでインターンをしていたことがあります。その頃からの繋がりで、Vookの岡本俊太郎代表に「こういうイベントをやりませんか」と提案しました。
Vookさんは映像クリエイター向けのメディアを運営していて、映像業界のコミュニティ形成にも力を入れています。「インハウス動画」というテーマで社外の人にもリーチするなら、この分野に強いパートナーが必要でした。岡本代表にも賛同していただき、共催という形が実現しました。
役割分担としては、企画は一緒に進め、GMOインターネットグループ内の登壇者の調整は自分が担当、社外の登壇者はVookさんが取りまとめてくれました。LP(ランディングページ)の制作と集客はVookさん、会場提供と飲食はGMOインターネットグループ側で用意しました。エキスパートとしての活動予算も活用しています。
また、GMOインターネットグループの技術広報チームがしっかりサポートしてくれたおかげで、当日の運営もスムーズに進みました。正直、企画が進むにつれて想定よりかなり大きなイベントになっていったので、少ない人数で当日までの準備はそれなりに大変でした。でも、各社でうまく分担できたのは本当によかったです。

基調講演で伝えたかったこと
2026年2月9日、渋谷フクラスのGMO Yours・フクラスで「インハウス動画サミット2026」を開催しました。イベント詳細はこちらの記事をご覧ください。
基調講演は、Vook代表取締役の岡本俊太郎さんと私でトーク。私のパートでは「動画内製化のトレンドとGMOインターネットグループの映像制作における取り組み」をテーマに話をしました。

伝えたかったのは大きく3つです。
①なぜこの場を作ったのか
グループ内外・日本の各社で動画活用が加速する一方で、組織の作り方、目指すべき場所、事業への貢献の仕方といった共通の課題がある。だからこそ、情報共有・交換の場を作り、インハウス動画制作界隈全体の底上げを目指したい。「今日のゴール=現状を共有し、横のつながりを作る」と冒頭で宣言しました。

②グループ各社の動画内製化のリアル
サミットに向けて、GMOインターネットグループ14社にアンケートを実施しました。結果を見ると、専任の動画担当がいるのは14社中わずか3社。6社が兼任、5社はそもそも担当がいない状態。それでも各社が独自のスタイルで動画活用を進めています。

強化したい領域として最も多かったのが「AI活用」(12社)。次いで「内製化強化」「人員増強」「スキルアップ」と続きました。現場の課題としては「制作本数が増えてきたので効率化と仕組み化を進めたい」「動画の効果を可視化し、明確な評価指標を作りたい」「属人化を防ぎ、チーム全体でクオリティを標準化したい」という声が挙がっています。

このデータを見て改めて感じたのは、規模が違っても課題の構造が似ているということ。基調講演ではこの結果をそのまま共有し、「うちだけじゃなかった」と来場者に感じてもらうことを意識しました。
③GMOインターネットの映像チームの実践
8名のチーム(東京6名・宮崎2名)で企画から撮影・編集・公開・分析まで一気通貫。基本的に1人が1案件を担当するビデオグラファースタイルです。このリアルな運用を共有することで、「うちもこれくらいの規模で始められるかもしれない」と思ってもらえたらという狙いがありました。

105名が集まった当日の様子
集客は出だしこそ伸び悩みましたが、後半になるにつれて申込みが加速し、最終的には定員100名を超える105名以上が来場。想定より多い参加者に正直驚きました。
イベントは17:00〜21:00の構成。基調講演に続いて、2本のパネルディスカッションを実施しました。
パネルディスカッション①「インハウス化の裏側・YouTube等のSNS活用事例・AIとの付き合い方」にはGMOペパボ、エムスリー、三幸学園、SmartHRの4社が登壇。パネルディスカッション②「インハウス動画制作の立ち上げ方と最適解」にはGMOグローバルサイン・ホールディングス、パーソルイノベーション、松井証券、MIXIの4社が登壇しました。
各セッションの詳しい内容は、技術広報チームがまとめてくれたイベントレポートがありますので、ぜひそちらをご覧ください。
ここでは発起人の視点から一つだけ。パネルディスカッションで各社の話を聞いていて改めて感じたのは、「規模も業界も違うのに、課題の根っこは驚くほど似ている」ということです。「効果をどう測るか」「経営層にどう理解してもらうか」「1人や2人のチームでどう回すか」──。登壇者同士がうなずき合う場面が何度もありました。
そして何より印象に残ったのが、会場の熱気です。懇親会も含めると21:00過ぎまで、参加者同士の名刺交換や情報交換が途切れることなく続いていました。「こういう場がほしかった」という声を直接いただけたのは、企画した側として一番嬉しい瞬間でした。

アンケート結果:参加者の声
イベント終了後のアンケートには73名の方に回答いただきました。
総合満足度97.3%
4段階評価(非常に満足・満足・やや不満・不満)で、「満足」以上が97.3%(71名/73名)。平均スコアは3.38/4.00。「非常に満足」と答えた方は42.5%(31名)でした。100名以上が来場するイベントでこの数字は、ありがたいの一言です。
72.6%が「業務に活かせる」
「すぐに活かせる」「一部活かせそう」を合わせて72.6%の方が業務に持ち帰れる内容だったと回答してくれました。内容のレベル感についても「適切」が62%、「とても良い」が36%と、実践的な事例紹介が中心だったからこその結果だと思います。
印象に残ったセッション
複数選択で最も票を集めたのがパネルディスカッション①「インハウス化の裏側・SNS活用事例・AIとの付き合い方」で57票。次いでパネルディスカッション②「インハウス動画制作の立ち上げ方と最適解」が42票。やはりリアルな事例共有へのニーズが圧倒的に高いことがわかります。
参考になったテーマ
「内製動画の活用事例」が42票でトップ。「ワークフロー/進行管理」が39票、「内製チームの作り方・体制」が35票と続きました。「社内説得・稟議・予算確保」(16票)や「人材採用・育成」(15票)も一定数あり、制作スキルだけでなく組織としてどう動画制作を回していくかに関心が集まっていることが印象的でした。
参加者の声(自由記述より)
- 「スピーカーやセッションの質が高く、とても勉強になり意欲が湧いた」
- 「自社の現状に反映できそうなお話が聞けた」
- 「すぐに実行できるレベルで参考になったし、刺激になった」
- 「インハウスチームの強みは定量化にあると気づきを得られた」
- 「他社の取り組みを知れる機会があまりないため、大変参考になった」
- 「宣伝や勧誘が無く、気持ち良く参加できた」
ほとんどの皆さんがポジティブなコメントを残してくださった点は個人的にかなり嬉しかったです。「純粋に同じ立場の人たちと情報交換できる場」を作りたかったので、その意図が伝わっていたのだと思います。
開催してみて感じたこと
企画の段階では「本当に100人も集まるのだろうか」と不安でした。インハウスの動画クリエイターはそもそも業界内での存在感が薄い。イベントに来てくれるほど、この場を求めている人がいるのか確信が持てなかった。集客も出だしはそこまで伸びず、正直焦った時期もありました。
ふたを開けてみたら、定員を超える参加者が集まった。改めて感じたのは、インハウスクリエイターの「孤独」は想像以上だったということです。
社内に同じ職種が自分だけ、あるいは数人しかいない。クリエイティブの話ができる相手が少ない。成果の測り方も手探り。そんな中で、「同じ立場の人たちと話せる場」の価値は、予想よりはるかに大きかった。
もう一つ感じたのは、小さなアクションを積み重ねることの意味です。エキスパートとして最初にやったのはSlackチャンネルを1つ作ること。そこから交流会を開き、アンケートを取り、そして今回のサミットに至りました。一つひとつは大したことではないかもしれません。でも、小さく始めて少しずつスケールを上げてきたからこそ、100名以上の規模のイベントにも踏み出せた。
後日、サミットの開催は経済番組「WORLD MARKETZ」(東京MX+ネット配信)でも紹介されました。「GMOインターネットグループにこんな映像クリエイターがいる」ということを社外に広く発信する機会にもなったのは、大きな副産物でした。
そしてこれはイベントの成果というより個人的な気づきですが、企画して終わりではなく、そこから生まれる繋がりこそが本当の価値でした。サミットをきっかけに、他社のインハウスクリエイターとの情報交換が今も続いています。
おわりに
グループ内でSlackチャンネルを作ったのが2025年6月。交流会を重ね、アンケートで課題を可視化し、そしてグループの外に開いたイベントを2026年2月に開催しました。約8ヶ月間で、「横のつながり」はグループの中から外へと広がりました。
アンケートでは「AI活用の具体的な手法・事例」「KPIの立て方・評価システム」「ワークフローの具体例」「地方での開催」といった次回への要望もたくさんいただいています。次回の開催も検討中ですので、ぜひ楽しみにしていてください。
インハウスで動画制作に取り組んでいる方、これから内製化を始めようとしている方、社内の動画チームをどう作っていくか悩んでいるマネージャーや経営者の方。インハウスクリエイターは、もっと繋がれるし、もっと強くなれる。今回のサミットで、それを確信しました。
あの熱狂を今も昨日のように思い出しています。また2回目もやりましょう!岡本代表!
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